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新ガイドラインで臨床実習生を担当してみた!注意した点と今後の課題。

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厚生労働省が作成する理学療法士・作業療法士養成施設指導ガイドラインが改訂され、臨床実習のあり方に大きな変化がもたらされました。


特に大きな変化として、1週間の臨床実習時間が40時間以上45時間以内に変更された点です。


ガイドライン変更後初めての実習生を担当する機会があったので、実際にどのように取り組んだか、感想などをまとめてみます。

ガイドライン変更

ガイドラインが変更され、実習施設自体も今後準備していかなければなりません。


臨床実習担当者が臨床経験5年以上かつ臨床実習指導者講習会を受講していないと実習生を受けいれることができなくなります。この変更は、まだ猶予期間が設けられていますが。


ただ、もう一つの大きな変更点。「1週間の臨床実習時間が40時間以上45時間以内」は、今後行われる臨床実習に適応すべきとのことなので、早急に職場で周知せねばなりません。


この「臨床実習時間」には、自宅での学習時間も含まれます。1日8時間病院で実習を行うと、自宅で課題を行う時間は1時間になってしまいます。


自己研鑽による学習時間は、臨床実習時間に含まれません。あくまで課題を行う時間が実習時間に含まれます。自己研鑽と課題の明確な線引きが難しく、この部分が現場レベルでのもやもや感が否めない原因でしょうね。




学生へのオリエンテーション

新しいガイドラインで初めて学生を担当させてもらいました。


実習の前からガイドラインの変更の情報は把握していましたが、実際にどのように対応していくのかリハビリテーション部内で十分に検討する間もなく、実習が始まってしまいました。


とりあえず私はSVだったので、CVと相談し、症例レポートは課題として扱わないことを決めました。


養成校自体も症例レポート作成は、実習後に作成する期間を設けているため、実習中に完成させる必要はないとのことでした。


なので学生に伝えた内容としては、症例レポートは実習中の課題としては扱わないこと。


もs実習中に作成してバイザーに提出するのであればレポートに関しても指導は行いますよー、ただしレポート作成にかかる時間は実習時間に含まれない自己研鑽として扱ってくださいよー、の形で伝えました。


学生には、大人って大変なんだなって顔をされました、、、。大変なんです。


病院としての課題は、デイリーノートとケースノートの2つを説明しました。


当院の方法では、ケースノートが担当ケースに関する評価や治療見学の記録、担当ケース以外の治療見学や治療に関する学習内容をデイリーノートに記載するような形で使用しています。


デイリーノート、ケースノートを作成する時間を病院にいる間に設け、基本的に病院にいる間に課題を終了させる方針としました。

臨床実習の実際

さて実際に行ってみると、だいたい4時ごろから学生にはその日の課題を行う時間を与え、6時の定時には速やかに帰ってもらいました。


1日のスケジュールで見ると、CVがケースの症例を治療する場面の見学(1時間)、学生さんがケースの患者を評価・治療する時間(1時間)、CVがFBする時間(1時間前後)、SVがFBする時間(30分前後)、当日の課題を行う時間(1~2時間)


1日の実習時間の半分程度がこれらで埋まってしまうんですよね。


うちの病院ではまだクリニカルクラークシップは導入できていないこともあるのかもしれませんが、せっかく臨床に来ているのに実際の臨床の場を見学・体験する機会があまりに短すぎる。


患者の治療を見学してもらい、学生と治療内容について話し合いますが、やはり知識不足は当然あります。


最低限の知識を押さえていなければ、今までの実習生であれば「帰って調べてデイリーにでもまとめてきて」と言っていたんですが、今は違います。


課題にせずその場で一つ一つ教えていくようにしています。でも、人から答えを教えられることより、自分なりに考察して調べたことの方がよっぽど知識にもなるし、忘れにくいと思うんですよね。


実習時間を制限することが、本当にどこまで学生のためになるのか、甚だ疑問です。


実際に学生自身からも、「もっと課題出してもらって構いません」みたいなことを言われました。


おそらく今までの実習を経験した先輩から、実習の厳しさを教わっていたと思うので、いろんな意味で複雑な感情があるのかもしれませんね。


学生が進んで自己研鑽で勉強したくなるような関わり方が望ましいですかね。




課題の定義

実際に実習生を担当して、やはりせっかく臨床に来たのであれば色々と見学・体験をしてもらいたいという気持ちが強いです。


じゃあどうやってその時間を捻出するか。


当院の個別担当制では、どうしてもケースノートは必須になってしまうかと思います。


症例レポートも書かない、ケースノートも書かない、になってしまうと学生がケースについてどのように解釈し理解しているかの確認ツールがないんですよね。


デイリーノートに関しては、いっそのこと失くしてしまってもいいのかなと思いました。デイリーノートは学生の自己研鑽として扱い、書いてきたことに対してはフィードバックする。


課題がケースノートだけになれば、その分の実習中の課題作成時間も短縮できるので、臨床場面の見学に時間を費やせそうです。

実習生を担当して

ものすごく学生が尊重された実習スタイルになったなぁと思いました。


家での課題の勉強時間も1時間程度ですからね。養成校の先生とも個別で少し意見交換しましたが、実習以外の普段の学内教育でも自宅での勉強時間が1時間なんてことはないと話されてました。


やはり、自分で試行錯誤しながら勉強することが学生自身のためにもなると思うんですよね。


最近は、学生の質の低下が感じられ、ひいてはそれは新入職員の質の低下につながります。


このままいくと、再来年度の新入職員あたりから、実習スタイルの変更のツケがきそうな気がしています。


度が過ぎた負担を強いるような実習は時代遅れだとは思いますが、実習・学生の質の維持を図るにはもう少し方法論を検討してもよいのかと思いました。