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【要点まとめ】認知症について。4つの原因疾患に分類して、それぞれの特徴・症状を整理。

病院で働いていると、日常的に認知症とゆー言葉を使用しています。しかし、認知症の原因疾患はおよそ70種類があるとゆわれています。


今回は、認知症原因疾患で主なもの、アルツハイマー型認知症症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)の種類を4つに分類してまとめてみたいと思います。この4疾患が認知症患者の9割とゆわれているので、しっかり理解すれば臨床でもほぼ対応できると思います。

認知症の定義


そもそもの認知症の定義とは「いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、社会生活に支障を来すようになった状態」とされています。


その中心の症状は、記憶障害とそのほかの認知機能障害(失語、失行、失認、実行機能障害)とされています。


認知症それぞれのタイプによっても、どのような症状が現れやすいか病態が違っており、ひとくくりに認知症でまとまてしまうと、適切な対応・評価・治療ができない可能性もあります。


なので、それぞれの特徴をしっかりと抑えておく必要があるんです。

アルツハイマー型認知症


認知症と聞くと、アルツハイマー型認知症を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか??実際に、認知症の原因疾患のうち、アルツハイマー型認知症が一番多く、認知症の2/3を占めるとゆわれています。


アルツハイマー型認知症は、大脳皮質の神経細胞が編成・死亡・脱落し、脳が委縮していく疾患です。


特徴としては、病変は側頭葉(海馬周辺)から始まり、頭頂葉や前頭葉などへ次第に広がります。


病変が側頭葉にある場合は、記憶障害が主な症状となり、特に近時のエピソード記憶の障害や自伝的記憶の障害が顕著に現れます。


頭頂葉に進行すると、失行、失認、失計算、失読などの高次脳機能障害が見られるようになってきます。


さらに前頭葉に及ぶと、自発性の低下や計画を立て遂行する遂行機能にも障害が見られます。また人格変化や言動異常なども見られることがあります。


運動や感覚の中枢は変化が見られないため、病気が進行しても歩行などの基本動作は維持されていることが多いです。看護師からすると、逆に一人で動き回るため、苦労することも多いみたいですが。転倒のリスク管理はしっかりと考えておく必要がありますね。




脳血管性認知症


脳血管性認知症の原因は、脳梗塞や脳出血などが原因になります。梗塞や出血などにより脳に血流障害が起きると、脳の神経細胞が死滅し、急速に認知症や運動機能障害が出現します。


障害を受けた領域が小さい脳梗塞では認知症などの症状が見られないこともありますが、小さい梗塞を繰り返すことで徐々に認知症化する多発梗塞性認知症と呼ばれる病態もあります。


梗塞巣の分布が不均等で知的機能低下が一様ではなく、まだら状に障害されるためまだら認知症と呼んだりもします。


また一日の中でも、比較的状態が良いときや悪いときの差が見られることも特徴とされています。


感情失禁(突然泣いたり、怒ったりすること)も比較的見られやすく、そのような症状が見られても、病気による症状であると医療スタッフはもちろん、家族の方にも伝えて理解を促してあげる必要があります。


身体機能としては、多発性脳梗塞であれば、パーキンソン症候群が見られやすく、歩行の際小刻みになりやすいです。

レビー小体型認知症


脳全体にレビー小体と呼ばれるたんぱく質が沈着して起こる原因不明の病気です。


レビー小体型認知症の特徴として、幻視が挙げられます。初期には記憶障害より幻視が著明に現れます。


またリアリティのある幻視を見ることも特徴です。例えば、魚が宙に浮いてしゃべっているなどの非現実的な幻視ではなく、本来ここにいるはずのない親戚の子が座っているなど、ある程度現実味のある幻視が特徴です。


またレビー小体というたんぱく質はパーキンソン病の患者にも見られることが多く、レビー小体型認知症の患者においても経過の中でパーキンソン症候群の症状が見られることがあります。

前頭側頭葉型認知症


この病気では、アルツハイマー型認知症の脳全体の萎縮とは違い、前頭葉と側頭葉に限局した萎縮が見られるのが特徴です。


症状としては、記憶障害よりも人格変化・反社会的言動・衝動的行動などが顕著にみられます。


初期には、記憶障害が見られないため、認知症ではなく他の精神障害(統合失調症や双極性感情障害など)が疑われる場合もあります。


また他の認知症疾患に比べ、食行動異常が見られやすいという特徴もあります。食欲・嗜好・食習慣の変化などが見られやすいですが、特に早期にみられるものとして、食欲の亢進が見られやすいです。


嗜好の変化では甘いものを好む傾向があり、そのため体重増加や糖尿病などのリスクも考慮する必要があります。


以上、簡単に4つの認知症疾患をまとめました。認知症といっても、記憶障害だけではないということも分かっていただけたでしょうし、やはり疾患によって特徴があることもご理解いただけたと思います。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。