リハスタ

   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

MCI(軽度認知障害)の詳細と進行予防・改善のために理学療法士に何ができるか??

本日はMCI(軽度認知障害)についてまとめてみたいと思います。


みなさん、MCIとゆー言葉にどの程度馴染みがあるでしょうか??


認知症やアルツハイマー病などの言葉に比べると、あまり一般的な認知度はまだまだ低いかもしれませんね。リハ職の中でも十分に浸透しているとは思いません。


患者様の中には、MCIにあたる人も大勢いらっしゃると思います。そのような方に、単にリハ対象疾患に対してアプローチするだけでなく、MCIの進行予防の観点からもエビデンスを持ってアプローチできたらなーと個人的に思っています。

MCI(mild cognitive impairment)と認知症


65際歳以上の認知症の人数は約462万人とゆわれています。さらに、MCI(軽度認知障害)と呼ばれる認知症予備軍の人数は400万人とゆわれており、合わせると800万人を上回ると推計されています。


MCIの多くは数年以内にアルツハイマー病を代表とする認知症へ移行することから、認知症の早期診断との関連で注目されています。


今後は、総人口の減少にも関わらず、認知症者数は今後もさらに増加すると考えられており、認知症対策は喫緊の課題とされています。


少しでも理学療法士が運動等を介して進行予防・改善に関われれば今後の職域拡大にもつながるかもしれませんね。

MCIの基準と詳細

MCIの診断基準として、
①主観的な物忘れの訴えがある
②年齢に比し記憶力が低下(記憶検査で平均値の1.5SD以下)
③日常生活動作は正常
④全般的な認知機能は正常
⑤認知症は認めない
が我が国で最も使用されている基準だそうです。


また、最近ではMCIを記憶とそのほかの認知機能(言語、遂行機能、視空間機能)障害の有無とパターンから4つのサブタイプに分類されています。


まず記憶障害があるかどうか。さらにそれぞれを単一領域の障害か複数領域の障害かに分類します。


それによって将来なる可能性の高い病気を判断することができます。


①健忘型MCI・短領域障害
記憶障害があり、その他の認知機能は保たれている。将来的にアルツハイマー型認知症の可能性が高い。


②健忘型MCI・多領域障害
記憶障害とその他の認知機能にも障害が見られる。将来的にアルツハイマー型認知症・脳血管性型認知症の可能性が高い。


③非健忘型MCI・短領域障害
記憶障害がなく、その他の認知機能1つに障害が見られる。将来的に前頭側頭型認知症の可能性が高い。


④非健忘型MCI・他領域障害
記憶障害がなく、その他の認知機能複数が障害されている。将来的にレビー小体型認知症・脳血管性型認知症の可能性が高い。


MCIのような早い段階であれば睡眠・食生活の見直しや運動での介入が進行予防や発症遅延に効果的であるとゆわれています




高齢者・認知症の人の睡眠の特徴


高齢になると深い眠り(ノンレム睡眠)が少なくなり、浅い眠り(レム睡眠)の時間が相対的に長くなります。


そのため、ちょっとした刺激(音、光、温度、尿意)で目がさめやすく、中途覚醒、早期覚醒が起こりやすくなります。


認知症の方は同年代に比較してもさらに睡眠が浅く、重度の認知症では1時間程度の短時間も連続睡眠が困難になります。


また夜間の不眠とともに昼寝が増え、昼夜逆転の不規則な睡眠・覚醒リズムに陥るようになります。


認知症の一部の方は、夕方からベッドに入るまでの時間帯に徘徊・焦燥・奇声などの異常行動が目立つ、日没症候群という現象がみられることもあります。


これも睡眠・覚醒リズムの異常が関係していると考えられています。


しかし、睡眠薬や鎮静薬を使いすぎると、強い眠気や誤嚥、転倒・骨折などのために生活の質が低下していまう恐れがあります。

睡眠障害への対策


日中の覚醒している時間をつくる、規則正しい日課で生活リズムを保つ、夜間の睡眠の妨げになる原因をなくすが重要となります。


具体的には
①終身環境を整える(室温、照明、音)
②午前中に日光に浴びる
③入床・覚醒時刻を規則正しく整える
④食事時刻を規則正しく整える
⑤昼寝を避ける
⑥決まった時刻に運動を行なう。
⑦夕方以降に過剰な水分を摂取しない
⑧痛みに十分対処する(気づいていないことも多い)
⑨認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害剤)の午後以降の服薬を避ける
などが重要となってきます。

リハビリと認知症の発症予防・遅延


年間、MCIの10-15%がアルツハイマー病に移行するとゆわれており、その発症予防・遅延にどう理学療法士がかかわることができるか。


二重課題下での運動や手指の巧緻性運動が脳活動の活性化につながることがゆわれています。


その他にも、有酸素運動が認知機能への効果を示した研究もたくさんあるそうです。


メカニズムとしては前帯状回における組織容量の増大、神経伝達効率の改善という結果が見られているそうです。


またアルツハイマー病の原因として有力視されているアミロイドβの増加を抑制することにもつながります。


個人的にもMCIの方に対して積極的に有酸素運動を行っています。さらに有酸素運動をしながらの二重課題等も行っています。


その他にも有用なアプローチ、エビデンスがあればまた紹介したいと思います。



本日も最後までお付き合いありがとうございました。