きゃしゃーん理学療法士のリハメモ

きゃしゃーん理学療法士のリハメモ

気になったことの整理

リハ栄養での栄養状態の把握に身体計測のすすめ。

以前、リハ栄養の導入・実践についての記事を書かせてもらいました。その記事を、若林先生にSNSで紹介していただき、たくさんの方に読んでいただきました。


やはり、みなさん導入や具体的な実践で、色々試行錯誤されてるんですね。


いやー、でも若林先生が私なんかの記事を読んでいただき、紹介までしてくださるなんて、、、ホントに光栄です。


今日は、前回の記事の中で身体計測について触れましたが、少し具体的にまとめてみようと思います。前回の記事はこれです。
physicalkun.hatenablog.com


リハ栄養を導入する上で、栄養状態をどのように把握するかは色々な方法があります。血液検査によるアルブミンなどの数値、MNAなどの問診による評価、この後に述べる身体計測など。どれもそれぞれにメリット・デメリットはあり、複数の方法による評価が望ましいと思っています。


当院では、リハスタッフが入院時に患者の身体計測(周径など)を行い、栄養状態・筋肉量の把握に努めています。


私が思う身体計測のメリットとしては、コストがかからず、侵襲もなく、慣れれば短時間で可能、また周径の変化を患者にフィードバックすることで、患者のモチベーションにもつながること、などを思っています。


デメリットとしては、検者によって誤差が出る可能性があるため、検者を統一するなどの配慮が必要な点。またある程度経験を重ねないと、検査結果に正確性が得られにくいといった点でしょうか。


コスト・侵襲がないので、どのタイミングでも評価可能なんですよね。この強みを活かすには、入院時の栄養状態の把握だけでなく、経過観察やアウトカム評価にも身体計測のデータが使えます。


では具体的な進呈計測の内容について説明していきます。

上腕周径(周囲長)(AC:Arm Circumference)


肩峰と肘頭を結ぶ中点位置の上腕の周径を計測することで、上腕の筋肉量を把握することができます。


計測は原則非利き手で行います。非利き手が麻痺側等であれば反対側で計測を行います。


サルコペニアの診断基準としても使用されており、21㎝以下で陽性となります。


計測を行う上での注意点・コツとしては、周径を計測する際の肘関節の状態に注意することでしょうか。


まず中点を見つけるためには、肩峰と肘頭を触診する必要がありますが、肘頭は肘を曲げた状態の方が分かりやすいので、肘関節屈曲位で中点を定めると思います。


そのまま、屈曲位で計測すると多少なりとも上腕二頭筋の筋腹が隆起します。なので、中点を定める際は肘関節屈曲位、周径を計測する際は肘関節伸展位で行うよう注意しましょう。


また肩峰と上腕骨大結節とを触診で間違えやすいそうです。肩関節を内・外旋した際に動くようであればそれは肩峰でなく大結節を触診しています。


肘頭~大結節と肘頭~肩峰では微妙に中点が変化してくるので、当然上腕周径にも誤差が見られます。なので、もちろん肘頭~肩峰を正しく触診して中点を定めることが理想ですが、周径の精度を上げるコツとしては、中点を定めた際、肘頭から中点までの距離も記録しておくことを薦めています。


肘頭は骨突出が明らかなので、触診で間違うことはまずありません。肘頭から中点までの距離を記録しておけば、次回も同じポイントにおける上腕周径が計測できます。


毎回正しく肘頭~肩峰の中点を定める自信がない方は、このような方法でも良いかと思います。同じポイントで計測しないと、経過観察で得られるデータに信憑性がなくなりますからね。

上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF:Triceps Skinfold)、上腕筋囲長(AMC:Arm Muscle Circumference)


上腕三頭筋皮下脂肪厚を計測することで、脂肪量の把握ができます。


計測方法としては、上腕周径の際に定めた肘頭~肩峰の中点位置の上腕後面をキャリパー(アディポメーター)でつまみ、圧力線が一直線になった時点での目盛を記録します。
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上腕周径と上腕三頭筋皮下脂肪厚の両方を測定すると、以下の計算式によって上腕筋囲長を求めることができます。


上腕筋囲長=上腕周径ー上腕三頭筋皮下脂肪厚×3.14


計算式だけみてもなかなかイメージできないと思うので、下の画像も参考にしてください。
f:id:physicalkun:20171114100656p:plain


当院ではエクセルに上腕周径と上腕三頭筋皮下脂肪厚を入力すると自動で上腕筋囲長が計算されるように設定しています。


入院時の計測を導入する際に、上腕周径だけ計測して筋肉量が分かればいいじゃないかとの意見もありました。入院経過の中で体重が増え、上腕周径が増加したとしても、皮下脂肪厚も計測しておくことで、狙い通り筋肉量が増えているのか、それとも脂肪量が増えてしまっているのか、見極めることができます。


