【脳卒中】認定理学療法士の試験対策ノート。高次脳分野まとめ。
本日は、認定理学療法士(脳卒中分野)の高次脳機能障害についてまとめていきます。
認定必須研修会での講師の方は、網本先生でした。プッシャー症候群の第一人者といった方でしょうか、非常に興味深い講義でした。
半側空間無視の評価
線分二等分テストは、20cmの線分でカットオフ値は1cm未満。SIASの視空間認知では50cmの線分でカットオフは3cm未満。
時計描画課題は、半側空間無視の検査には不向き。知的能力・衝動性を反映する。
行動性無視検査(BIT)は、総合計227点でカットオフ点は199点。通常検査と行動検査に分けられ、点数が高いほど良い。
CBSは、観察スコア・自己評価スコアの両方をスコアリングできる。観察得点から自己評価スコアを引くと病態失認得点が算出される。
空間
空間は、自分自身の身体の身体空間。
リーチ可能な範囲の近位外空間(近傍空間)、リーチ範囲外の遠位外空間とに分けられる。
注意ネットワークモデル
ヒトが目的をもって作業している際、対象にトップダウンに注意を向ける。この能動的な注意の神経ネットワークを目標指向性注意システム(背側注意ネットワーク・DAN)。
予期しない刺激に対して受動的に注意を向ける神経ネットワークを刺激誘発性注意システム(腹側注意ネットワーク・VAN)。
DANは両半球に存在するが、VANは右半球のみに存在する。USNにおいて受動的注意低下が臨床症状に多いのはこのことが原因となっている。
半側空間無視のタイプ
知覚性無視:上頭頂葉・縁上回の障害で、線分二等分、読みでの文字見落としなどが見られる。
対象・物体中心の無視:側頭葉海馬傍回の障害で、複合語の読み障害が見られる。
探索的・視運動性の無視:下前頭回・背外側前頭皮質(ワーキングメモリ)の障害で、末梢試験でエラーが見られる。
アプローチ
能動的トレーニングには、視覚走査・空間運動手がかり・視覚走査+体幹回旋などが挙げられる。長期的効果が得られるが、課題以外の汎化が得られにくい。
プリズムアダプテーションは、即時効果・持続的効果が見られ、他の課題にも汎化されやすい。姿勢バランスにも効果がある。
プリズムアダプテーションには2つの方法がある。TPAは上肢が目標に到達するときに視認できる方法。CPAは途中から上肢の動きを確認できる方法。TPAの方が効果的。
Pusher
研究によって出現頻度はさまざま。阿部先生の14.2%が広く使われている数字。
視覚的に頭部を重力に対して定位するシステムは保持されている。
第2の重力認知系の障害。体幹における腎臓の位置情報、内臓求心系の迷走神経からの入力→視床・島葉などに投射している。
垂直性
pusherは、垂直を知覚する過程のどこかに異常をきたしていることが原因と推察されている。
SVV:(Subjective Visual Vertical)視覚垂直。対象物が垂直であることの認識
SPV:(Subjective Postural Vertical)身体垂直。自身の身体が垂直であることの認識。
SPV-EO:(Eyes Open)身体垂直・開眼。閉眼での自身の身体が垂直であることの認識。
半側空間無視では、視覚垂直は患側に偏位。
PusherではSVVは正常な場合が多い。SPVは健側に偏位。視覚的な対象物(点滴棒)などを手掛かりに、自身の身体垂直との誤差を学習させることがアプローチとして有効。
以上が簡単ですが資料のまとめになります。2017年のPTジャーナルのUSNの特集で、森岡先生や網本先生の寄稿がありますが、非常に勉強になります。そちらも是非目を通してみてください。