リハスタ

   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

SARMや診療報酬など、サルコペニアに関する最近の話題

先日、リハ栄養・サルコペニアで有名な先生のお話を聞く機会がありました。


文献はよく読ませていただいてましたが、この先生のお話は初めてお聞きしました。


聞きやすく講演慣れされてるなーと思い、少し、若林先生の雰囲気に似ているところもあるような印象でした。


テーマは「サルコペニアの最近の話題とリハ栄養」だったと思います。講演の時間は1時間程度だったと思いますが、覚えている範囲でざっくりまとめてみました。1時間では足らないぐらい、興味深いお話でした。

サルコペニア・フレイルが急上昇ワード


最近のpubmedにおける医療急上昇ワードで、TOP3の中に「サルコペニア」と「フレイル」が入っているそうです。


医療業界での注目度の高さが感じられますねー!!


ちなみにもう一つは「再生医療」だそうです。こちらも確かに期待度・注目度は高いですよね。


サルコペニアでゆーと、2010年にEWGSOP(ヨーロッパのサルコペニア・ワーキンググループ)が世界初のサルコペニアの定義・診断についての論文を発表して以来、どんどん検索数が上がっていました!

筋肉量の変化


ヒトは30歳が筋肉量がピークで、その後は歳を重ねるごとに1%落ちていくそうです。


また寝たきりでは1日で0.9%筋肉量が減少するとのことです。このあたりの数値は文献によってまちまちですが。


おもしろかったのが、必要エネルギー量のうち、2割不足している低栄養患者では、1日寝たきりになると、0.9%×3倍の2.7%も筋肉量が低下するそうです。


やはり、いかに適切な栄養管理が重要かということが改めて分かります。うちの病院の他職種にももっと聞いて欲しかったなぁ。


日本の急性期病院は、海外では「サルコペニア工場」とゆわれてるそうで、まだまだ十分な栄養管理が徹底されているとは言えないようですね。


当院は、回復期病院です。当院の地域で考えると、以前に比べると急性期病院から転院されてきた患者が当院の入院時スクリーニングで引っかかる割合は減ってきたような印象は持っています。


全国的にもかなり有名な急性期病院で、在院日数の短縮も図られています。脳血管障害の患者でも2~3週間程度で回復期に移ってこられる方が多いような感じです。


また時間があるときに、以前と最近で入院時スクリーニングに引っかかる割合を見てもおもしろいかもしれませんね、、、やって見よ。




診療報酬


来年、診療報酬の改定が待っていますが、そこでも少しサルコペニアに絡んで改定があるようです。DEXAやIn Bodyを使用してサルコペニアを診断すると、診療報酬がつくかもしれないといったお話しだったと思います。


In Bodyの使用によって診療報酬がつくのであれば、リハ科としてもIn Bodyの導入を病院にお願いしやすいです。


今現在は、体重減少率やBMI、上腕・下腿周径等を評価して栄養状態の把握に努めています。でもやっぱり、脂肪量・筋肉量の精度の高い数値が取れればなーと思うんですよね。


上腕三頭筋皮下脂肪厚も評価していますが、やはりフィジカルアセスメントでは十分な精度とは言えない気がしてます。


臥位で計測可能なIn Body s10が欲しいです、、、。来年の診療報酬改定を見て、上と交渉できたらいいな。

SARM(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)


このワードは初めて聞きましたが、サルコペニアに有効な可能性のある薬らしいです。


アンドロゲンの有益作用である筋肉や骨への合成促進を得られるようで、有害作用である前立腺刺激作用は発揮させないような薬剤。それがSARMだそうです。


薬物療法、食事療法、運動療法。サルコペニアの患者をよくするためには、色々勉強しなくちゃいけませんね。


講演の中で、講師の先生の病院での実際のNST活動の回診の動画を見させていただきました。


正直にゆーと、特別なことはしていないんですよね。Dr、Ns、PT、ST、管理栄養士、薬剤師、歯科衛生士だったと思いますが、他職種で共同して回診して、患者の状態について意見を出し合う。


当たり前で普通のことなんです。ただ、それがうちの病院では十分にできていない現状。栄養管理の必要性についての理解が得られない、得られていても十分なアプローチができない。


講演には、うちの院長も参加されていたので、サルコペニアは勿論、リハ栄養に関しての必要性も理解してくれたのかなと思います。


権力のあるDrが強烈にプッシュしてくれるとリハ栄養も浸透するんですけどね。人任せではだめなのかなー。個人では限界を感じている今日この頃です、、、。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。