2024年の放課後デイ再編に関する素案。総合支援型・特化型の考え方。
前回の記事で、厚生労働省が放課後デイを再編する方針を示し、今後公費対象外の事業者が出てくる可能性があることを紹介しました。
今回は、障害児通所支援の在り方に関する検討会で作成された報告書(素案)の要点を紹介したいと思います。
2024年の報酬改定にも強く影響してくる内容だと思われますので、確認しておきたいところです。
検討の背景
平成24年に児童発達支援・放課後等デイサービスを中心とする制度体系の骨格が作られました。
その後、約10年が経過し、児童発達支援は8,298箇所(平成24年比で4.5倍)、放課後等デイサービスは16,718箇所(平成24年比で6.5倍)と、飛躍的に増加しています。
この状況を見ると、中学校区程度の日常生活圏域に、1箇所程度ある地域が平均的になっており、サービスを受けることができる環境は大きく改善したと考えられます。
一方で、多様な主体の参入等もあり、障害児通所支援として求められる適切な運営や支援の質の確保が常に課題とされています。
これらの現状も踏まえ、今後の障害児通所支援の在り方について検討するため、この検討会が作られました。
制度改正や障害福祉サービス等報酬改定を視野に、制度的に対応すべき点を検討されています。
なので、今回の報告書でまとめられた素案は、実行される可能性が高いと言えます。
障害児通所支援の利用の現状
障害児通所支援の利用児童数は、この5年間で約2.3倍、費用額は約2.8倍に増加しており、これは他の社会保険給付費と比較しても大きな伸びとなっています。特に、「利用者数」の伸びが大きく寄与しているとされています。
こうした利用者数の伸びは、発達障害の認知の社会的広がりよって、年少期の間に発達支援に繋がるようになってきたことが考えられます。
しかし、今後もまだ顕在化していない支援ニーズがあり、障害児通所支援の利用者数は、今後も増加する可能性があると検討会では考えられています。
放課後デイの役割・機能の在り方に関する検討の方向性
ここからが、具体的に今後の放課後デイに関する変更案が示されている部分です。
ガイドラインでは、①自立支援と日常生活の充実のための活動、②創作活動、③地域交流の機会の提供、④余暇の提供を組み合わせて行うこととされています。
ガイドライン創設時の議論では、この4つの活動の全てを行うことで、総合的な支援を本来の支援の在り方として想定されていました。
一方で、現状のサービス提供の実態では、一部のプログラムに特化した事業所が存在し、利用する事業所の得意とする支援に偏ってしまうことが懸念されています。
こうした点も踏まえ、特定領域の支援のみを提供するのではなく、多領域の支援をカバーした上で、個々の障害児の状態に応じて、特に重点を置くべき支援内容を決めていく「総合支援型」(仮称)を基本型とする方向で検討すべきとされています。
その上で、特定領域のプログラムに特化した支援のみを行う事業所の場合は、専門性の高い有効な発達支援(理学療法、作業療法、言語療法等)については、「特定プログラム特化型」(仮称)の放課後等デイとして位置付ける方向で検討すべきと記載されています。
また、見守りだけで個々の障害児に応じた発達支援がなされていない場合に加え、学習塾のような学習支援のみとなっている、ピアノや絵画のみの指導となっている等、有効な発達支援と判断できない場合や、サービス提供内容から、障害のない子どもであれば私費で負担している実態にあるような内容については、公費で負担する障害児通所支援の内容と相応しいとは言えないと考えられると指摘しています。
以上が報告書(素案)の特に放課後デイに関する内容です。
児童発達支援に関しても書かれていますので、そちらに興味がある方は原文を確認してみて下さい。