リハスタ

   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

年収アップには管理職への出世は必須。PTの出世に繋がる9のこと


リクルートのアンケートでは、最近は管理職になりたいと思う職員より、なりたくないと思う職員の方が割合が多いとの結果も出ているそうですね。確かに管理職になると責任・負担が増すとは思います。


しかし人間は必ず環境に慣れるものです。管理職の業務にも必ずいつか慣れることを考えると、管理職を敬遠するのはもったいないなーを感じます。


同じ職場で自分の年収を上げるためには、管理職になることは必須条件です。また一度管理職になれば、転職する場合にも必ず有利に働き、長期に渡ってメリットを得られます。


部署内・院内で分けてまとめましたが、出世のためには部署内・院内の両方で一定の評価を得る必要があります。両輪で考えて行動していってください。

部署内① 認定理学療法士の取得

認定理学療法士の資格取得、これは部署内での出世にはかなり有効だと思います。


2020年10月時点で、理学療法士協会の総会員数129,396名に対して、認定理学療法士取得者数は10,271名です。取得率は10%未満です。


おそらくどこの病院でも部署内で認定理学療法士を持っているセラピストは少数派になるので、それだけで希少価値が出てきます。


また、今後は認定理学療法士がいる施設内で勤務しているセラピストは、PT協会が定める生涯学習が有利に運べる流れになっています。


ということは、学生は就職先を選ぶうえで認定理学療法士が在籍しているのかを踏まえた上で就職活動を行っていくと思います。なので、人材確保の面でも認定理学療法士は重宝される可能性が高いです。


部署内② 診療報酬

2年ごとに診療報酬の改定が行われますが、診療報酬に詳しいスタッフは現場でも頭一つ抜けた感があります。


多くのスタッフは、診療報酬の改定にさほど関心はなく、トップダウンでおりてきた情報に対して反応する程度だと思います。


そうではなく、自分で積極的に情報を取りに行くことが大事です。


診療報酬改定は中医協(中央社会保険医療協議会)等のHPを見ることで一次情報を確認することができます。また最近は理学療法士協会でも適宜情報が更新されているので、定期的に確認する習慣をつけるといいですね。


そして、診療報酬の改定には必ず根拠となる裏付け資料があります。改定後の情報だけでなく、どういった背景で改定する必要があったのかまで理解することが大事です。


それを積み重ねていくことで、診療報酬改定の流れというものが見えてくると思います。「診療報酬に詳しい」というブランディングは出世に有効です。


併せて、施設基準についても知識をつけるとベターです。




部署内③ 学会発表

学会発表も非常に有効な手段の1つです。他人がやりたがらない、やっていないことをやることが出世の可能性を上げることになります。


大学で卒論をまとめた人であれば、それをもう少しブラッシュアップして学会発表を行うことも有効だと思います。卒後1~2年程度であれば、当時の指導教員の支援も得られやすいと思うので、ぜひ学会発表に向けて見直ししてはどうでしょうか?


学会発表で最も注意すべき点はどの学会で発表するかです。


残念ですが、多くのセラピストが地方ブロックや県学会などの理学療法系の学会を選んでいます。正直、もったいないです。


所詮、理学療法士界隈でしか評価されない・知られていない学会なんですよね。


他の部署からすると、「へぇ~」、「それってすごいの?」ぐらいのインパクトしか正直ありません。分からないことには興味を持たないんです。


ここは1つ抜きんでるために、リハビリテーション医学会など他職種も参加する学会を目指すべきです。


リハビリテーション医学会であれば、その学会の規模は医師、看護師も理解しているので、興味・関心を惹けます。もしかしたら、他の部署からもリハビリテーション医学会に発表・参加するスタッフもいるかもしれませんしね。


そして、リハビリテーション医学会は、6月と11月の年に2回開催されるので、自分のスケジュールも余裕を持って調整しやすいメリットがあります。


おまけですが、理学療法学会に比べるとリハビリテーション医学会はサービスの質も違います。ランチョンセミナーのランチの質も高いですし、スイーツセミナーなんてものまであり、圧倒的な協賛の違いを感じさせられます。

部署内④ 勉強会

部署内で持ち回りで勉強会を行っている病院が多いかと思っています。勉強会のターンは、自分を部署内にアピールできる絶好のチャンスです。


勉強会のテーマを自分で選べれるのであれば、自分の得意分野ではなく部署内に必要・求められているテーマを選択することがです。


そして、勉強会の内容。これはもう、ひたすら圧倒的なクオリティを目指す!!他のスタッフの予想を裏切るような圧倒的なクオリティです。


勉強になった、分かりやすかったの感想ではなく、「すごかった」と思われるレベルを目指します。


そのためには、資料のデザイン・分かりやすさも重要ですし、原稿などを使用せず発表することも聞き手に圧倒的な印象を与えます。

部署内⑤ 症例発表

勉強会と同じく、症例発表も数少ないチャンスの1つです。


こちらも、他のスタッフの予想を超えることが大事です。最新の知見、エビデンスなども引用しつつ、学会発表できるレベルにまでまとめることができるといいと思います。なんならそのまま学会発表するべきですね。


また他のスタッフの発表の際の質疑応答も積極的にアピールすべきです。もちろん、マウントをとるような発言はマイナスになるので、建設的な意見交換をできるような発言を心掛けましょう。

院内① 資格取得

部署内でも認定理学療法士の資格取得を挙げましたが、院内で考えた際に認定理学療法士はほとんど影響力はありません。


多くの医師や看護師は認定理学療法士なんてものを知りませんし、知らないものには興味を持ちません。


院内でのアピールには、医師・看護師に対しても認知度のある資格、そーゆー資格を取得する必要があります。


私のおすすめの資格は圧倒的に「3学会認定呼吸療法認定士」です。私自身も取得しましたが、取得後の周囲からの扱いが格段に変わりました。


医師からは私を指名してリハビリの担当を受けることもありますし、看護師からも呼吸に関する相談を頻回に受けます。


また看護部長から、看護師を対象にした勉強会の開催も依頼されました。私の中ではかなり分岐点になったイベントですね。認定理学療法士より呼吸療法認定士の資格取得を優先するべきとも思っています。


合格率は50~60%で、それほど簡単な試験ではないですし、講習会・受験費用などもそれなりに必要でしたが、十分リターンは得られます。




院内② 広報誌・HP・SNS

病院によっては広報誌や病院のHP・SNSなどを運用していると思います。内容としては、院内のイベントや取り組みの紹介、スタッフの紹介など、病院によってさまざまだと思います。


