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【必見】呼吸療法認定士 vs 呼吸ケア指導士。違いを比較して検討しましょう!

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医療従事者の呼吸に関する資格として、3学会合同呼吸療法認定士と呼吸ケア指導士があります。


私自身は、3学会合同呼吸療法認定士の資格しか持ってはいませんが、呼吸療法認定士と呼吸ケア指導士の資格についての相違点などをまとめてみたいと思います。


近年、医療従事者のためのキャリアアップがいろいろと用意されてきています。医療業界の中で、生き残っていくことや、給料アップ、昇進を考えると、少なからず資格取得によるキャリアアップが頭の中に思い浮かぶのではないでしょうか??


私自身も、呼吸療法認定士の資格を取ったのは、まさに自分の将来が不安だったからです。


国家資格としては理学療法士の資格を持っていますが、果たしてそれだけで将来十分に家族を養えるのだろうか、リストラなどの危険を考えると、他の人にはない「何か」が必要と思いました。


私の場合は、その「何か」は技術ではなく資格という表面化しやすいものを選びました。


もちろんセラピストの技術を高めることで、他のスタッフとの差異は見出せると思いますが、それが上層部であったり、転職の際に形にできるかといえば、少し不確かなものになってしまうのかなと考えています。


なので、まずは資格を優先しました。


理学療法士は毎年1万人近いペースで増えていっていますからね。そのあたりの記事も書いてますので参考に。
physicalkun.hatenablog.com


では、具体的な呼吸療法認定士と呼吸ケア指導士の相違点についてまとめていきます。


2017年9月12日に公開した記事ですが、2019年3月10日に新しい情報を追加・修正して再度公開しています。

歴史は?

呼吸療法認定士の資格制度スタートは1996年。20年以上前から呼吸に関する専門性の重要性を説いていたんですね。


呼吸ケア指導士に関しては、2013年4月から導入された資格なので、まだまだ歴史は浅いですね。

認定者数

呼吸療法認定士に関しては毎年、3000人前後の資格取得者が出ているようで、2016年までの合計で43.463人に至っているみたいです。


また年々増加傾向にあるようですね。もしかしたら、今後少し難易度調整により合格率の調整が行われるかもしれませんね。現に、それまでは合格率は60%台でしたが、2016年の合格率は60%を切っていました。たまたまかもしれませんが、2017年度の合格率も気になりますね。

※追記2019.3.10
2018年までで合格者総数は50.186人になっています。依然として毎年5000人程度が受け、約3000人が合格しています。合格率は50後半~60前半を推移しています。


呼吸ケア指導士に関しては、まだまだ始まったばかりなので今後の増加に期待といったところでしょうか。


ちなみに、認定者リストから分かる範囲でまとめると2013年が認定者326人、2014年が167人、2015年が43人、2016年が91人でした。


ただこのリストには個人名が記載されているので、もしかしたら資格取得者でも個人情報の観点からリストへの記載を拒否されている方もいるかもしれないので、正確には分かりません。

追記2019.3.10
2017年は138人が新たに認定されていました。学会員の総数も年間500人前後ずつ増えており、現在は2017年時点で4.453人になっています。




認知度

やはり資格取得に際して、その資格の認知度は気になるものです。あまりにマイナーなものを取得しても、キャリアアップにつながらない可能性もありますもんね。


認知度の比較はなかなか容易ではありませんが、参考値としてグーグルでの検索ヒット数で比較してみました。


「呼吸療法認定士」の検索数は、147万件。「3学会合同呼吸療法認定士」の検索数は、13万件でした。日常的にも、やはり3学会合同は省いて使うことが多く、呼吸療法認定士で十分に周知されているみたいですね。


さて、「呼吸ケア指導士」での検索数は、37万件でした。


制度開始が違うので、単純比較は当然できませんが、呼吸ケア指導士も徐々に認知度があがってきているのではないでしょうか。


追記2019.3.10
「呼吸療法認定士」の検索数387万件、「3学会合同呼吸療法認定士」は16万件、「呼吸ケア指導士」は332万件でした!呼吸ケア指導士の伸び率がハンパないですね、おどろきの結果でした!!

