フレイルの意味や定義について。サルコペニアとの違いは何か??
本日は、フレイルについてまとめたいと思います。似たような言葉にサルコペニアとゆーものもありますが、フレイルとサルコペニアとの違いについてもまとめてみたいと思います。
サルコペニアに関しては以前まとめた記事もありますので良ければ参考にしてください。
physicalkun.hatenablog.com
近年、高齢者数の増加に伴い、高齢者の健康寿命を延ばすための取り組みが重要視されてきています。その中で、フレイルやサルコペニアなど、高齢者の身体的特徴等を理解することで、より効率良く、効果的に健康寿命へのアプローチが可能になるのではと思います。
運動療法のスペシャリストの理学療法士として、どのような高齢者が要介護状態に陥りやすいのか、どのようなアプローチが有効なのか、このあたりの知識を身につける必要があると思っています。
フレイルとは??
臨床的には以前から、脆弱な高齢者を表現する言葉として使用されていた用語でしたが、学術的に詳細な定義は決められていませんでした。
2004年ち2006年に行われた「フレイルと加齢に関する国際会議」では、
フレイルとは相互に関連する複数の生理系を調節する恒常性維持機構の衰えのため、些細なストレスにより障害を受けやすい脆弱な状態
と表現されることになりました。
う~ん、正直めっちゃ分かりにくい、、。ゆわんとしていることは分かりますがね、本当にこの概念を普及させたいのであれば、もう少しシンプルな定義にしてもよかったような気もします。
フレイルの位置づけとしては、機能障害に至る前段階、つまり要介護状態に至る前段階としてとらえることができます。
フレイルの診断基準は??
これまでの研究からフレイルの指標についてさまざまな尺度や評価方法が提唱されています。移動能力、筋力、認知機能、栄養状態、バランス能力、持久力、身体活動性、社会性などの構成要素を評価する場合が多いです。
この点から見ても、サルコペニアとの違いが見られますよね。サルコペニアの診断基準は、筋肉量低下(周径)+筋力低下(握力)or身体機能低下(歩行速度)が診断基準とされています。
あくまで、対象者の身体機能を中心に評価しているとゆえると思います。一方、フレイルに関しては、身体機能に関してもさら幅をもって評価する点と、その他に認知機能や社会性など、より一人の人格として評価する点が特徴だと思います。
閉じこもり症候群など、社会性が乏しいと身体機能の低下は容易に予測できますもんね。
現在、よく使用されているFriedが提唱しているものでしょうか。
項目 | 指標の例 |
---|---|
体重減少 | 半年間で2-3kg以上の体重減少 |
疲労感 | ここ2週間でわけもなく疲れたと感じることがある |
活動量の低下 | 散歩などの運動を週一回以上していない |
歩行速度の低下 | 以前に比べて歩行速度が低下したと思う |
筋力低下 | 握力測定 男性<26kg 女性<18kg |
上記の項目のうち、3項目当てはまればフレイル。1~2項目であればプレフレイルと診断するそうです。
他の評価方法に比べ簡単で分かりやすいですが、身体機能メインなのが少しもったいないように思います。
その他に、基本チェックリストを用いることも有効とされてきています。
基本チェックリストとは、2006年の介護保険制度の改定の際に、近い将来介護が必要になる高齢者を抽出するスクリーニング法として、厚生労働省が開発したものです。
生活機能状態を尋ねる25個の質問からなり、はい・いいえで回答するものです。質問項目は、①IADL、②身体機能、③栄養状態、④口腔機能、⑤閉じこもり、⑥認知機能、⑦気分の7つの領域にわたります。10~15分で評価でき、外来の待ち時間に実施することも可能です。
日本独自のものなので、そのままの形では国際比較には適さないですが、今後、これをベースに新たな指標の作成が期待されます。Friedの基準と比較すると、身体機能だけでなく、幅広い評価項目が設定されていますね。
フレイルの予防と対処法は??
介入として有効なものに運動介入と栄養介入が挙げられています。
運動介入に関しては、色々な研究が挙げられていますが、重要なのは1週間に複数回の運動を継続して行うとゆー点でしょうか。当たり前といえば当たり前ですがね。運動の頻度や強度は研究によって様々ですが。
いかに対象者に動機づけして、運動参加を促すか。このあたりも理学療法士としての技量の見せどころかもしれませんね。私自身も、年数回程度ですが、地域に出て高齢者を対象に運動指導を行うことがあります。
やはり最初は運動参加への動機づけにかなりの時間をとっています。いかに運動することが大事なのか、継続することが大事なのか。それを理論的に、でも分かりやすく説明することを心掛けています。
また実際に、継続することで身体機能が良くなった高齢者の方の動画も使用しています。運動前はよろよろしながら歩かれていた方が、数か月後こんなに歩けるようになりました!って感じで見せると、かなり反応が良いですね。私の下手な冗談なんかより、動画を見せた時が一番反応が良いです。
栄養介入に関しては、特にたんぱく質の摂取の重要性ですね。以前別の記事でも説明しましたBCAAなどの有効性が発表されています。
BCAAに関してはこちらの記事を読んでみてください。
physicalkun.hatenablog.com
なかなか高齢者の方に、そこまで具体的な栄養指導はできないので、私はBCAAが多く含まれている食材を紹介して、運動に参加した日は特にしっかりこれらの食材を献立にしてもらうようにお願いしています。
以上がフレイルについてのまとめになります。最後らへんに、地域での運動指導の話を出しましたが、書いていて久しぶりに運動指導に行きたくなってきましたねー。病院にいるだけでは得られない体験です。病院では1対1でリハビリすることが基本ですが、地域では1対30なんて形もあります。
最初はそのような環境に戸惑い緊張しました(今でも緊張します)が、終わってみると結構楽しくて充実感があるんですよねー。少しでも、健康寿命の延長に貢献できたか、社会に貢献できたか、地域に出るとより広い視野で自分の仕事を評価できる気がします。
もし地域での運動指導の話が病院にあるようでしたら、参加してみてはいかがでしょうか??良い刺激になると思いますよ。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。