もし、そこに一枚噛めるチャンスがあるのであれば狙うべきです。例えば、学会発表や資格取得などの報告は、病院としてもプラスな要素なので、広報することに反対されることはないはずです。


自身のアピールもでき、それが病院の利益にもつながる。まさにwinwinですね。

院内③ 報告会

委員会報告会や研修報告会など、病院によって異なると思いますが、院内全体での報告会ですね。


もしこのような場で発表するチャンスがあるのであれば、積極的に掴みにいくべきです。


もちろん、発表内容も理路整然と分かりやすくまとめることが重要です。まず何より院内に自分の存在を広く知ってもらうだけでも十分に行う価値があります。

院内④ 委員会

入職後、ある程度経過すると院内の委員会に部署内で選出されることもあるかと思います。


医療安全委員会や感染防止対策委員会など、病院には複数の委員会が存在します。そして、委員長は病院長・事務長・看護部長など、他部署の管理職が勤めています。


委員会内でアピールできると、他部署の管理職者の目にとまるチャンスではあります。正直、なかなかアピールできる機会はないのですが、少なくとも議題がある場合には事前に自分の考えを持って参加すること、理学療法士の専門性を活かすような発言ができるといいと思います。


まとめ

以上が私が思う管理職への出世の道です。管理職になるには運の要素があることは否定できませんが、やはり日ごろから意識しているスタッフとしていないスタッフではチャンスは全く違ってきます。


また最近の風潮として、年功序列による出世は減ってきています


私の勤める病院は、革新的な病院ではなくいわゆる一般的な病院(むしろ保守的)ですが、それでも管理職に関しては年功序列の要素はほとんどなく、能力面で評価されています。


能力のない管理職を置くことは、部署の生産性を落とし、ひいては職員の退職につながることを経営陣は分かっているからです。


管理職でしか得られない経験は非常にたくさんあり、キャリアアップだけでなく人間としても大きく成長できる機会です。ぜひ管理職になりたい方は意識して行動してみて下さい。


投資信託について。知らないともったいない資産形成方法。

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本日は「投資信託」についての説明と、私自身のおすすめの投資信託を紹介します。


投資と名がつくと、敬遠しがちな人や、過剰にリスクを感じる人もいらっしゃると思います。


しかし、ご存知ですか?2022年度から高校の授業で「投資信託」なども含めた資産形成に関する授業が開始されます。


それだけ、今や投資に関する知識は必要不可欠で、知識がある人とない人とで格差が広がる世の中となっています。


ぜひ、資産形成のために勉強していきましょう。

投資信託(ファンド)とは

投資の世界は、投資を生業としているプロと一般人が少しでも利益を得るために、お互いにしのぎを削っている厳しい世界です。


そんな厳しい世界で、利益を出せる個人投資家はそう多くはありません。多くはの個人投資家はプロに利益を吸い取られています。


そこで、プロを相手取って自分で戦うよりも、自分の資金をプロに預けて代わりに株式で運用してもらう。それが「投資信託」のざっくりとしたイメージです。


「投資信託」はいわゆる商品で、非常にたくさんの種類があります。その数なんと6000本近く。「投資信託」という商品は、それぞれに運用方針が異なってきます。


例えば、日本株を中心に売買するものや、アメリカ株を中心に売買するなど、株式市場による区別もあります。


他には、特定のテーマに関連する株。例えば、「自動運転」、「宇宙開発」など、今後技術革新が期待されるテーマに関連する企業を中心に株式を運営するなどの投資信託もあります。




投資信託を利用するメリット

もしあなたが100万円を持っていて、ある1つの企業に投資するとします。企業の業績が伸び、株価も上がっていくと万々歳です。


しかし、予期せぬ不祥事が起き、業績が落ちたり、最悪の場合倒産などしてしまうと、100万円がパーになってしまいます。


それを防ぐためには、自分の資産を1つの企業に「集中投資」するのではなく、複数の企業に「分散投資」することが重要となります。


1つより2つ、2つより3つ、と投資する企業が多ければ多いほど、万が一、1つの企業の業績悪化したとしても自分が受けるダメージは減少します。


ただ、これから業績が伸びるであろう将来有望な企業を、働きながら個人がいくつも見つけることはなかなか至難の業ですよね。


だから、有望企業を見つけてそこに投資をし、利益をだすことを生業としているプロに、自分の資金を預けて運用してもらう「投資信託」というのは、理に適っているわけです。

投資信託の種類

さきほど投資信託は6000本近くあると伝えました。多すぎてどれを選べばいいか分からない!、そんな気持ちになりますよね。


しかし、つみたてNISAを利用して購入できる投資信託はなんと200本近くしかありません。6000本⇒200本まで減ると、少し調べてみようかと思いませんか??


ちなみに、6000本の中から選ばれたこの200本は、金融庁が定めた一定の条件を満たしたものです。要は、「しっかりと分散投資されていて、手数料が低くて、運用が安定している」と金融庁がお墨付きをした投資信託がこの200本です。

インデックス・アクティブ

200本の中から何を買うか。


投資信託は、①インデックスファンドと②アクティブファンドの2種類に分けることができます。


まず①インデックスファンドから。


これは「ある指数」に連動するよう設計された投資信託のことを指します。


「ある指数」とは、よくニュースで耳にする日経平均株価、TOPIX、ダウなどですね。これらは実は複数の企業の株価の平均を出した数字なんです。


日経平均株価は、日本の企業225社の平均株価の数字です。TOPIXは東証一部に上場しているすべての企業(約2000)の株価の平均です。


このように複数企業の株価で構成される指数に連動する投資信託を、インデックスファンドといいます。複数の企業に分散して集中できるメリットがあります。


あとで説明するアクティブファンドより、手数料が安いこと、長期的に見るとアクティブファンドより運用成績がよいことなどが特徴です。


次に②アクティブファンド。

こちらは名前の通り、積極的に株の売買を行うことを運用方針とした投資信託のことを指します。


社会情勢の方向性や、企業業績を調査などを行い、株の売買を行っていきます。インデックスファンドに比べると、企業業績の調査など労力が必要になるためやや手数料が高めに設定されている投資信託が多いです。


短期的に見るとインデックスファンドに比べ大きな利益を出すこともありますが、長期的には多くのアクティブファンドがインデックスファンドより成績が悪かったとの報告が出ています。


そのため、現在つみたてNISAで購入できる200本の投資信託の中に、アクティブファンドは10本程度しか含まれておらず、長期投資の主流はインデックスファンドとなっています。




