低栄養状態の患者をリハビリする際の運動負荷量
本日は低栄養状態の患者のリハビリをする際の注意点をまとめたいと思います。
リハ栄養に特に興味のない方もいらっしゃるとは思いますが、少なくともこの記事で紹介することは抑えておいて欲しいです。
なぜなら、一生懸命患者を良くするためにリハビリを行なっても、逆に患者を悪くする可能性があるからです。
低栄養状態だとなぜ悪い??
低栄養の定義に関しては別の記事でまとめさせていただきました。興味のある方は一読お願いします。
physicalkun.hatenablog.com
では、低栄養状態だとなぜ悪いのでしょうか??
疲れやすそうだから?筋肉がつきにくそうだから?それだけではないんですよね。
低栄養状態の患者に間違った考えでリハビリを行なってしまうと、逆に悪くしてしまう可能性があります。
運動にはエネルギーが必要
当たり前のことなんですが、大事なことです。患者が低栄養状態にあるということは、食事等から得ているエネルギーより、日々の生活動作・リハビリと病気の創傷治癒などで消費しているエネルギーの方が多く消費されているということになります。
分かりやすくエネルギーを収入と、支出に例えて考えてみましょう。食事が収入、運動や創傷治癒のエネルギーが支出です。
健康な方であれば、収入と支出はほぼイコールの生活です。最近太ってきたなーという方は、支出より収入が増えている状態と理解できます。
低栄養状態の方は、収入より支出が多くなっている赤字の状態です。その状態で、積極的な筋力増強運動などを行うと、支出(運動によるエネルギー)が増えてさらに赤字が大きくなります。
その場合、私たちはどーするでしょうか。貯金を切り崩しますよね。ヒトの体内でのエネルギーの貯金にあたるものは、筋肉になるんです。貯金である筋肉を分解することで、なんとか支出のエネルギーを捻出しようとするんですね。
筋肉を増強するためのリハビリが、かえって筋肉を分解させてしまうことがあるということ。この点をしっかり理解しておかないと、専門職とはいえないのではないでしょうか??
この患者は積極的に行っていいのか??
ではどのように判断してリハビリの負荷を決めればいいのかという話になります。
BMI22以上 | BMI18.5-22 | BMI18.5未満 | |
---|---|---|---|
アルブミン3.6以上 | 機能改善 | 栄養・機能改善 | 栄養改善・機能維持 |
アルブミン3.0-3.5 | 栄養・機能改善 | 栄養・機能改善 | 栄養改善・機能維持 |
アルブミン2.9以下 | 栄養改善・機能維持 | 栄養改善・機能維持 | 栄養改善・機能維持 |
アルブミンとBMIの関係から運動負荷を判断できます。ここでゆー機能維持とは、関節可動域運動や筋力維持のための運動(最大筋力の20~30%負荷)、ADL訓練などのことを指します。
ただ、アルブミンはリアルタイムの栄養状態を反映せず、採血日の3週間前の栄養状態を反映する数値だということを知っておいてください。
なので、アルブミンの値も参考にはしますが、今現在、患者がどの程度の食事を摂取しているのか。食事箋の情報ではなく、本当に食べれている量の確認。それとリハビリの運動量との調節が必要となってきます。
栄養状態が回復してから積極的なリハビリを行うのではなく、今後、この患者が栄養状態が改善してくると判断される時点で筋力増強を行っていく必要があります。
そのためには、病棟看護師や栄養士と相談しながら栄養状態を把握していく必要がありますね。リハ栄養も他職種連携が重要です。
患者の栄養状態をしっかりと評価して、より効果的なリハビリが行えるよう、もっとリハ栄養が普及していくことを期待しています。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
新人理学療法士へ。勉強・業務・研修会などのアドバイス。
本日は、新人理学療法士の方へ、管理職の立場からのアドバイスをさせていただきたいと思います。
まだまだ私自身勉強中の立場ですが、少しでも参考にしていただければと思います。
まずはどんどん質問してみましょう!