受験資格

呼吸療法認定士の資格を取得できるのは、臨床工学士・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士が一定の臨床での経験年数に達すると、受験資格を満たします。


呼吸ケア指導士の資格を取得できるのは、医師・歯科医師、看護師・准看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士・管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士、歯科衛生士、臨床工学技士、臨床検査技師、介護福祉士です。


呼吸ケア指導士の方が、かなり間口が広いですね。個人的には呼吸療法認定士の方でも、言語聴覚士の受験資格も検討してもいいのではと思っています。


まぁ以前は作業療法士も受験資格には入っていませんでしたからね、言語聴覚士も今後追加されるのではと思っています。

難易度

このあたりからこの2つの資格の大きな違いが出てきます。


呼吸療法認定士は認定講習会受講後、認定試験を受けます。そこで合格点に達すると晴れて呼吸療法認定士の資格が取得できます。


認定試験の合格率はだいたい60%前後です。ただ、認定講習会の募集要員に対して、申込者数が圧倒的に多いため、認定講習会の参加申し込み自体もハードルが高いです。


特定記録郵便での申し込みとなりますが、要は先着順のように理解してもらえばいいかと思います。例年、参加申し込みの受付開始時間から30分ほどで募集要員に達する感じじゃないですかね。


呼吸ケア指導士に関しては認定試験がありません。資格取得に関しては、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に入会して3年以上経過していることと、入会以降に研修単位を50点以上取得していれば、学会に申請することで資格取得が可能です。


うーん、正直呼吸ケア指導士の資格取得に試験がないのは、いかがなものかと思ったりします。資格を名乗るからには、ある一定以上の知識がないと学会全体のレベルにも関わってくると思うんですよね。


単位取得の講習会は、以前はかなり少なかったので取得自体も大変だったようですが、徐々に講習会の数も増えているようなので、少し楽になったと思います。




資格取得にかかる費用

呼吸療法認定士に関しては、まず8月ごろの認定講習会の参加費用が2万円です。会場は東京で2日間の講習なので、そこらへんの交通費・宿泊費も必要ですね。


11月にある認定試験の費用が1万円、同じく会場は東京です。


せめて認定講習会だけでも、東京と大阪の2ヶ所で行ってくれたらかなり楽なんですけどね、、、。


さて呼吸ケア指導士に関してです。3年間学会に所属する必要があるので、年会費1万円×3年で3万円です。


単位取得後、認定審査を受ける必要があるので、認定審査料1万円が必要となってきます。

資格維持のための更新

呼吸療法認定士は、5年ごとの更新が必要です。更新のためには5年間のうちに、研修会などに参加して50点以上の単位を取得しておく必要があります。


内容を問わなければ、各都道府県で年数回ほど単位取得可能な研修会が行われているのではないでしょうか?


ただ、自分が興味のある研修会内容となるとあまり頻度は多くないかもしれません。特にリハビリに関する研修会はあまりないように感じます。


なので、常にアンテナを張って、興味がある研修会を見つけないといけません。とりあえず内容に関わらず単位取得だけならそれほど大変ではないです。


単位取得のための研修会の参加費と更新料3500円が、必要となります。


呼吸ケア指導士に関しても、5年ごとの更新が必要です。更新のためには、学会に継続して入会しておく必要があるため、毎年年会費の1万円を納める必要があります。


あとは、研修会参加によって50点以上の単位を取得する必要があります。それらの条件を満たしていれば、認定更新料1万円を振り込めば更新可能となります。


5年間ごとの更新や、更新にあたっての研修会の単位取得などは似通っていますね。ただ大きく違うのが、呼吸ケア指導士は学会に入会して入会費を払い続ける必要があるという点ですね。


以上が、呼吸療法認定士と呼吸ケア指導士の比較です。資格取得を検討している方の参考になればと思います。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。