おすすめ投資信託

まず購入するのであれば、手数料が安く、長期的にリターンが得られやすいインデックスファンドから選ぶことが大前提です。


インデックスファンドは、指数に連動した投資信託と説明しました。では何の指数に連動した投資信託を購入するかが非常に重要となってきます。


さきほど例として挙げた日経平均。日本企業225社で構成された指数ですが、いまだにバブル期(1989年)につけた最高値を超すことができていません。


どんどん人口が減少しており、少子高齢化で今後の働き手も危ぶまれている日本。今後、長い目で見て右肩上がりで成長していくのは難しそうですよね。


それに比べ、リーマンショックなどの一次的な下落はあったものの、長期的には右肩上がりで成長しているアメリカ。先進国で唯一、人口は増加傾向にあります。長期的な投資ではアメリカを外すことはまずありえません。


アメリカに投資する場合で主流なのが、S&P500という優良企業500社から構成される指数に連動する投資信託。もしくはアメリカに上場されているすべての企業に連動するような全米株式の投資信託。


この2つが圧倒的に人気です、どちらか1つをコアにして長期つみたて投資をすることが、リスクが少なく安定したリターンが得られると思います。


投資信託を調べやすいモーニングスターのサイトで検索すると、すぐに見つかりますし比較もしやすいと思います。


それに加えて、個人的にサブで投資しているのが新興国です。


アメリカは例外として、日本を含む多くの先進国では人口減少傾向にあり、今後もGDPの大きな成長は見込まれにくくなっています。


それに引き換え、インドやベトナムなど、新興国にはまだまだ成長の可能性が大きく残っていると思います。


中国も新興国に分類されていますが、2030年前後にはアメリカを抜き中国がGDPでトップに立ち、中国が世界最大の経済大国になると予想されています。


新興国の今後の成長を楽しみに、新興国に関連したインデックス投資もありかと思いますね。


以前は新興国に関するインデックスファンドは手数料が高いものが多かったですが、最近はSBI・VシリーズやeMAXIS Slimでも手数料が安い投資信託も出てきています。


アメリカへの投資に比べると、ややリスクが高くなるかもしれませんがその分得られるリターンも大きい可能性があると考えています。


ただし、あくまでメインはアメリカを中心にし、新興国はサブ投資にすることが大事です。


まずは投資信託の積み立てから投資を勉強していくことが入りやすいかなと思います。どの投資信託を購入するか、色々と悩むこともありますが、勉強にもなりますしだんだんと楽しくなってくると思いますよ。


ぜひ、将来の資産形成のために一歩を踏み出してみて下さい。


一般・つみたてNISAで悩む方対象。金融庁のデータで比較してみた。

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一般NISAが2014年、つみたてNISAが2018年から開始しており、NISA口座の利用者は年々増えてきているようです。


一般NISA・つみたてNISAのうちどちらか1つしか選択できないのが悩ましいところですよね。


これから始めようと思うけど、どちらにしようか悩まれている方。始めたけど、他の人がどのように利用しているのか知りたい方。


金融庁が発表しているデータをグラフ化してみたので、ぜひ参考にしてみて下さい。

一般NISA・つみたてNISAの割合

まず全体の一般NISA・つみたてNISAの口座数の割合のグラフです。

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NISA制度利用者のうち、3/4が一般NISAを選択しているんですね。


一般NISA制度が2014年から開始、つみたてNISAは遅れて2018年から開始しています。


一般NISAからつみたてNISAへの変更も可能ですが、手続きに時間を取られることもあるので、そのまま一般NISAを利用している人も相当数いるかもしれませんね。


2020年度と2021年度の口座数の違いを比較してみました。

まずは一般NISA。

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ほぼ全世代を通して横ばいで、大きな増加も減少も見られていませんね。


次につみたてNISA。

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20ー50代にかけて大きく増加傾向にあるのが分かりますね。特に20代では2倍近くに増えています、今後も若い世代の利用者が増えそうです。


次は、世代ごとの一般NISA・つみたてNISAの比較

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若い世代ほどつみたてNISAの割合が多く、40代以降で徐々に一般NISAの割合が多くなっていますね。


つみたてNISAの一番の武器は「時間」ですから、若い世代がつみたてNISAを選択するのは理に適ってますね。


ただ、今後は長寿、80歳以上生きることが当たり前になってくるので、40-50歳代の方もつみたてNISAを検討する価値は十分にあると思います。



一般 NISA・つみたてNISAの買付商品

次は、実際にみんなはどのような商品をコアに購入しているのか。


まずは一般NISAの買付商品です。

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私の予想では圧倒的に上場株式が多いかと思っていましたが、実際には投資信託が一番多く購入されているんですね。


つみたてNISAでは購入できない投資信託もあるので、一般NISAで購入しているんでしょうか?


ただ、投資信託の基本は長期保有です。「時間」をかけることでその恩恵を享受できることが知られています。


つみたてNISAは20年間の非課税期間がありますが、一般NISAでは基本的に5年間しか非課税期間できません。なので一般NISAでの投資信託ではあまりその恩恵を得られないような気もします。


次に、つみたてNISAによる買付商品です。

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投資信託は基本的にインデックスとアクティブの二つに分けられますが、やっぱりインデックス投資の圧勝ですね。


長期で見ると、アクティブよりインデックスの方が利益率が良いとのデータも出ていますから、やはりつみたてNISAの場合はインデックス投資で長期保有がベストだと思います。


以上がまとめになります。


改めて自分の運用方針と実際の利用者の現状を比較してみてもいいかと思います。


他の人の運用方針を知ることも良い勉強になりますからね。


【必見】乗り遅れるな。NISAによる資産形成には時間が圧倒的な武器!

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老後2000万円問題が一時騒がれました。あの問題の正確性はともかく、老後にどのように備えるのか、改めて考えるきっかけにはなったともいます。


また最近ちまたでブームになった「FIRE」

Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)の略ですが、政府もつみたてNISA、一般NISA、iDecoなどを開始し、確実に「貯蓄から投資」へ舵を切っています。


これらの制度を知ったうえで利用しないのであれば問題ないですが、よく知らないから利用しないのは本当にもったいないと思います。


早期リタイアの難易度はそれなりに高いですが、ある程度の期間投資に回せるのであれば、銀行に貯金しておくよりはずっと資産形成につながります。


投資の世界では「時間」というのは非常に強い武器です。今はお小遣い程度の少額でも「時間」を武器にすることで、十分資産形成につながります。


本日は、NISA制度やFIREなどについて、簡単にまとめたいと思います。

NISA制度の利用者数

NISA制度自体はあとで説明しますが、まずはNISA制度の利用者数を確認しましょう。


NISA制度を利用するためには銀行・証券会社などで専用の口座を開設する必要があります。マイナンバーと紐づけするので一人につき1口座しか開設できません。


金融庁の発表では、一般NISA・つみたてNISAを合計すると1654万8428口座がすでに開設されています。ちなみに一般NISA・つみたてNISAどちらかしか口座開設できません。


学生や高齢者など自分の意志で開設できない人口を除外すると、勤労世代では実質20~30%程度はすでにこの制度を活用しているのではないでしょうか?