最初のうちは、先輩スタッフについてまわり、リハビリを見学する流れが大半だと思います。見学しても特に質問して来ない新人さんも時々います。先輩療法士として、やはり質問が何もないと淋しいものです。
質問があることで、この新人さんがどこをどのように理解してるのか、どこに興味がありそうなのか、、色々感じとれることもあります。
せっかく同じ職場なのですから、コミュニケーションをとりながら、お互い楽しく働きたいと思います。
経験を積んでいく度に、先輩に質問することが難しくなります。下手に質問すると、自分の勉強不足がバレてしまうからです(笑)
今のうちにしっかり質問して、少しでも知識を吸収しましょう。
また、どうしてもセラピストにも経験年数だけではないレベルとゆーものがあります。経験年数が多いほど優れた知識・技術を持っているかといえば、必ずしもそうではありません。
日々の臨床にどれだけ真摯に向き合っているかで、同じ10年を過ごしても大きな差が現れます。
今後の自分の目標となるよーなセラピストを見つけるには、質問をして、しっかり教えてくれたり、納得のできる返答ができるセラピストを見つけましょう。
学会参加のすすめ
早い段階から学会に参加することで、日々の疑問を抽出することができるのではと思っています。
もちろん、教科書で調べて解決する疑問はすぐ解決すべきです。ただ、それだけでは解決しない疑問や、疑問としても気付かず通り過ぎてしまうような疑問。それらにもアンテナを張り、しっかり抽出できる感性。
その疑問を研究発表するかどうかは、また別の能力が必要ですが。ただ、しっかり気付けるかどうかで、視野の広がりが格段に違うと思います。
ぜひ、学会参加を検討してみて下さい!
研修会の選び方
職場やネットで色々な研修会の案内などを見る機会があると思います。どれこれも、魅力的に見えるのではないでしょうか??私もそうでした。
私として、1年目は特殊手技のような研修会への参加はあまりおすすめしません。ボバース、認知神経リハ(認知運動療法)、SJF、、などなど。
どれも本当に理解すれば素晴らしいアプローチだと思います。
ただ、どうしても特殊手技の研修会は、認定コース(ベーシック、アドバンスなど)のような形が多いような気がします。
そして、他の治療アプローチの批判を少なからず聞くことがあります。認定コースの履修を図るためにも、求心力を高めることは必要だとは思います。
ただ、私としては、他を批判することで自分たちへの求心力を高めるのはあまり好きではありません。
新人さんはそれを鵜呑みにしてしまう方もいるので、そういった意味で特殊手技への参加はおすすめしていません。病院によっては、病院のルールで3年目までは参加を禁止しているところもあるそうですね。
治療を学ぶ権利は個々にあるべきなので、そこまですることもどうかとは思いますが、少し気持ちは分かります。ただ、若い時は広い視野で考えて欲しんですよね。
もちろん、私の病院で1年目から特殊手技を学んでも、それを軸としつつもそれでもしっかり広い視野で成長しているスタッフもいます。
ですが、早い時期から特殊手技ばかりになってしまうと、視野が狭くなりやすく、それがもったいないと思います。
解剖・運動・生理学に基づいての治療をしっかり行うことで、基礎が身につき、その後に発展すると思っています。
基礎が出来上がって、自分に合う治療手技を探してもいいのではないでしょうか?
文献・書籍を読もう!
今の時代、スマホで調べればすぐに色々な情報が手に入ります。
私もネットで調べたりもします。が、やはりネットには誤った情報もあると思います。私もブログで情報を発信している一人ですが(笑)
最初のうちに、しっかり文献・書籍から学ぶ姿勢を身につけましょう。
そして、その日の疑問をその日のうちに解決することですね。私は臨床実習の学生には、ひたすらこのことを念押しします。
簡単なことのようで難しいことです。この継続が、理学療法士としてのチカラとなっていくと思います。
ホウレンソウがやっぱり大事
臨床実習のときからゆわれていると思いますが、報告・連絡・相談。やはりこれが不十分な職員が多いです。自分の判断で行い、あとでこじれたころに相談に来られることや、他部署からの指摘で問題が発覚することもあります。
トラブルの解決も、管理職の仕事なので私の腕の見せどころではあるんですが。
もちろん、そのスタッフの判断の甘さでトラブルになることもありますが、良かれと思ってやったことが、うまくいかずトラブルになることもあるんですよね。
少し相談してもらえば、アドバイスでき、すんなり行くことも、多々あるように感じます。
先輩や管理職のスタッフは、相談されて嫌がるようなことはありません。後でトラブルになるぐらいなら、しつこいぐらい相談してもいいと思います。
以上が、新人理学療法士の方への私なりのアドバイスです。
お互い理学療法士として切磋琢磨していきましょう!
