リハスタ

   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

理学療法士の臨床実習。10年以上前の自分の辛い体験を振り返ってみた。

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最近、実習に関するガイドラインも改訂され、実習に対するあり方も昔とは随分変わってきたなーと思う今日この頃。


私が実習でお世話になったのは、もう10年以上も前のことになりますが、改めてどんな実習だったのか、思い出しながら書いてみたいと思います、、、。

過疎地の中核病院

一つ目の実習地は、田舎にある病院で、地域の中核的な役割を果たしていたのではないかと思います。


今、改めて調べてみるとその病院があるA市は、現在人口3万人、高齢化率は40%近い数字でした。高齢化率の全国平均が26.6%なので、かなり高齢化が進んでいる地域だったということになりますね。


今覚えているのは、リハビリの対象疾患は運動器・脳血管などが多かったように思いますが、リハビリを行っていないだけでおそらく内科疾患なども幅広く入院していたのだと思います。


当時は、理学療法士が3名だけの病院でした。非常勤で作業療法士が週1回程度こられるような環境だったと思います。


理学療法士の経験年数は、だいたい15年、10年、1年くらいだと思います。私が担当させていただいた患者さまは、亜急性期の脳血管疾患の方でした。


CVでもあった1年目の先生と一緒に担当しつつ、SVの先生にCVと一緒にアドバイスをいただくという、新人教育と学生指導を含めたような体制でした。


今、「実習で一番つらかったこと」を聞かれると、私はこの実習中の患者様との関係性が築けなかったことを思い出します。


経過中に、麻痺側の肩の痛みが強くなり、リハビリも思うように進まない日が長く続きました。リハビリ(CV・私)に対する不信感も感じられ、患者様ももちろんそうですが、私も精神的にかなり苦しかった時期です。


亜脱臼のあるその患者様に、プーリーを積極的に勧めていたCV。少なからずそのことが痛みの原因だと思う部分もあったのですが、なかなか指摘できない自分。


デイリーノートに亜脱臼、肩手症候群をひたすら調べ上げ、間接的にプーリーを否定する考えを伝えていたような気がします。


最後まで、患者さまと良好な関係が築けないまま終わってしまった実習地です。


実習最終日の最後に、SV(女性)から「実習中何が一番つらかった?」と問われ、「患者さまとの関係が一番つらかったです」と答えました。


すると、SVから「逃げずにちゃんと向き合ってたね。他の患者様にも丁寧に接していて、私はちゃんと評価しているよ」とおっしゃってくださり、その瞬間に涙が止まりませんでした。


その一言で、自分の葛藤や努力など救われたような気がしました。あの場面の、あのやりとりは10年以上たった今でも鮮明に覚えています。


数年前、ある養成校のバイザー会議に出席した際、そのSVの先生も参加されており、挨拶させていただきました。覚えていてくださったようで、名刺交換してもらいました。


今は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士までそろい、かなり大所帯でリハビリに力をいれていること、CVの先生は辞められたことを聞き、私は管理職として試行錯誤しながら頑張っていることを伝えさせてもらいました。


今でもやはりつらい思い出ですが、SVの先生の一言、その後の自分の頑張りを伝えられたこと。少し自分の中でも昇華できた気がします。




大学病院

2つ目の実習地は大学病院でした。この実習地は、学生の間でも厳しいと評判の実習地で、毎年トップレベルの学生を実習生として送り込んでいました。


自分で言うのもアレですが、学生時代は勉強熱心だったので、実習生に私が選ばれてしまったわけです、、、。


こちらの実習地ではSVのみで、CVはつかないやり方でした。SVは臨床経験15年ほどの男性でしたね。


体育会系の厳しさで、怒鳴られる、実習終了を脅される、が週に1回はあった気がします。


前時代的な指導で、今もこのやり方をされているのであれば、問題だとは思います。


ただ10年前は、「厳しい実習地」の一言で片づけられる時代だったんでしょうね。


厳しい先生でしたが、確かにこちらに非があることがほとんどだったので、しょうがない部分もあったのかとは思います。


今振り返ると、どんなに怒鳴られようと、「嫌い」という感情にはなりませんでした。


実習最終日にはお願いして握手してもらったり。その先生の影響も受けて、呼吸療法認定士の資格を取得したり。


今でも尊敬している先生の一人ですね。


大学病院ということで、整形(THAなど)の在院日数は14日前後で、担当させてもらってはすぐに退院の繰り返しで、ものすごく忙しかったです。同時期に2、3人のケースを担当していた時期もあったような気がします。


今でもあの実習地をパスできたことは、自分の中で自信・誇りになっている部分もあり、そういった面では感謝してます。

感想

10年経って改めて振り返ると、結構感慨深いものがあります。


実習地によって、厳しさは全然違ってくると思います。


わたしの場合は、「良い思い出」とまではさすがに行きませんでしたが、この2つの実習地でお世話になり、「悪くはなかったなぁ(笑顔)」ぐらいにはなっているみたいです。


これからの学生さんにも、ポジティブな思い出が残るような実習地が増えればいいなと思います。


今回は、私の個人的な思い出話になってしまったので、今度はこれから実習に行く学生さん向けに、私の学生・実習指導者の経験も踏まえた考えを書いてみたいと思います。