今後も利用者は増え続けると思うので、乗り遅れないことが大事です。




NISA制度とは

NISA制度には一般NISA・つみたてNISAの二種類があります。どちらか一つの制度しか利用できません。


基本的なメリットはどちらも同じです。


まず一般的に、株式・投資信託などの金融商品を購入し売却した際に利益がある場合には、利益に対しておよそ20%の税金がかかります。


NISA制度を利用して購入・売却すると、利益が出た場合でも税金がかからず、そのまま利益を手にすることができます。節税につながるということですね。


一般・つみたての違いは、金融商品を購入できる上限の違いと保有できる期間の違いです。


一般NISAは、株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。

つみたてNISAは、投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。


どちらもメリット・デメリットがあり、どちらの制度を利用するかは個人の経済状況や投資に対する考え方などによって変わってくると思います。

 
ただ、最初にも述べたように個人投資家の一番の武器は「時間」です。


おそらくこの記事を読んでくれている方は、多くが20~30代だと思います。投資経験の少ない方や少額の投資から始めたい方は、つみたてNISAの利用によるつみたて投資がおすすめです。


参考ですが、日本証券業協会が発表しているデータでも、20-30代のNISA制度利用者のうち、約2/3がつみたてNISA口座を選択しているとのデータもあります。

FIREとは

「FIRE」とはFinancial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)であることは最初に説明しました。


FIREにも色々な方法、種類がありますが、現在主流となっているの「年間支出の25倍の資産」「年間利益4%」の投資商品で運用する、というものです。


補足していきますね。


まず「年間支出の25倍の資産」ですが、1ヵ月の生活費が20万円とするなら1年で240万円。その25倍は6000万円。


6000万円の元本で「年利4%」の投資商品を運用すれば、1年間で240万円の利益が出ます。


その利益を生活費に回すことで、元本は目減りせず、翌年以降も永続的に240万円という生活費を生み出してくれます。これがFIREの基本的な構図です。


ではどうやって6000万円を貯めるか。ここからが先ほどから説明しているつみたてNISAを利用したつみたて投資の出番ですね。




つみたて投資×複利効果

つみたて投資とは毎月一定の額で投資信託などの投資商品を購入していくことです。
(投資信託についてはまた後日に別記事で紹介します。とりあえず投資信託という株式があるとの理解で大丈夫です)
www.rihasuta.net


つみたて投資を長期的に行うことで「複利効果」を得ることができます。


「複利効果」とは、運用で得た利益分を元本に加算して運用(再投資)することを言います。この場合、利益が雪だるま式に増えていくことが期待できます。


例えば、100万円を年利10%の投資信託に投資した場合を考えてみます。

1年目:元本100万円に対して10%の利益なので、利益は10万円。この利益を再投資するので最終的に元本は110万円。
2年目:元本110万円に対して10%の利益なので、利益は11万円。最終的に元本は121万円。
3年目:元本121万円に対して10%の利益なので、利益は12.1万円。最終的に元本は133.1万円。
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これを30年まで計算したグラフが下のグラフです。

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このように再投資により元本がどんどん増えるので、利益も雪だるま式に増えていく、これが複利効果です。


今回の設定では、最終的におよそ2000万円に膨れ上がりました。


ただし、複利効果を分かりやすくするために年利10%を例にしましたが、現実で年利10%はかなりレアケースだと思ってください。


これで複利効果のイメージはつかめたと思います。でも100万円もポンッとすぐに投資まわせる20-30代は少ないと思います。


ここで「つみたて投資」×「複利効果」、最強のタッグの説明です。


毎月一定の金額を年利5%の投資信託に30年間つみたてた運用利益をシミュレーションしたのが下の表です。

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()内の数字は、純粋なつみたて金額です。最初のうちは、つみたて金額と運用利益とで大きな差はありませんが、年数が経つにつれどんどん利益が膨れ上がっているのが分かると思います。


ちなみに年利5%はかなり現実的な数字なので、十分に狙えます。


少し、「年間支出の25倍の資産」が現実的に見えてきませんか?

FIREへの近道

①複利効果を最大限に得るには、なるべく早めに少額からでもつみたて投資をはじめること。

②毎月のつみたて額を増やせるように、副業による収入↑、日々の生活を見直し支出↓を図る。

③来設計を考慮した上で、ボーナスなどの余裕資金があれば、毎月のつみたて投資に加えて余裕資金も投資に回すこと。


こうすることで、「年間支出額の25倍」に到達する期間の短縮になると思います。


また、FIREには至らないまでも、十分な老後資産の蓄えにつながることは間違いないです。


日本の家計金融資産の内訳では「現金・預金」が54.2%と半数を占めています。それに比べるとアメリカでは「現金・預金」が13.7%、その分を株式・投資信託などの金融商品に投資しています。


なので、アメリカでは投資することが当たり前の風土ですが、日本ではどうでしょうか?


「株をやってる」「投資をしてる」などに対して、あまり良いイメージを持たない人がかなりいると思います。なかなか人前でオープンに話す話題でもないのがまだまだ日本の現状です。


まだまだ少数かもしれませんが、それでも着実に「実は投資を行っている人」「投資に興味を持っている人」は増えてきています。


今回の記事をきっかけに投資に興味を持ってもらい、行動に移る人が少しでも増えてくれたら幸いです。


後日、投資信託の説明と私のおすすめの投資信託についても説明します。


新制度の認定理学療法士の取得・更新について。更新のハードルが上がっていた!