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
将来のために、理学療法士として知っておきたい2025年問題
本日は医療業界にとって大変重要な2025年問題についてなるべく分かりやすくまとめてみたいと思います。
2025年問題??
知らない理学療法士の方には是非読んでいただき、知っている方にも再確認していただけると幸いです。
少し堅苦しい内容や数字等も出していきますが、大事な問題です。知らないでは恥ずかしい、2025年はもうすぐそこまで来ています!!
今後来る2025年問題の概要
ざっくりゆーと、2025年に団塊世代の方(1947~1949年生まれ)が後期高齢者に突入します。このことが日本にどのように影響するのかが、この2025年問題です。
団塊世代の人数が800万人とゆわれており、2025年には後期高齢者の割合が18.2%に達するとゆわれています。また要介護(支援)認定者数の増加も予想され、755万人まで増加することが予想されています。
高齢者世帯の見通し
世帯主が65歳以上である高齢者の世帯数は、2025年には1840万世帯にも増加すると見込まれています。そのうち、高齢者の夫婦のみが30%、単身世帯が30%と予想されています。
まさに老老介護。さらに今後、要介護レベルであっても独居ができることを目標に地域包括システム等の新たなシステムが推進されています。
医療・介護サービスの需要は??
ここまで読むと、後期高齢者が増える→医療・介護ニーズが増える→リハビリ職種は安泰と考える方もいるかもしれません。
もちろん、医療・介護ニーズは間違いなく増えます。大都市では医療需要のピークは2040年とゆわれています。
ただ地域差があるので、過疎地ではすでに2010年に医療需要のピークを迎えた地域もあり、地域格差がすでに結果として表れています。
ただ、医療ニーズの増え方に問題があり、その点が大きな問題となっています。
病床数(ベッド数)と看取りの場所
2015年の65歳以上の方の年間死亡数は120万人です。2025年の65歳以上の年間死亡数は140万に達すると見込まれています。
これだけの人数を病院で受け入れることは困難とされており、病院だけでなく在宅での看取りを支援できるようなサービスが望まれます。
リハビリに関しても、リハ対象疾患の増加が予想されます。病床の割合が以下のようになることを目指していくようです。
2013年 2025年
高度急性期 高度急性期
19.1万床 13.0万床
急性期 急性期
58.1万床 ⇒ 40.1万床
回復期 回復期
11.0万床 37.5万床
回復期が3倍程度まで増えていますが、その分急性期病棟の割合が減っていますね。より早期に回復期への転院が必要と思われます。
また軽症なケースであれば、回復期を通さず急性期から在宅へ。そこから介護サービス等での機能回復も必要となってくるそうです。
当院は回復期病院ですが、すでに急性期病院の在院日数は平均2週間ほどとなっています。
私が就職したころは、発症から1カ月経過したころに当院に転院されていたイメージでしたが、ずいぶん短縮されてきてますね。
回復期病院の今後
また急性期での在院日数の短縮だけでなく、回復期病院での在院日数の短縮も必要となってくる可能性はありますね。
すでに、FIM利得による回復期病棟のレベルの差別化が診療報酬に反映されています。今後もより高いレベルでFIM利得を打ち出さなければ、診療報酬の減算となってしまうでしょう。
FIM利得の計算式が(退棟時FIM運動項目-入棟時FIM運動項目)/(入棟から退棟までの日数÷算定上限日数)です。
分母の入棟から退棟までの日数(在院日数)の短縮がやはりカギとなってくるような気がします。
今現在はFIM利得が27未満の回復期病棟は減算となってしまいますが、ほとんどの回復期病棟が27以上を確保できているので、次回の診療報酬の改定ではこの27の数字を少しいじってくるかもしれませんね。
以上で2025年問題を終わります。本当はまだまだこまかな情報も載せようかと思ったのですが、あまり小難しくするのもどうかと思いこのようにまとめました。
新人理学療法士さんにはざっくりとした概要だけでもつかんでもらい、理学療法士として大局を見れるような視野を持っていってほしいです。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
アンダーソンの基準はもう古い?リハビリ中の新しいリスク管理について
本日はリスク管理についてまとめたいと思います。
リスク管理、セラピストとして最低限抑えておかないといけない点ですね。
さて、リハビリで有名なリスク管理といえば、、、アンダーソン・土肥の基準がやはり浮かんできます。私が国家試験を受けたときも、高頻度で出題されており、確実に抑えておきたいとこでした。
最近では、アンダーソンではなく他の基準が主流になりつつあるようで、その基準を紹介します。
リハビリに関する訴訟ケースをまとめた記事です。リスク管理を含めてしっかりと自分を守ることが重要ですね。
www.rihasuta.net
アンダーソン・土肥の基準
一応、復習も兼ねて張り出しておきます。
Ⅰ.運動を行わないほうがよい場合
1)安静時脈拍数 120/分以上
2)拡張期血圧 120以上
3)収縮期血圧 200以上
4)労作性狭心症を現在有するもの
