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認知症ケア専門士の資格取得の詳細。認知症ケアに関わる方のキャリアアップの参考に。

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本日は認知症ケア専門士についてまとめたいと思います。


以前、MCI(軽度認知障害)の記事でも触れましたが、認知症・認知症予備軍(MCI)を合わせると、日本には800万人いると推測されています。


MCIについて興味のある方はこちらの記事もお願いします。
physicalkun.hatenablog.com


今後も、総人口に対しての認知症患者の割合はどんどん増加していくものと予想されており、しっかりと知識を持ったスペシャリストの養成が必要です。


自治体としても認知症サポーターやキャラバンメイトなどいろいろと力を入れてきています。


平成28年度の診療報酬改定で認知症ケア加算も新設されるなど、今後も認知症に関する動向は注視する必要がありますね。

認知症ケア専門士とは??


日本認知症ケア学会が制度認定を行っている資格です。


認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し,わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的に作られたものです。


制度は平成15年からスタートされており、私が想像していたより昔から認定制度が作られていたんですね。

資格取得の条件は??


試験受験予定の過去10年間に3年以上の認知症ケアの実務経験を有するもの。
 ※実務経験を証明する施設は認知症専門でなくてもよいそうです。


看護師や介護福祉士など、特に資格取得に関する条件はないみたいです。




合格率は??試験内容は??


試験は①認知症ケアの基礎、②認知症ケアの実際I:総論、③認知症ケアの実際II:各論、④認知症ケアにおける社会資源の4分野に分かれています。


各分野50問のマークシート方式で試験時間は1時間となっています。もちろん休憩はありますが、全部で4時間。なかなか集中力が必要ですねー。


各分野70%以上の正解率が必要で、4分野すべて合格すると二次試験の受験資格が得られます。


二次試験は論述問題と面接に分かれています。論述は認定委員会から自宅に郵送される事例に対して論述し、委員会に提出。


その後、面接の運びとなっています。面接は6人1グループで、当日発表されたテーマに関して一人1分のスピーチと20分間のディスカッションで判定されるそうです。


想像するとこちらまで緊張してしまいます。あがり症の私はこーゆーの苦手です。


二次試験に合格するとはれて合格となるわけです。合格率はだいたい50%前後を推移していますね。


資格取得者の割合は??


介護福祉士が圧倒的に多いですね、次いでケアマネージャが目立ちます。リハ職の中では作業療法士が多いですが、理学療法士の取得も見られます。


またホームページから各都道府県の資格取得者と任意で所属している施設が一緒に見ることができます。


私の病院でひそかに取得している人がいるのかチェックしましたが、残念ながらおりませんでした。


ただ、近隣の認知症ケアに力を入れているような病院の取得者はかなりいました。

資格取得・維持にかかる費用は??


さて費用の面ですが、一次試験の受験料が1分野につき3000円かかりますので、12.000円。二次試験は8.000円。


試験会場は一次試験は、札幌,仙台,東京,名古屋,京都,小倉(福岡)からの選択、二次試験は札幌,仙台,東京,名古屋,神戸,博多(福岡)からの選択となり、交通費が必要となります。


認定委員会が出している公式テキストが5冊あり、全部で10.000円ほどかかります。また受験の手引きと願書を兼ねたものの購入に1.000円かかります。


5年ごとに更新する必要があり、所定の単位を取得する必要があり、更新費用に関しての記述は見当たりませんでした。


この制度にはさらに上級認知症ケア専門士などのステップアップも用意されています。

認知症ケア加算

2016年の診療報酬改定により認知症ケア加算が新設されました。当院でも算定しています。


ただ、この認知症ケア加算を取るための算定要件や施設基準には、今回紹介した認知症ケア専門士は関係ありません。


あくまで、個人レベルでの自己研鑽という形になります。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。