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導入が延期されていた新生涯学習制度


何気なく確認していると、認定理学療法士の取得・更新の要件にかなり変更があったのでまとめました。


特に、更新の要件が少しハードルが高くなっているので注意が必要です。

登録理学療法士の取得が前提

認定理学療法士を取得するには、まず登録理学療法士を取得する必要があります


登録理学療法士が基盤にあり、さらなるキャリアアップを目指す場合に、認定・専門理学療法士の取得を目指してください、という形ですね。認定・専門理学療法士は上位資格になるわけです。


ただし、認定理学療法士と専門理学療法士は並列の扱い。


登録理学療法士を取得するには、前期研修として座学22コマ(33時間)、実地研修32コマ(48時間)。後期研修として座学51コマ(76.5時間)、実地研修3年が必要になります。

認定理学療法士の要件①指定研修

協会が定める12のテーマを受講する必要があります。1テーマにつき90分なので、合計18時間を要します。eラーニングのみとなります。


テーマは以下のような内容になっています。
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「臨床」というよりは、医療人に向けた内容という感じですね。最後に、突然「足病変予防の理学療法」が放り込まれていますが。




認定理学療法士の要件②臨床認定・必須

ここからは取得したい認定理学療法士の分野ごとにカリキュラムが分かれており、各分野それぞれ15のテーマが用意されているので受講する必要があります。


例えば、脳卒中認定理学療法士であれば、以下のような内容です。これも1テーマにつき90分なので、合計22.5時間かかります。eラーニングor対面で受講可能です。

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認定理学療法士の要件③臨床認定・選択

さきほどの15のテーマとは別に、各分野8のテーマが用意されているのでその中から5つ以上選択して受講します。


脳卒中認定理学療法士であれば以下のような内容です。これも1テーマ90分で、eラーニングor対面となります。

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認定理学療法士の要件④学術研修大会

日本理学療法学術研修大会への参加が必要です。研修形式は「対面」とされています。コロナ終息後を想定していると思われるので、現地参加する必要があります。


ちなみに2022年は富山で開催予定で7/9・10の日程となっています。

認定理学療法士の取得⑤認定試験

①~④の条件を満たせば認定試験を受けることができ、合格すれば晴れて認定理学療法士の資格がもらえます。


以前までは10症例分の症例報告レポートも要件に入っていましたが、新生涯学習制度移行後は要件に入っていないようですね。まぁおそらくチェックする側の負担も相当大きかったと思うので、廃止になったんだと思います。


合格率は現行制度上では各分野にもよりますが、だいたい80~90%前後といったところだと思います。


新生涯学習制度に移行した際に、難易度をどのように調整されるかはまだ未定ですね。希少価値を上げるといっているので、もしかしたら少し合格率は下がってくるかもしれません。

認定理学療法士の更新

①下記のいずれかの活動を1つ行うこと
 ・都道府県理学療法士会学術雑誌への投稿(筆頭著者に限る)
 ・ブロック主催学会での一般発表の筆頭演者
 ・都道府県理学療法士学会での一般発表の筆頭演者


②維持・研鑽のための活動における100点の取得
詳細はかなり細かいので協会HPで確認してください。


③更新時研修
集合研修で1日程度、またeラーニングでの受講も検討しているようです。


一番ネックなのは、①の学術誌への投稿、もしくは学会発表じゃないですかね。


5年に1回なので十分な準備期間はとれるとは思いますが、正直そういった活動が苦手な方も一定数いると思います。やってみれば意外とたいしたことないですが、やるまでのハードルが高いですよね。


職場の理解も多少必要なのと、指導してくれるスタッフがいるかどうかも重要になってくるように思います。


ちなみに6回目以降の更新要件は緩和することを検討されているようですが、まだ詳細は不明です。でも5年おきに更新で6回目以降て、、、30年後の更新、、、。PTやっとるかどうかもあやしい。


認定理学療法士の取得を考えている方も大勢いると思いますが、取得までの要件だけでなく更新のために何が必要かもしっかり把握しておいた方が良さそうです。


【最新】令和4年度診療報酬改定。リハビリ関連の個別改訂項目のまとめ。

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先日、令和4年度診療報酬改定の個別改定項目が掲示されました。


とりあえずリハ関連の項目の概要をざっとまとめてみました。


その後、答申も出されたので点数なども更新しています。


早期離床・リハビリテーション加算の見直し

早期離床・リハビリテーション加算の算定対象に、救命救急入院料、ハイケアユニット入院管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料を算定する治療室が加わりました。


基本的には入室して14日以内のみに取れる加算です。入室から14日内を限度として500の加算が付きます。


ちなみに現在は、特定集中治療質管理料のみがこの加算の対象とされており、入室から起算して14日を限度として500点の加算がついています。



また当該加算に関わる職種に言語聴覚士が追加されました。




地域包括ケア病棟入院料の評価体系の見直し

こちらは地域包括ケア病棟の実績に関する見直しですね。「在宅復帰率」「自宅等から入院した患者割合」の要件について見直されるようです。


現在は、地域包括ケア病棟入院料1・2では在宅復帰率は「7割以上」ですが、これが変更され7割2分5厘に引き上げられました。


また入院料3・4に関しては、今までは「在宅復帰率」に関する実績要件はありませんでしたが、今回の改定により在宅復帰率が「7割以上」と定められました。


そして、入院料1・3では自宅等からの入院した患者割合が「1割5分以上」であることが要件としてありましたが、この数字も変更され、「2割以上」に引き上げられています。


また緊急入院の入院患者の3ヶ月の受け入れ人数が、現状は「6人以上」でしたがこれも「9人以上」に引き上げられています。


ただし、包括ケア病床室が10床未満の場合は「8人以上」とされるようです。

回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系及び要件の見直し

現状の回復リハビリ病棟入院料5を廃止し、現行の回復期リハビリ病棟入院料6を入院料5として位置付けるそうです。


6段階の入院料が5段階になったということですね。なぜ廃止されたのか、詳細は読み解いていかなければ分かりません。


また回復期入院料1・2の重症患者割合が現行の「3割以上」⇒「4割以上」、3・4に関しても現行の「2割以上」⇒「3割以上」に変更


回復期入院料1・3に関しては施設基準に関して、「公益財団法人日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けている病院、またはこれに準ずる病院であることが望ましい」が追加されそうです。


今回の改定では、「望ましい」との表記なので義務付けはされていませんが、おそらく今後は義務付けになってくるでしょうね。


この背景には、実績指数を導入して以来、回復期入棟時のFIMの評価点数が下がっており、実績指数を上げるために意図的にFIMを下げて評価している病院があるんじゃないかとの指摘が以前からありました。


