リハスタ

   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

就職先を探すときの病院見学で質問すべきポイント。理学療法士などのリハビリ職向け。

多くの学生が、臨床実習を終えてから就職活動を始めると思います。が、いざ病院見学に行ってもどこに注目して見学したらいいのか、何を聞いたらいいのか分からない、、、というのが多いのではないでしょうか。

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最初に就職する病院が、その後のセラピスト人生に与える影響はかなり大きいです。


後で後悔しないように、自分で納得して働けるように、今日は就職先の病院を選ぶ際のポイントについて考えてみました。是非、見学に行く際の参考にしてみてください。

1日のセラピストの単位数

まず大原則として、リハビリは20分単位で行うものということを知っておきましょう。20分を1単位と数えます。つまり、もし1人の患者に1時間行ったとすると3単位と数えます。


そして、1週間に1人のセラピストがリハビリを提供できる単位数は108単位以下と厚生労働省が定めています、これがポイントになります。さらに、1日の上限も決められており24単位が最大です。


基本的には週休2日の病院が多いと思うので、1週間の出勤日数は5日ですね。上限の108単位÷5日は21.6単位。つまり1日平均21単位までセラピストが取得することが、病院の利益としては1番良いということになります。


だたし、実際の業務で見ると1日8時間労働なので、21単位取得ということは7時間リハビリを提供し、のこり1時間でその他の業務ということになります。


セラピストのリハビリ以外の業務とは、カルテの入力であったり、入院・退院患者に関する書類業務、カンファレンス資料、自主練習用の資料、他職種との情報交換、他のセラピストへの申し送りなどなど、結構こまごまとしたものがたくさんあります。


なので、1日の平均単位数が21単位の職場では定時に帰ることはなかなか難しいと思っておいてください。よほど要領がよいか、業務に手を抜かない限り難しいです。


仮に1日の平均単位数が18単位の職場では、リハビリ以外の業務に2時間取れるので比較的書類業務等にゆとりがあると判断できます。


なので、1日の単位数を確認することである程度、業務の過密さを把握できます。

残業手当

定時に帰れないとしても、残業代を出してくれるのであれば、その分給料は上がります。ただ、雇用主である病院としては当然、なるべく残業代を出したくないわけです。


残業代に関しても、月に何時間までなら残業代を支給するであったり、定時から何分以上残ったら残業と認めるであったり、そもそもサービス残業の職場もあったりと、職場によってばらばらです。


給料に直結することですし、残業に関する病院の考え方を見ると、職員を大事にしているのかどうかもわかるので、ぜひ確認してください。




有休消化率

有休を取得することは社会人の権利です。ですが、実際には年間に与えられた有休を100%使用している職場は少ないと思います。ほとんど使用できない職場もあるのではないでしょうか。


有休は職場の雰囲気、暗黙のルールによるところが多いです。前年度の有休消化率がどのくらいか確認してみても良いかと思います。


また長期休暇、例えば5日以上連続で休日が取れる制度があるかどうか。たまにはどこか遠くへ旅行にでも行きたいですよね。


1日単位の有休だけでなく、時間単位の有休をとれる制度を取り入れている病院も増えています。例えば、夜に予定がある場合、定時より2時間早く帰るために時間有休を使う、みたいなケースです。


時間単位の有休は意外と便利なので、結構おすすめです。このあたりもさくさくっと聞いてみましょう。

研修費

実際に働き始めると、いろいろな学会・研修・講習会があることに気づくと思います。もちろん、参加は個人の自由です。ただ、参加するにもそれなりの参加費や交通費が必要となります。


それなりどころか、理学療法士の給料からすると、かなり痛い出費となります、、、。


病院によっては、研修会等の参加費・交通費を病院が負担してくれるところもあります。前年度の実績や何回までの研修なら病院が負担してくれるなどの条件も確認できるといいと思います。


そのあたりも確認しておくと、給料面では多少低くても、その分研修費・交通費の自己負担が減るので給料の低さをある程度カバーできるというふうに考えることもできます。研修費・交通費って結構馬鹿にならないですからね。

資格手当

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの国家資格に対しては多くの病院が資格手当を出しているのかなと思います。ただ、国家資格以外にもリハビリ職が取得するメリットのある資格はたくさんあります。


