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年収アップには管理職への出世は必須。PTの出世に繋がる9のこと


リクルートのアンケートでは、最近は管理職になりたいと思う職員より、なりたくないと思う職員の方が割合が多いとの結果も出ているそうですね。確かに管理職になると責任・負担が増すとは思います。


しかし人間は必ず環境に慣れるものです。管理職の業務にも必ずいつか慣れることを考えると、管理職を敬遠するのはもったいないなーを感じます。


同じ職場で自分の年収を上げるためには、管理職になることは必須条件です。また一度管理職になれば、転職する場合にも必ず有利に働き、長期に渡ってメリットを得られます。


部署内・院内で分けてまとめましたが、出世のためには部署内・院内の両方で一定の評価を得る必要があります。両輪で考えて行動していってください。

部署内① 認定理学療法士の取得

認定理学療法士の資格取得、これは部署内での出世にはかなり有効だと思います。


2020年10月時点で、理学療法士協会の総会員数129,396名に対して、認定理学療法士取得者数は10,271名です。取得率は10%未満です。


おそらくどこの病院でも部署内で認定理学療法士を持っているセラピストは少数派になるので、それだけで希少価値が出てきます。


また、今後は認定理学療法士がいる施設内で勤務しているセラピストは、PT協会が定める生涯学習が有利に運べる流れになっています。


ということは、学生は就職先を選ぶうえで認定理学療法士が在籍しているのかを踏まえた上で就職活動を行っていくと思います。なので、人材確保の面でも認定理学療法士は重宝される可能性が高いです。


部署内② 診療報酬

2年ごとに診療報酬の改定が行われますが、診療報酬に詳しいスタッフは現場でも頭一つ抜けた感があります。


多くのスタッフは、診療報酬の改定にさほど関心はなく、トップダウンでおりてきた情報に対して反応する程度だと思います。


そうではなく、自分で積極的に情報を取りに行くことが大事です。


診療報酬改定は中医協(中央社会保険医療協議会)等のHPを見ることで一次情報を確認することができます。また最近は理学療法士協会でも適宜情報が更新されているので、定期的に確認する習慣をつけるといいですね。


そして、診療報酬の改定には必ず根拠となる裏付け資料があります。改定後の情報だけでなく、どういった背景で改定する必要があったのかまで理解することが大事です。


それを積み重ねていくことで、診療報酬改定の流れというものが見えてくると思います。「診療報酬に詳しい」というブランディングは出世に有効です。


併せて、施設基準についても知識をつけるとベターです。




部署内③ 学会発表

学会発表も非常に有効な手段の1つです。他人がやりたがらない、やっていないことをやることが出世の可能性を上げることになります。


大学で卒論をまとめた人であれば、それをもう少しブラッシュアップして学会発表を行うことも有効だと思います。卒後1~2年程度であれば、当時の指導教員の支援も得られやすいと思うので、ぜひ学会発表に向けて見直ししてはどうでしょうか?


学会発表で最も注意すべき点はどの学会で発表するかです。


残念ですが、多くのセラピストが地方ブロックや県学会などの理学療法系の学会を選んでいます。正直、もったいないです。


所詮、理学療法士界隈でしか評価されない・知られていない学会なんですよね。


他の部署からすると、「へぇ~」、「それってすごいの?」ぐらいのインパクトしか正直ありません。分からないことには興味を持たないんです。


ここは1つ抜きんでるために、リハビリテーション医学会など他職種も参加する学会を目指すべきです。


リハビリテーション医学会であれば、その学会の規模は医師、看護師も理解しているので、興味・関心を惹けます。もしかしたら、他の部署からもリハビリテーション医学会に発表・参加するスタッフもいるかもしれませんしね。


そして、リハビリテーション医学会は、6月と11月の年に2回開催されるので、自分のスケジュールも余裕を持って調整しやすいメリットがあります。


おまけですが、理学療法学会に比べるとリハビリテーション医学会はサービスの質も違います。ランチョンセミナーのランチの質も高いですし、スイーツセミナーなんてものまであり、圧倒的な協賛の違いを感じさせられます。