病院機能評価の認定を受けていない病院で、特にそれが顕著であるとのデータもあるため、今回追加されたようですね。


これは今後対策が必要になってくる病院が多いと思われます。




回復期リハビリテーションを要する状態の見直し

回復期リハ病棟の対象疾患として新たに、「急性心筋梗塞、狭心症の発作若しくはその他急性発症した心大血管疾患の発症後また手術後の状態」が追加されました。


リハビリ実績指数の算定対象から除外する場合でも、FIMの測定は行うことが義務付けられています。おそらく効果判定として把握しておきたいのでしょうね。


また入棟時、入棟後も月に1回以上は心肺運動負荷試験を実施することが望ましいとされています。


また当たり前ですが、心大血管疾患リハに係る届出を行っている保険医療機関とされています。


すでに心リハを提供している病院では回リハの対象疾患が増えることは恩恵がありそうですね。


ただ、心リハを行うには、心リハを提供している時間帯に循環器内科又は心臓血管外科の医師が常時勤務している必要があるため、なかなか新規参入は困難かと思われますね。


特に回リハは休日もリハビリを行っている病院が多いと思われるので、休日を含めた医師の勤務調整はなかなかハードルが高いと思います。

リハビリテーション実施計画書の署名欄の取り扱いの見直し

実施計画書の署名に関して、患者自身の署名が困難であり、かつ患者家族が遠方に居住しているなどの理由で署名が困難な場合には、家族等に情報通信機器等を用いて計画書の内容を説明の上、リハビリの継続の同意が得られた旨を診療録に記載すれば、署名がなくてもOKになりました。

ただし、その場合でも家族等へ計画書の交付が必要になります。


また疾患別リハを初めて実施する場合は今まで通り署名をもらう必要があるので注意が必要です。


電話等で説明して同意を貰う→診療録にその旨を記載→後日計画書を郵送の流れで行けそうですね。


ただ、実際の実務の流れで考えると、電話連絡しても結構つながらないことが多いこと、折り返しもないこと、折り返しのタイミングがリハ中であったときの対応などを考えると、ある程度スタッフに対してルールの設定・教育が必要になるのかと思います。

透析中の運動指導に係る評価の新設

人工腎臓を実施している患者に対して、医師・看護師・理学療法士等が、療養上必要な訓練等について指導を行った場合は、透析時運動指導等加算が算定可能になります。


ただし、指導を開始した日から90日を限度として75点の加算が取れます。


腎リハが最近注目されているので、これは理学療法士にとっては朗報ですね。




継続的な二次性骨折予防に係る評価の新設

二次性骨折予防継続管理料というものが新しく新設され、1~3の3種類に分かれています。


管理料1が1000点、管理料2が750点、管理料3が500点となっています。


管理料1は、大腿骨近位部骨折を発症し、手術治療を担う病院の一般病棟に入院している患者に対して、骨粗鬆症の有無に関する評価、必要な治療を実施した場合に入院中に1回算定できます。


管理料2は、地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟において、急性期病院にて管理料1を算定していた患者に対して、継続して骨粗鬆症の計画的な評価、治療を行った場合に入院中に1回算定できます。


管理料3は、管理料1を算定していた患者の外来治療において、継続して骨粗鬆症の評価・治療を行った場合に1ヵ月に1回算定できます。


確か、ある調査で骨粗鬆症の治療適応患者のうち、実際に治療をしていた患者は約20%であったという結果や、治療開始しても5年で約半数の患者が治療から脱落しているとの報告があったと思います。


今回新設された加算で、骨粗鬆症患者に対する治療の継続率が改善されるといいですね。骨粗鬆症リエゾンサービスなんかを頑張っている病院が報われそうです。


ざっとはこのような内容です。気になる項目があれば、厚生労働省のHPで詳細を確認してみてください。今までの議論の流れも確認するとより方向性がつかめると思います。


2024年の放課後デイ再編に関する素案。総合支援型・特化型の考え方。

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前回の記事で、厚生労働省が放課後デイを再編する方針を示し、今後公費対象外の事業者が出てくる可能性があることを紹介しました。


今回は、障害児通所支援の在り方に関する検討会で作成された報告書(素案)の要点を紹介したいと思います。


2024年の報酬改定にも強く影響してくる内容だと思われますので、確認しておきたいところです。

検討の背景

平成24年に児童発達支援・放課後等デイサービスを中心とする制度体系の骨格が作られました。


その後、約10年が経過し、児童発達支援は8,298箇所(平成24年比で4.5倍)、放課後等デイサービスは16,718箇所(平成24年比で6.5倍)と、飛躍的に増加しています。


この状況を見ると、中学校区程度の日常生活圏域に、1箇所程度ある地域が平均的になっており、サービスを受けることができる環境は大きく改善したと考えられます。


一方で、多様な主体の参入等もあり、障害児通所支援として求められる適切な運営や支援の質の確保が常に課題とされています。


これらの現状も踏まえ、今後の障害児通所支援の在り方について検討するため、この検討会が作られました。


制度改正や障害福祉サービス等報酬改定を視野に、制度的に対応すべき点を検討されています。


なので、今回の報告書でまとめられた素案は、実行される可能性が高いと言えます。




障害児通所支援の利用の現状

障害児通所支援の利用児童数は、この5年間で約2.3倍、費用額は約2.8倍に増加しており、これは他の社会保険給付費と比較しても大きな伸びとなっています。特に、「利用者数」の伸びが大きく寄与しているとされています。


こうした利用者数の伸びは、発達障害の認知の社会的広がりよって、年少期の間に発達支援に繋がるようになってきたことが考えられます。


しかし、今後もまだ顕在化していない支援ニーズがあり、障害児通所支援の利用者数は、今後も増加する可能性があると検討会では考えられています。

放課後デイの役割・機能の在り方に関する検討の方向性

ここからが、具体的に今後の放課後デイに関する変更案が示されている部分です。


ガイドラインでは、①自立支援と日常生活の充実のための活動、②創作活動、③地域交流の機会の提供、④余暇の提供を組み合わせて行うこととされています。


ガイドライン創設時の議論では、この4つの活動の全てを行うことで、総合的な支援を本来の支援の在り方として想定されていました。


一方で、現状のサービス提供の実態では、一部のプログラムに特化した事業所が存在し、利用する事業所の得意とする支援に偏ってしまうことが懸念されています。


こうした点も踏まえ、特定領域の支援のみを提供するのではなく、多領域の支援をカバーした上で、個々の障害児の状態に応じて、特に重点を置くべき支援内容を決めていく「総合支援型」(仮称)を基本型とする方向で検討すべきとされています。


その上で、特定領域のプログラムに特化した支援のみを行う事業所の場合は、専門性の高い有効な発達支援(理学療法、作業療法、言語療法等)については、「特定プログラム特化型」(仮称)の放課後等デイとして位置付ける方向で検討すべきと記載されています。


また、見守りだけで個々の障害児に応じた発達支援がなされていない場合に加え、学習塾のような学習支援のみとなっている、ピアノや絵画のみの指導となっている等、有効な発達支援と判断できない場合や、サービス提供内容から、障害のない子どもであれば私費で負担している実態にあるような内容については、公費で負担する障害児通所支援の内容と相応しいとは言えないと考えられると指摘しています。


以上が報告書(素案)の特に放課後デイに関する内容です。


児童発達支援に関しても書かれていますので、そちらに興味がある方は原文を確認してみて下さい。


【激震】放課後デイに再編の動き。経営者・理学療法士への影響は?