国家資格以外の資格は、個人のスキル・キャリアアップのためと理解しておくといいかと思います。


例えば、私は呼吸療法認定士という資格を取得していますが、資格を取得していても特別な業務ができるといったわけではありません。あくまで、呼吸に関する知識が一定以上ありますよ、といった認識です。


その他にも、心臓リハビリテーション指導士、糖尿病療養指導士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターなどなど。挙げ始めるとかなりあります。


病院によっては個人でのスキル・キャリアアップを応援してくれる病院もあり、そのような資格取得したスタッフに対して資格手当という形で毎月の給料にプラスしてくれる病院もあります。そのような病院では、自分のスキル・キャリアアップへのモチベーションも高まりやすいと思います。

人事考課

セラピストの給料は残念ながら今はあまり芳しくありません。あまり昇給がない病院も多いのではないでしょうか。


人事考課とは、一人ひとりのセラピストの能力を評価し、それを給料に反映するというシステムです。管理職が客観的に見て、そのセラピストの能力を評価し、優れている場合は給料にプラスの査定をつけます。もちろん、劣っていると判断される場合もあるので、減給の可能性もあり、人事考課は一長一短のシステムといえます。


学生さんに知っててほしいのは、非常に熱心に勉強をし、研修にも意欲的に参加しているベテランのセラピストと、いい加減で適当な若手セラピストがいたとしても、単位時間当たりのリハビリの料金は同じなんです。


なので、人事考課のように努力しているセラピストが報われるシステムがないと、組織全体が停滞してしまう可能性があるので、個人的には人事考課を導入している病院の方がおすすめです。

離職率

離職率もその職場を評価する一つの目安となります。もちろん、離職率が低いということは、職員の満足度が高いことにつながりやすいですから。


離職率が高いとしても、結婚・出産を理由に退職される場合もあるのでそのあたりは見極めが必要です。ただ、離職率までは聞けたとしても、退職理由までは聞きにくいかもしれませんね。


そんな場合は、今回の求人の目的から聞いてみてはどうでしょうか。単純に業務拡大による、例えば訪問リハを始めたことによりスタッフが不足したのか、それとも退職者が出たから人員を補充したのか。その流れからなら、退職された理由も確認しやすいかなと思います。




データ管理

例えば、今まで挙げた項目のデータ管理ですね。1日のセラピストの平均単位数や有休消化率、前年度の研修実績、離職率。その他には、病院の対象疾患の割合、平均在院日数など。これらのデータを毎年適切に管理しているかどうか。


このようなデータを管理できていないというのは、少し管理不足な面が否めないと思います。データを取っているから良い病院・働きやすい病院と直結するわけではありませんが、やはりデータ管理ができていない管理職の下で働くのは、データ以外の管理の面でも不備がある可能性が高いのかなと思います。

法人の大きさ

医療法人、社会法人などいろいろありますが、その法人全体の大きさも確認するといいです。


病院だけで黒字がもちろん望ましいですが、今や病院も潰れる時代です。私が住んでいる地域でも潰れた病院、経営状態が悪く買収された病院などが結構あります。


私の勤めている病院も生き残りをかけて、試行錯誤しながら奮闘している状態です。


一般的には施設の方が利益を出しやすいので、法人内に施設も持っている規模の法人の方が、いざ病院の経営が厳しくなったときに、施設が黒字であれば法人としては黒字を維持しやすいです。


また、法人内に施設を持っていれば、退院しても法人内の施設に退院、もしその施設で状態が悪くなればまた法人内の病院へ入院、という流れもとれます。ご家族・ご本人としてもこれは安心だと思います。


病院も潰れる時代なので、患者さんの取り合いになってきています。ある程度、自分たちの法人で患者さんを囲い込む必要があるので、法人全体の規模を確認する視点も持ってみてください。


以上が、もし自分が次の就職先を探すとしたときに意識する点です。


あれやこれやと質問すべき内容を見て、「見学のときにこんなに質問したら嫌な顔されるんじゃない?」って思う学生もいるかもしれませんね。


私は、病院見学・面接試験にも立ち会いますが、しっかり質問してくる学生の方が好印象を持ちます。だって自分の一生がかかっていることなんですから、聞きたいことは山ほどあって当然です。


逆に、大した内容の質問をしない学生は、どこまで自分の将来を本気で考えているのか分からないので、むしろマイナスの印象になります。遠慮せず、ガンガン質問してくださいね!

就職試験に関しての記事も書いてみました。
www.rihasuta.net