リハスタ

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高齢者×リハビリ×靴。シューズ選びの注意点とおすすめシニアシューズ。

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何気なく、シューズショップを歩いているとリハビリ専用シューズのような商品があり、ちょっとしたコーナーまで設けられてました。


たしかに、靴選びも結構大事ですもんね。高齢者の方が履いている靴って、かなりの割合でサイズがあっていない方が多いように思います。


改めて靴選びって大事なんですよね。今日はそのあたりを少し書いてみます。

高齢者の靴事情

最初にも少し書きましたが、高齢者の方の靴のサイズって不適合な場合が結構多いです。


特に入院患者にもなると、家族の人が「とりあえずなんとく買ってきたであろう靴」を履いている方も度々見ます。


自分の親の足のサイズなんておそらくほとんどの人が把握していないので、本人にサイズを聞くか、だいたいのサイズをあてずっぽうで買ってくるようなパターンが多いのかなと思います。


ここでまず1つ注意点。ほとんどの高齢者は自分の足のサイズを正確には分かっていません。これは研究でもはっきりと結果が出ています。


そして、足の実寸より大きいサイズを自分の足のサイズだと誤認していることが多いです。足のサイズを誤認しているのは、若い人にも結構多いですが。


結果的に、せっかく買ってきた靴は実寸より大きい靴になってしまうんです。買い替えるほどではないので、そのまま使用するというパターンが多い印象です。




不適合の影響

サイズの不適合がどのような影響をもたらすか。


靴の中で足が滑るので、足の指の変形や擦り傷などの原因になることがあります。


糖尿病の方などは、指先などの末梢の血流が著しく悪いので、ちょっとした擦り傷でもなかなか治りにくいです。最悪の場合、壊死してしまい切断に至る場合も少なからずあるので要注意です。


あとは、少しでも靴の中で足が滑らないように無意識的に指を握りしめて踏ん張るパターンもあります。


これもリハビリの歩行練習には悪影響をもたらすことが多く、注意が必要になります。


不適合のために起こる足部障害(指・爪の変形など)は、片足立ちの時間の減少などにも影響を与えます。


つまり、足部障害はバランス能力の低下につながってしまい、転倒のリスクを増やしてしまう可能性があるということですね。リハビリ関係なく、元気な時から靴のサイズには注意してもらいたいですね。

足の指のタイプ

足の指にもタイプがあることってご存知ですか??


指のタイプによって、足のサイズの計測方法も異なるので、自分の指のタイプを知っておくことも大事です。


足の指のタイプはエジプト型・スクエア型・ギリシャ型の3つのパターンに分けられます。


名前だけ聞いても全く分かりませんよね、写真で説明します。

スクエア型
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親指、人差し指、中指の長さがほとんど同じタイプはスクエア型です。


足のサイズの測り方は、踵から人差し指を結ぶ線の長さが足のサイズになります。


ギリシャ型
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人差し指が一番長いタイプはギリシャ型です。


ギリシャ型も足のサイズは先ほど同様、踵から人差し指までの長さになります。

エジプト型
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親指が一番長く、小指側に行くにつれて順々に短くなるタイプはエジプト型です。


足のサイズの測り方で注意点が必要なのが、エジプト型。

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前の2パターンに比べて親指が一番長いので、踵から人差し指を結ぶ線の延長線と親指からの垂線が交わった点が正しい足のサイズとなります。


足の指の形にパターンがあることも結構知られていないので、改めて自分の形を知ったうえで適切なサイズの靴を購入してください。




選ぶ際の注意点

患者様の状態にもよりますが、歩く練習をされているのであれば、あまりに靴底が柔らかすぎるタイプの靴はおすすめしません。


最近は、入院患者用に室内履きの名目で靴底(アウトソール)が柔らかいタイプがよく売られています。実際に当院の患者様でも履いている人もいます。


軽量な点はメリットかもしれませんが、アウトソールが柔らかすぎる(スリッパレベル)と靴自体の固定性に欠けてしまいます。


アウトソールには足底の機能を補助する役割もあります。足底の機能が低下した高齢者ではスリッパのような極端にアウトソールのない靴は、バランスや歩行にも悪い影響をもたらします。


有名ブランドのアシックスがシニア向けのシューズを数種類販売しています。その靴を見ても、アウトソールにはかなりこだわりを持って作られているのが分かります。やっぱりアウトソールって重要なんです。

セラピストに相談

迷うことがあれば、リハビリのスタッフに相談してもらうのが一番かと思います。


脳卒中の患者様の場合など、足に装具をつけてリハビリすることもあるので、経過によっては装具をつけた状態ではける靴の購入をお願いすることもあります。


その場合は、せっかく購入してもらった靴が無駄になることもあるので、やはり事前に確認しておく方が無難です。


あとは、靴の着脱の際に、高齢者では座ったまま足元まで手を伸ばすことが難しい方もいらっしゃいます。


そのような場合は、マジックテープなどがついてなく足元に手を伸ばさなくても脱ぎはきできるデザインの靴の方がおすすめです。

おすすめシューズ

アシックスのライフウォーカーシリーズでは、「母指に優しい」「膝に優しい」「脱ぎ履きしやすい」などの目的に合わせて選べれるようなラインナップになっています。


高齢者では指の変形で外反母趾になっていることが多いこと。膝の軟骨が摩耗し変形性膝関節症により膝の痛みが生じやすいこと。靴の脱ぎ履きが難しくなりやすいこと。


これらのよく見られる問題に対して、それぞれに特化した機能性・デザイン性を持ったシニアシューズを販売しています。


毎日使うものなので、自分に適した良いものを使用することをお薦めします。