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2021年12月6日に放課後等デイサービスに激震のニュースがありました。


厚生労働省は、放課後等デイサービスの事業所を大きく二つのタイプに再編し、塾や習い事のようなケースは公費の支給対象から外す方針を固めた、というニュースです。


これまで放課後デイの事業所は年々増えていましたが、この再編によっては今後は潰れる事業所も出てきそうです。


このニュースによって経営、理学療法士にどのように影響するかまとめました。

放課後等デイサービスとは?

自分の地域でも見かけるけど、実際にはどんなことをやっているのかは分からない、って方も結構たくさんいるんじゃないかと思います。


自分の子どもが利用している、もしくは放課後デイ等で働いているスタッフでない限り、あまり知る機会もないように思います。


「放課後デイ」ができてからまだ間もないですからね、2012年に制度がスタートしたので10年ほどです。


放課後等デイサービスとは児童福祉法に基づくサービスで、障害児通所支援というものに分類されます。


障害福祉サービスの一環なので、利用料の一部は公費で負担されます。介護保険サービスと同じような仕組みですね。


基本的には利用料金の1割を自己負担、残りの9割が公費負担となります。


また月額上限額も設定されており、世帯所得によって下の表のように決まっています。
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なので、基本的に利用料金の1割を自己負担しますが、利用料金ががどんなに増えても自己負担額は最大でも月額上限額を超えることはありません。




放課後等デイサービスの対象

原則として、6歳から18歳までの就学児童が対象となっています。


また障害手帳、療育手帳、精神障害書保健福祉手帳などの手帳を所持する児童。


もしくは主治医意見書(発達障害等と診断され、療育の必要性が記載されたもの)がある児童が条件となっています。


これらを満たしている児童が放課後デイを利用可能です。


放課後デイは保護者の負担軽減も目的の1つになっているので、保護者の就労自体は利用条件には入っていません。

放課後等デイサービスの再編

ここからが今回の重要な内容です。


障害福祉サービスで行われている放課後デイですが、今後は①総合支援型、②特定プログラム特化型の2つの種類に再編されることになりました。


どのような要件で再編されるかは今後の議論を待つ必要がありますが、学習塾・ピアノ教室のような事業所は、障害特性を踏まえた支援になっていないと判断された場合は、給付の対象除外となる可能性があります。


今回の再編に至った経緯には、いくつか要因があると考えられます。


1つに、放課後デイの運営事業者の不正請求が相次いでいたこと。


人員基準を満たすために、職員の数を水増しして請求を行っていたり、実際には在籍していないにもかかわらず利用者そのものを水増し請求していたり、、、。


結構やりたい放題していたんですね、もちろん一部の事業者ですが。


また不正請求だけでなく、実際に子どもたちに提供しているサービス内容に関しても以前から議論されています。


ただ、テレビを見せているだけ、宿題をさせているだけの事業者もいることが問題視されています。


これを受けて、放課後等デイサービスガイドラインが作成されましたが、まだまだ本来放課後デイに担うサービスが十分に提供できていない事業所も多く、今回の再編はそれらの事業者をあぶり出すためだと思われます。




理学療法士への影響

今回のニュースの影響もそうですが、今後、放課後デイに関しては締め付けが強くなると思われます。まぁ今までがゆるゆるだったこともあるのかもしれませんが。


放課後デイサービスの利用料を定める障害福祉サービスに関しても、医療・介護保険と同様に定期的に報酬改定が行われます。


3年おきに行われるので、次回は2024年に改定されます。そこではかなり踏み込んだ改定になることが予測されますね。


さて、この流れが理学療法士にどんな影響があるのか?


実は放課後デイで勤務している理学療法士って一定数いるんですよ。理学療法士を配置することで得られる加算(専門的支援加算)もあるぐらいです。


そして、今回のニュースの再編のうち特定プログラム特化型には、おそらく理学療法士等の専門職の存在が大きく関わってくると思います。


障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書(素案)の中身にも以下のような記載があります。


特定領域のプログラムに特化した支援のみを行う事業所の場合であっても、専門性の高い有効な発達支援(理学療法、作業療法、言語療法等)については、「特定プログラム特化型」(仮称)の放課後等デイサービスとして位置付ける方向で検討すべきである。


となると、現在、理学療法士等の専門職を配置していない事業所の中には、今後理学療法士の獲得に走り、特定プログラム特化型の事業所を目指すところも出てくると思います。


ちなみに放課後デイの理学療法士の求人を確認すると、だいたい25万円前後が多い印象です。中には30万などの条件もありました。


地域差もあるとは思いますが、これよりも低い条件の回復期病院も結構あるんじゃないでしょうか?


また小児分野で働く理学療法士の数はそれほど多くないため、売り手市場となり今後徐々に待遇が引き上げられることもあるかもしれません。小児分野に興味のあるスタッフには転職の追い風になるかもしれませんね。


ただ気を付けたいのは、今回の再編を機に、放課後デイの事業所の見直しやそれを踏まえた報酬改定が進むと思われ、今後は乱立していた事業所は徐々に淘汰されることが予想されます。


しかし、少子化が進むとはいえ、一定数の利用ニーズは必ずあり、生き残った事業所にはよりニーズが集中することも考えられます(生存者ボーナス)。


今後、この再編が具体的にどのように進んで行くか注目していきましょう。


2022年の診療報酬改定。リハビリ関連の今のところの話題。

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2022年に診療報酬改定が行われますね。コロナ禍のバタバタのせいで、いまいち診療報酬改定に気が向きにくい雰囲気を感じています。


ここ最近の改定では、回復期リハビリ病棟における実績指数の変更や、生活期リハビリ患者の介護保険サービスへの移行など、現場では少しばたばたするような改定もあり、改定前から情報収集に奔走していました。


が、今年に関して今のところ現場レベルで右往左往するような大きな変更は予定されていませんが、いくつか議論されている内容を紹介したいと思います。

回復期リハ病棟の対象に心リハ患者を追加

心大血管疾患の患者数、心大血管疾患リハの実施数は年々増加しています。

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心大血管疾患患者の平均在院日数は約2週間程度ですが、高齢患者ではこの期間での歩行退院が困難なケースが増えてきているみたいです。


