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【最新】令和4年度診療報酬改定。リハビリ関連の個別改訂項目のまとめ。

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先日、令和4年度診療報酬改定の個別改定項目が掲示されました。


とりあえずリハ関連の項目の概要をざっとまとめてみました。


その後、答申も出されたので点数なども更新しています。


早期離床・リハビリテーション加算の見直し

早期離床・リハビリテーション加算の算定対象に、救命救急入院料、ハイケアユニット入院管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料を算定する治療室が加わりました。


基本的には入室して14日以内のみに取れる加算です。入室から14日内を限度として500の加算が付きます。


ちなみに現在は、特定集中治療質管理料のみがこの加算の対象とされており、入室から起算して14日を限度として500点の加算がついています。



また当該加算に関わる職種に言語聴覚士が追加されました。




地域包括ケア病棟入院料の評価体系の見直し

こちらは地域包括ケア病棟の実績に関する見直しですね。「在宅復帰率」「自宅等から入院した患者割合」の要件について見直されるようです。


現在は、地域包括ケア病棟入院料1・2では在宅復帰率は「7割以上」ですが、これが変更され7割2分5厘に引き上げられました。


また入院料3・4に関しては、今までは「在宅復帰率」に関する実績要件はありませんでしたが、今回の改定により在宅復帰率が「7割以上」と定められました。


そして、入院料1・3では自宅等からの入院した患者割合が「1割5分以上」であることが要件としてありましたが、この数字も変更され、「2割以上」に引き上げられています。


また緊急入院の入院患者の3ヶ月の受け入れ人数が、現状は「6人以上」でしたがこれも「9人以上」に引き上げられています。


ただし、包括ケア病床室が10床未満の場合は「8人以上」とされるようです。

回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系及び要件の見直し

現状の回復リハビリ病棟入院料5を廃止し、現行の回復期リハビリ病棟入院料6を入院料5として位置付けるそうです。


6段階の入院料が5段階になったということですね。なぜ廃止されたのか、詳細は読み解いていかなければ分かりません。


また回復期入院料1・2の重症患者割合が現行の「3割以上」⇒「4割以上」、3・4に関しても現行の「2割以上」⇒「3割以上」に変更


回復期入院料1・3に関しては施設基準に関して、「公益財団法人日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けている病院、またはこれに準ずる病院であることが望ましい」が追加されそうです。


今回の改定では、「望ましい」との表記なので義務付けはされていませんが、おそらく今後は義務付けになってくるでしょうね。


この背景には、実績指数を導入して以来、回復期入棟時のFIMの評価点数が下がっており、実績指数を上げるために意図的にFIMを下げて評価している病院があるんじゃないかとの指摘が以前からありました。


病院機能評価の認定を受けていない病院で、特にそれが顕著であるとのデータもあるため、今回追加されたようですね。


これは今後対策が必要になってくる病院が多いと思われます。




回復期リハビリテーションを要する状態の見直し

回復期リハ病棟の対象疾患として新たに、「急性心筋梗塞、狭心症の発作若しくはその他急性発症した心大血管疾患の発症後また手術後の状態」が追加されました。


リハビリ実績指数の算定対象から除外する場合でも、FIMの測定は行うことが義務付けられています。おそらく効果判定として把握しておきたいのでしょうね。


また入棟時、入棟後も月に1回以上は心肺運動負荷試験を実施することが望ましいとされています。


また当たり前ですが、心大血管疾患リハに係る届出を行っている保険医療機関とされています。


すでに心リハを提供している病院では回リハの対象疾患が増えることは恩恵がありそうですね。


ただ、心リハを行うには、心リハを提供している時間帯に循環器内科又は心臓血管外科の医師が常時勤務している必要があるため、なかなか新規参入は困難かと思われますね。


特に回リハは休日もリハビリを行っている病院が多いと思われるので、休日を含めた医師の勤務調整はなかなかハードルが高いと思います。

リハビリテーション実施計画書の署名欄の取り扱いの見直し

実施計画書の署名に関して、患者自身の署名が困難であり、かつ患者家族が遠方に居住しているなどの理由で署名が困難な場合には、家族等に情報通信機器等を用いて計画書の内容を説明の上、リハビリの継続の同意が得られた旨を診療録に記載すれば、署名がなくてもOKになりました。

ただし、その場合でも家族等へ計画書の交付が必要になります。


また疾患別リハを初めて実施する場合は今まで通り署名をもらう必要があるので注意が必要です。


電話等で説明して同意を貰う→診療録にその旨を記載→後日計画書を郵送の流れで行けそうですね。


ただ、実際の実務の流れで考えると、電話連絡しても結構つながらないことが多いこと、折り返しもないこと、折り返しのタイミングがリハ中であったときの対応などを考えると、ある程度スタッフに対してルールの設定・教育が必要になるのかと思います。

透析中の運動指導に係る評価の新設

人工腎臓を実施している患者に対して、医師・看護師・理学療法士等が、療養上必要な訓練等について指導を行った場合は、透析時運動指導等加算が算定可能になります。


ただし、指導を開始した日から90日を限度として75点の加算が取れます。


腎リハが最近注目されているので、これは理学療法士にとっては朗報ですね。




継続的な二次性骨折予防に係る評価の新設

二次性骨折予防継続管理料というものが新しく新設され、1~3の3種類に分かれています。


管理料1が1000点、管理料2が750点、管理料3が500点となっています。


管理料1は、大腿骨近位部骨折を発症し、手術治療を担う病院の一般病棟に入院している患者に対して、骨粗鬆症の有無に関する評価、必要な治療を実施した場合に入院中に1回算定できます。


管理料2は、地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟において、急性期病院にて管理料1を算定していた患者に対して、継続して骨粗鬆症の計画的な評価、治療を行った場合に入院中に1回算定できます。


管理料3は、管理料1を算定していた患者の外来治療において、継続して骨粗鬆症の評価・治療を行った場合に1ヵ月に1回算定できます。


確か、ある調査で骨粗鬆症の治療適応患者のうち、実際に治療をしていた患者は約20%であったという結果や、治療開始しても5年で約半数の患者が治療から脱落しているとの報告があったと思います。


今回新設された加算で、骨粗鬆症患者に対する治療の継続率が改善されるといいですね。骨粗鬆症リエゾンサービスなんかを頑張っている病院が報われそうです。


ざっとはこのような内容です。気になる項目があれば、厚生労働省のHPで詳細を確認してみてください。今までの議論の流れも確認するとより方向性がつかめると思います。