部署内④ 勉強会

部署内で持ち回りで勉強会を行っている病院が多いかと思っています。勉強会のターンは、自分を部署内にアピールできる絶好のチャンスです。


勉強会のテーマを自分で選べれるのであれば、自分の得意分野ではなく部署内に必要・求められているテーマを選択することがです。


そして、勉強会の内容。これはもう、ひたすら圧倒的なクオリティを目指す!!他のスタッフの予想を裏切るような圧倒的なクオリティです。


勉強になった、分かりやすかったの感想ではなく、「すごかった」と思われるレベルを目指します。


そのためには、資料のデザイン・分かりやすさも重要ですし、原稿などを使用せず発表することも聞き手に圧倒的な印象を与えます。

部署内⑤ 症例発表

勉強会と同じく、症例発表も数少ないチャンスの1つです。


こちらも、他のスタッフの予想を超えることが大事です。最新の知見、エビデンスなども引用しつつ、学会発表できるレベルにまでまとめることができるといいと思います。なんならそのまま学会発表するべきですね。


また他のスタッフの発表の際の質疑応答も積極的にアピールすべきです。もちろん、マウントをとるような発言はマイナスになるので、建設的な意見交換をできるような発言を心掛けましょう。

院内① 資格取得

部署内でも認定理学療法士の資格取得を挙げましたが、院内で考えた際に認定理学療法士はほとんど影響力はありません。


多くの医師や看護師は認定理学療法士なんてものを知りませんし、知らないものには興味を持ちません。


院内でのアピールには、医師・看護師に対しても認知度のある資格、そーゆー資格を取得する必要があります。


私のおすすめの資格は圧倒的に「3学会認定呼吸療法認定士」です。私自身も取得しましたが、取得後の周囲からの扱いが格段に変わりました。


医師からは私を指名してリハビリの担当を受けることもありますし、看護師からも呼吸に関する相談を頻回に受けます。


また看護部長から、看護師を対象にした勉強会の開催も依頼されました。私の中ではかなり分岐点になったイベントですね。認定理学療法士より呼吸療法認定士の資格取得を優先するべきとも思っています。


合格率は50~60%で、それほど簡単な試験ではないですし、講習会・受験費用などもそれなりに必要でしたが、十分リターンは得られます。




院内② 広報誌・HP・SNS

病院によっては広報誌や病院のHP・SNSなどを運用していると思います。内容としては、院内のイベントや取り組みの紹介、スタッフの紹介など、病院によってさまざまだと思います。


もし、そこに一枚噛めるチャンスがあるのであれば狙うべきです。例えば、学会発表や資格取得などの報告は、病院としてもプラスな要素なので、広報することに反対されることはないはずです。


自身のアピールもでき、それが病院の利益にもつながる。まさにwinwinですね。

院内③ 報告会

委員会報告会や研修報告会など、病院によって異なると思いますが、院内全体での報告会ですね。


もしこのような場で発表するチャンスがあるのであれば、積極的に掴みにいくべきです。


もちろん、発表内容も理路整然と分かりやすくまとめることが重要です。まず何より院内に自分の存在を広く知ってもらうだけでも十分に行う価値があります。

院内④ 委員会

入職後、ある程度経過すると院内の委員会に部署内で選出されることもあるかと思います。


医療安全委員会や感染防止対策委員会など、病院には複数の委員会が存在します。そして、委員長は病院長・事務長・看護部長など、他部署の管理職が勤めています。


委員会内でアピールできると、他部署の管理職者の目にとまるチャンスではあります。正直、なかなかアピールできる機会はないのですが、少なくとも議題がある場合には事前に自分の考えを持って参加すること、理学療法士の専門性を活かすような発言ができるといいと思います。


まとめ

以上が私が思う管理職への出世の道です。管理職になるには運の要素があることは否定できませんが、やはり日ごろから意識しているスタッフとしていないスタッフではチャンスは全く違ってきます。


また最近の風潮として、年功序列による出世は減ってきています


私の勤める病院は、革新的な病院ではなくいわゆる一般的な病院(むしろ保守的)ですが、それでも管理職に関しては年功序列の要素はほとんどなく、能力面で評価されています。


能力のない管理職を置くことは、部署の生産性を落とし、ひいては職員の退職につながることを経営陣は分かっているからです。


管理職でしか得られない経験は非常にたくさんあり、キャリアアップだけでなく人間としても大きく成長できる機会です。ぜひ管理職になりたい方は意識して行動してみて下さい。