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   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

腎臓病薬物療法に関する薬剤師の認定制度。他職種の情報も知っておきましょう。

ここ最近、腎臓病療養指導士や腎臓リハビリテーション指導士など、腎疾患に対する専門職のキャリアアップが加速しています。


個人的にも、運動療法によって腎機能の改善の可能性が証明されつつあることは、理学療法士としての関わり方にも変化が出てくることを期待せずにはいられません。


なので、最近はちょくちょくCKDに関する勉強を始めています。知人の薬剤師が腎臓病薬物療法認定薬剤師だったことが分かり、改めてリスペクトしているところです。


腎臓病薬物療法に関する薬剤師の認定制度を少しまとめてみました。

学会

以前までは研究会でしたが、2012年に日本腎臓病薬物療法学会になったようですね。学会になってから、腎臓病薬物療法専門・認定薬剤師制度を開始しています。


学会の会員数は2017年9月時点で、2052名が入会しています。学会の公式ページには2012年から2017年の入会者数の状況のグラフがありましたが、毎年200人以上の会員数が新たに入会しており、確実に増えてきています。


年会費は正会員で8000円、学生会員で1000円となっています。

専門・認定・単位履修修了薬剤師

認定制度の中で、専門薬剤師・認定薬剤師・単位履修修了薬剤師の3種類に段階づけを行っています。


専門薬剤師は、専門的な知識・技術を持ち、実務・教育・研究に従事するレベル。


認定薬剤師は、専門的な知識・技術を持ち、各医療機関で質の高い業務を実践するレベル。


単位履修修了薬剤師は、腎臓病薬物療法に関する自己研鑚を積んだ薬剤師をいい、本学会の単位履修修了薬剤師認定審査をパスしたレベル。


ざっくり分類すると、こんな感じでしょうか。専門薬剤師に認定されるためには、認定薬剤師として3年経過していることも条件に入っているので、段階的にステップアップするようにイメージですね。




単位履修修了薬剤師

それぞれの資格習得のための条件をまとめていきます。


まずは単位履修修了薬剤師ですが、薬剤師としての臨床経験が5年以上、かつ3年以上本学会に入会していること。


学会が示す単位基準の修得単位が、申請時の直近 2 年間で 8 単位以上あること。だそうです。

認定薬剤師

薬剤師としての臨床経験が5年以上、かつ3年以上本学会に入会していること。


日本医療薬学会認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師(5 年以上)、日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)レベル 5 以上、薬剤師認定制度認証機構により認証された認定制度による認定薬剤師のいずれかであること。


学会が示す単位基準の修得単位が、申請年の直近 3 年間で 12 単位以上あること。


日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本医療薬学会、日本薬剤師会学術大会などの全国レベルの学会や関連する国際学会において、腎臓病薬物療法に関する学会発表が、申請年の直近 10 年間で 3 回以上(うち,少なくとも 1 回は筆頭発表者)あること。


申請時に、直近 5 年間の 30 自験例を提出できること。


条件を満たした上で、認定試験(筆記試験)に合格した者が認定されるようです。


一気にハードルが上がったような印象ですが、認定薬剤師の数は113名とのことです。




専門薬剤師

認定薬剤師として3年以上腎臓病の薬物療法に携わっていること。


日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本医療薬学会、日本薬剤師会学術大会などの全国レベルの学会や関連する国際学会において、腎臓病および透析患者の薬物療法に関する学会発表が、申請年の直近 10 年間で 5 回以上(うち、少なくとも 2 回は筆頭発表者)、複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に腎臓病薬物療法に関する学術論文の投稿が 3 編以上(うち、少なくとも 1編は筆頭著者)の全てを満たしていること。


筆記試験は用意されていません。実務だけでなく、研究・教育に関する活動がかなり必要となっているのが分かりますね。認定者数は18名です。



改めてまとめてみて思ったことですが、認定・専門薬剤師レベルになるとかなりハードルが高い資格制度ですね。更新に際しても、学会発表が条件に入っているので、定期的な発表を行わないと継続もできないようです。


薬剤師さんには頭があがりませんね。腎臓リハビリテーション指導士の資格も近く開始されるようですが、どのような認定制度になるのか注目です。