そのため、急性期病院の在院日数が延長し、医療資源の浪費や稼働率の低下を招くという状態になっています。


もはや、「急性期の一般病棟を基本とする従来型心リハ処方は限界を迎えている」と、心リハガイドラインにも記載されています。


そこで、急性期後に継続してリハビリが必要な患者を、回復期リハビリ病棟で受け入れてはどうか?という点が検討されているんです。


現在、回復期リハビリ病棟に入棟できる疾患は、脳卒中や脊髄損傷などの脳血管疾患、大腿骨・脊椎骨折などの運動器疾患、外科手術後または肺炎後などの廃用症候群、股・膝関節の神経・靭帯損傷、股・膝関節の置換術後が対象とされています。


「外科手術後の廃用症候群」で回復期リハができないわけではないですが、正式に心大血管疾患を対象疾患として含めることを検討しているということですね。


心リハを行うには、リハビリの実施時間帯に専任の医師が常勤しているなどの条件が必要になりますが、回復期リハビリに新たな選択肢が増えること自体は良いことだと思いますね。




FIMの評価

2016年に回復期リハ病棟のアウトカム評価に実績指数を導入して以降、回復期入棟時FIMが年々低下している問題ですね。


実績指数の面では入棟時と退棟時のFIMの差が影響するので、入棟時のFIMが低いほど改善の幅が大きくなります。


厚生労働省的には、作為的に入棟時FIMを低く評価してるんじゃなかろうか、といった感じです。


さらに、今厚生労働省が着目している点は、病院機能評価で認定を受けている病院と受けていない病院とのFIMの違いです。


認定を受けている病院に比べて、認定を受けていない病院の方が入棟時FIMが低い傾向にある、という結果が出ているみたいです。


つまり、認定を受けていない病院はガバナンスが効いておらず、FIMを低めに採点しているんじゃない?ってことですね。


もしかしたら、今後は第三者機関である病院機能評価の認定が、なんらかの形で絡んでくるかもしれませんね。


ただ、まだまだ現状として病院機能評価の認定を受けている病院は圧倒的に少ないので、すぐのすぐにどうこうということはないとは思われますが。


このFIMの話題に関して個人的には、急性期の在院日数が短くなり、よりADLが低下したまま回復期に転院になっていることが結構影響していると感じてます。


当院の回復期病棟には、脳卒中でも発症から14日前後、早ければ10日で回復期に転院してきます。5~6年前は20~30日経過して転院されていたので、そりゃ今の方がFIMが低いでしょ、って感じです。


どのような着地点に落ち着くのか、続報が気になります。

リハビリテーション実施計画書

おそらくどこの現場でも苦労しているであろうリハビリ実施計画書。


特にこのコロナ禍で面会制限もあり、家族の来院がめっきり減るなどして、なかなかリハビリ実施計画書の説明の機会の確保がむずかしいですよね。


今回の議論の中に、この計画書への署名のあり方に関しても話題に挙がっています。まだ具体的な案は出てはいませんが、少しでも医療スタッフ・患者家族の負担軽減に繋がるような改善策が出てくるといいですね。


以上が、今のところの議論のまとめです。進展があればまた紹介します。


診療情報管理士の魅力。理学療法士が診療情報管理士の資格取得にチャレンジ。

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理学療法士として20年近く働いてきましたが、今後も定年まで理学療法士として走り続けるのか、はたまた違う道を歩むのか。


少し思うとこもあり今後のキャリアアップのために、診療情報管理士の資格にチャレンジしてみることにしました。


診療情報管理士の紹介と私なりの展望についてまとめました。

診療情報管理士の魅力

「診療情報管理士の名前は聞いたことあるけど、具体的にどんな仕事をしているのかは分からない。」そんな人もたくさんいるんじゃないでしょうか?


正直、私もいまでもよく分かっていません。他の医療事務と何がどう違うのか?


なんとなくDPCやコーディングに関する知識が高いんだろうなぁぐらいの認識です。


日本病院協会が診療情報管理士の通信教育を実施していますが、その協会が診療情報管理士現況調査アンケートというものを行っています。


実際に診療情報管理士として働いている人に、今の業務に関するアンケートを定期的にとっているみたいですね。


その結果が下の写真です。

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年々、診療情報管理士が行っている業務、また期待されている活躍の場が変わってきていることが分かります。


DPC関連や請求はイメージ通りですが、最近は経営分析なども業務として行われているみたいです。


診療情報管理士に関わらず、近年は医療事務による経営分析が期待されるようになってきています。


もちろん、今までも医療事務の中で経営に関する業務も行われていたと思いますが、最近は医療事務とは別部署として「経営企画室」など、経営方針に特化した部署を設置する病院が増えてきていますよね。


DPCなどのデータを有効活用し、データに基づく経営分析・経営企画を出せる診療情報管理士は個人的には非常におもしろそうな職種に見えます。



診療情報管理士の取得の流れ

さて、そんな診療情報管理士の資格の取得方法です。


日本病院協会が行っている通信教育を受講し、認定試験に合格することで、診療情報管理士の受験資格が得られます。


通信教育の修業期間は基礎課程1年、専門課程1年の合計2年となっています。


「2年はさすがにしんどい…」、そう思ったコメディカルの方!朗報です!


医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の資格を持っていれば、基礎課程は免除され、専門課程の1年の受講で受験資格がもらえます。


1年ならなんとか頑張れそうな気がしませんか?


しかも通信教育は、以前はスクーリングもあったみたいですが現在はオンライン授業のみで自宅で自分のタイミングで受講できるようになっています。


働きながら資格取得を目指す方にはなんともありがたい時代になりましたよね。


気になる受講料ですが、専門課程のみの方は11万円。基礎・専門課程両方を受講される方は22万円となっています。


申し込みは、前期・後期の2回に分かれており、前期は4月1日から申し込み、実際の開講は7月1日から。後期は10月1日から申し込み、1月1日から開講のスケジュールになっています。


興味がある方はぜひHPで確認してみてください。

資格取得後の展望

SNSなど見ていると、理学療法士から経営企画室など経営に関する部署に異動されている方は最近では珍しくないです。


もちろん、自部署で成果を出したことで抜擢され異動になったのだとは思いますが。


私自身、現在も臨床を行っており、日々、臨床のおもしろさ・難しさを感じているところです。何年経っても難しさの方が圧倒的に多く感じますが、、、。


ただ、理学療法士でいつまでも現場で臨床を行うにも、少なからず年齢的なハードルもあると思います。40歳近くになると本当に痛切に感じます。


臨床から経営に少しずつ舵を変更する意味でも、診療情報管理士をひとつのとっかかりにするのはありなのかと思っています。


2022年1月から受講を開始するので、診療情報管理士がどんな内容を勉強するのか、少しずつ紹介していきたいと思います。