また、肥満・サルコペニア肥満の方の減量に際しても、なるべく筋肉量を維持しながら、減量を行っていきたいので、上腕筋囲長で上腕の筋肉量を維持しながら、皮下脂肪厚が減っているのか確認ができます。その経過で食事摂取カロリーの検討の材料にもできます。

下腿周径(CC:Calf Circumference)


下腿周径もサルコペニアの診断基準にしようされています。下腿の最大膨隆部の周径を計測することで評価可能です。


下腿周径に関しては、片麻痺や頸部骨折などがある場合は、反対側の下肢で計測するようにされています。30㎝以下でサルコペニア陽性となります。


以上の項目が当院のリハビリテーション部で行っている身体計測です。


その他にも栄養状態に関する身体計測の項目がありますので、そちらも紹介とそれに関する私の意見も書いてみます。

腹囲周径


健康診断などでも計測される場合もあり、脂肪量の評価としてはかなりメジャーなものですね。メタボリックシンドロームの診断にも使用されています。


腹囲は脂肪量の評価として、計測が推奨されています。ただ、当院では基本的には計測していません。


腹囲計測もルーチンに入れることも考えたのですが、実際に、試しに腹囲計測の方法を指導した6名のスタッフそれぞれに患者の腹囲計測を行ってもらい、数日後に再度同じスタッフにそれぞれ同じ患者の腹囲を計測してもらいました。


結果として、1回目の数値と2回目の数値でかなり誤差が見られるとゆーことになりました。計測の時間も極力食事の時間帯から外したんですが、あきらかに数日でこんな差が出るはずないとゆー値もありました。


腹囲周径の測定誤差に関する文献もリサーチしましたが、検者内誤差が見られるとの文献も見つかりました。


確かに、メジャーの微妙な力加減で数値の変動がはすぐに見られますよね。おまけに高齢者の方の皮膚はたるんでることも多いですし、脳卒中の患者は腹部も低緊張なことも多く、そのあたりも計測の誤差につながりやすいのかもしれません。


なので、ルーチンに腹囲計測を入れたとしても、検者内誤差があることを考えると、本当にその数値を有効に使用できるとは思えなかったので、見送りました。


それでも、継続して計測することで精度は上がったかもしれませんが。

握力


握力は筋力の評価として、推奨されており、サルコペニアの診断基準にも使われています。


腹囲と同じく、当院では握力測定もルーチンには行っていません。


入院時に、栄養状態の把握を踏まえて握力測定することは、確かに簡易に行えるし有効かと思います。認知症患者や意識レベルの低い患者では使用できませんが。


ただ、経過観察やアウトカム評価の点から考えると、握力測定は私の中で少し疑問が残りました。


果たして、リハビリの中で握力に対してどれだけアプローチすることがあるだろうか、と思ったのです。


リハ栄養の考え方をざっくりゆーと、適切な栄養を取りながら適切なリハビリを行っていきましょうだと思っています。


私の病院は脳血管障害による片麻痺患者が多いですが、握力測定は当然非麻痺側で行います。もちろん、ADLで非麻痺側の握力が必要な場合も多々ありますが、セラピストとして非麻痺側の握力に積極的に介入する頻度はほとんどないと思います。


もちろん、私は理学療法士なので作業療法士は違う意見をお持ちかもしれませんが。


大腿骨頸部骨折の患者でも握力によほど上肢機能が低下してない限り、握力に直接的なアプローチはしません。平行棒や杖を使用する中で、経過としては握力が増加することはあると思います。


直接的なアプローチを行う頻度が少ない握力に対して定期的に評価して観察しても、リハ栄養の適切な栄養と運動にはあてはまらないと思いました。


あくまで、私個人の考えです。色々な計測データがあるに越したことはないと思います。

体組成計


これまで挙げた周径は検者による誤差の可能性や、握力は患者の努力量によっても変わる可能性があります。


客観的な数値としては、市販の体組成計やIn Bodyが使用しやすいかもしれません。


最近は色々なメーカーが体組成計を発売しています。以前に比べると精度もかなり高いタイプも見受けられます。


体組成計は、体内の電気抵抗を利用して測定するものです。そのため、同じ人でも体内の水分量の変化によって、計測結果もばらつきが出てくるというデメリットがありました。最新機種では、その誤差もだんだんと少なくなってきているようです。


体組成計では、機種にもよりますが、脂肪量や除脂肪体重、筋肉量などいろいろなデータが分かります。このあたりは、後日詳しくまとめてみたいと思います。


デメリットは、立位が可能でないと計測できない機種が多いということでしょうか。一部では、臥位のまま計測可能な機種もありますが、かなり高価なものになります。今後、栄養状態の把握に体組成計が積極的に活用されるような流れが出てくれば、バリエーションも増えるかもしれませんね。



本日も最後までお付き合いありがとうございました。
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