リハスタ

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リハビリでのチーム制と担当制のメリット・デメリット。

私は回復期リハビリテーション病院に勤めています。


当院では、患者の担当を個人レベルでの担当ではなく、セラピスト数人のチームを作って、チームレベルで患者を複数担当するというチーム制(グループ制)を取っています。
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最近は、回復期病院では365日体制が増え、早出・遅出などいろいろな勤務体制が増えていますね。


そのためか、以前のようにいわゆる担当制ではなく、チーム制orグループ制の形を取っている病院も増えてきているのではないでしょうか??


私の病院は、チーム制の形に移行して、5年ほど経過しており、現在は1チームにはPT4名程度、OT3名程度のバランスでチーム編成を行っています。


なかなか、チーム制の形が円熟したとは言えませんが、この5年間のチーム制の経験と、以前の担当制との違いを踏まえ、担当制とチーム制のメリット・デメリットをまとめてみます。

担当制のメリット

担当制のメリットは、基本的には同じ患者と毎日顔を合わせていリハビリを行えるという点ですね。


そうなると、患者との信頼関係も築きやすいでしょうし、日々の身体機能の変化や自分自身のアプローチによる効果判定も行いやすいと思います。


結果的に、予後予測やゴール設定などもイメージしやすく精度も上がるのではないでしょうか。


チーム制では患者に対する責任感が希薄になりやすい印象もあるので、担当制の方が一人一人の患者に対して責任感を持って関われる気がします。もちろん、それはセラピストの気構え次第なので、チーム制でも責任感を持って関われるスタッフもいます。

担当制のデメリット

認知症などでリハ拒否やセラピストに対して暴言・暴力行為があるなどの場合は、逆に毎日治療者として関わることが大変なこともあるかと思います。


また、自分の視野だけになってしまうので、治療などが偏りやすいかもしれません。


職場にもよるとは思いますが、容易に相談できる環境であったり、先輩・上司のセラピストと普段から意見交換できる場があれば、この点はある程度解消可能かと思います。


また技術の拙いセラピストが担当になると、患者自身の不利益にもつながってしまいます。




チーム制のメリット


私が感じる一番のメリットは、やはり複数の患者の治療に関われるということですね。


担当制に比べると、明らかに治療に関われる患者数が違います。なので、経験値という面ではすごいメリットではないでしょうか??


もちろん、担当制と違い、治療に関わる頻度は少なくなるので、その分1回1回の治療に集中し、変化を読み取り、その場で治療プランを考えていく必要があるので、頭はフル回転しなければなりません。


また、複数のセラピストで関わるので、セラピストごとの考えを意見交換でき、自分では気づけなかった視点も得られるかもしれません。


あとは、新人さんのフォローや教育もしやすいとも思います。どうしても新人だけで担当すると、十分な治療成績が残せないので患者の不利益にもつながってしまいます。


チーム制であれば、フォローもできますし、一緒に同じ患者について意見交換する頻度が増えるので、教育面でも良い影響がありますね。

チーム制のデメリット


一番のデメリットは、患者に対する責任感が薄くなりやすいことでしょうか。特に、向上心のない・意識の低いセラピストにこの傾向が見られやすいような気がします。


チーム制なので、自分が頑張らなくても、他のセラピストが考えて頑張ってくれる、、、みたいな雰囲気を感じることもあります。


あとは連続して同じ患者を治療できないため、日々の身体機能の経過が把握しにくいですね。特に経験年数の少ないセラピストは難しいかもしれないです。


また、自分のアプローチによる変化なのか、他のセラピストのアプローチによる変化なのか、効果判定が分かりにくい面もあるかもしれません。


患者側からしても、セラピストごとに少しずつ治療方法が違うことに戸惑われ、それがクレームに繋がることもあります。


また、あのセラピストにして欲しい、あのセラピストにはして欲しくないなどの、具体的なクレームがくることもあります。


ただ、このクレームに関しては、逆にセラピスト間で切磋琢磨するいいきっかけになるのかと思ったりもします。


患者さんだって良くなることに必死ですからね。当然、良いセラピストにたくさんリハビリしてもらいたいと思うのが普通です。


そうなると、技術があったり、接遇の良いセラピストに対して、指名のような意見が来ることも当然だと思います。


逆に、技術もなく、接遇も悪いセラピストは、患者から避けられることも当然です。


そうならないためには、チームの中で一定のレベルに達する必要があるので、チーム内で切磋琢磨するいい刺激になると思っています。


あとは、チーム内で情報共有する必要性や意見交換する場が必要なので、その分の時間を確保する必要があります。


当院では、午前・午後のそれぞれの終わりに、その場を設けています。業務時間内に設けていますので、若干ではありますが、単位数の減少にも影響はしています。


また、職員の退職などがあると、チームの人員の調整が必要なことあり、チーム編成にはなかなか頭を悩ませますね。


個人的には

個人的な感想はこんな感じですかね。見返してみると、チーム制のデメリットの文章が一番長いということになってますね、、、、。


私個人としては、担当制よりチーム制の方がメリットを多く感じているんですが。


セラピストによっては、担当制を希望するスタッフもいますね。どちらかというと担当制を希望するスタッフは意識・向上心が高いスタッフが多いような印象もあります。


管理者としては、当院の組織は経験年数の若いスタッフが多いので、チーム制にすることで組織全体のレベルアップを図ること。また、患者に対して一定のレベルのサービス提供が担保できるといった面でチーム制を取り入れています。


課題としては、患者に対する責任感の薄れ。あとは本当に成熟したチーム制にするためには、お互いのアプローチ方法を理解した上で、それを阻害しない、かつ自身のアプローチを展開できる、このレベルに達することができればそれはまさにチームで患者を担当するということになるのでしょうが、まだまだこれからですね。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。