5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの
7)心房細動以外の著しい不整脈
8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの
Ⅱ.途中で運動を中止する場合
1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合
3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合
4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合
Ⅲ.次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する
1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合.ただし,2分間の安静で10%以下に戻らぬ場合は、以後の運動は中止するかまたは極めて軽労作のものにきりかえる
2)脈拍数が120/分を越えた場合
3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
4)軽い動悸、息切れを訴えた場合
あまりにこれに準じているとリハビリにならない患者様も多くいらっしゃるので、その場合は逐一主治医に確認を取っておこなっています。
主治医に相談しても、大丈夫大丈夫で終わることも多いですが。
日本リハビリテーション学会診療ガイドライン
最近、実習に来ている学生とリスク管理について話す機会がありました。
今でもアンダーソン・土肥の基準を学校でも教えられるそうですが、もう一つ別の基準をメインに教えられるそうです。
家に帰って慌てて調べたのですが、アンダーソン・土肥の基準に似てはいますが、もう少し具体性を持たせた基準が、日本リハビリテーション医学会が示しているようですね。
一応アンダーソン・土肥の基準から追加されているものを太字にしています。
1.積極的なリハビリテーションを実施しない場合
① 安静時脈拍40/分以下または120/分以上
② 安静時収縮期血圧70mmHg以下または200mmHg以上
③ 安静時拡張期血圧120mmHg以上
④ 労作性狭心症の方
⑤ 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
⑥ 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
⑦ 著しい不整脈がある場合
⑧ 安静時胸痛がある場合
⑨ リハビリテーション実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
⑩ 座位でめまい、冷や汗、嘔気等がある場合
⑪ 安静時体温が38度以上
⑫ 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
2.途中でリハビリテーションを中止する場合
① 中等度以上の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛、頭痛、強い疲労感等が出現した場合
② 脈拍が140/分を超えた場合
③ 運動時収縮期血圧が40mmHg以上、または拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合
④ 頻呼吸(30回/分以上)、息切れが出現した場合
⑤ 運動により不整脈が増加した場合
3.いったんリハビリテーションを中止し、回復を待って再開
① 脈拍数が運動前の30%を超えた場合、ただし2分間の安静で10%以下に戻らない時は以降のリハビリテーションを中止するか、または極めて軽労作のものに切り替える
② 脈拍が120/分を超えた場合
③ 1分間10回以上の期外収縮が出現
④ 軽い動悸、息切れが出現
4.その他の注意が必要な場合
① 血尿の出現 ② 喀痰量が増加している場合 ③ 体重が増加している場合
④ 倦怠感がある場合 ⑤ 食欲不振時・空腹時 ⑥ 下肢の浮腫が増加している場合
どんな基礎的なことも、定期的にアップデートする必要がありますね。学生くんに感謝です。
若手セラピストにおすすめ書籍に関する記事です。
www.rihasuta.net
理学療法士の専門性と給料・キャリアアップについて
本日は理学療法士の給料アップ、キャリアアップのための資格についてまとめたいと思います。
今や潰れる病院自体も珍しくない状況の中で、なかなか給料アップも厳しい病院が多いと思います。自分の将来をどのようにイメージするか難しい中で、少しでも参考になればと思います。
理学療法士の中での専門性
一年間に、国家試験を合格して新たにどのくらいの人数が理学療法士になっているかご存知でしょうか?
平成24年が9850人、平成25年に初めて1万人の王台を超えました。それ以降は1万人の王台こそ超えてはいませんが、常に9千人代を推移しています。
受験者数自体は平成25年移行も増えている傾向にあるので、合格率で調整されているような印象を受けます。
累計の合格者数は平成28年度までで139214人となっています。
その中で、医療・介護報酬の削減が図られている医療業界で、いかに個人としての理学療法士の立場を守っていくか、考えていく必要があると思います。
理学療法士の専門性
1番分かりやすいものに、理学療法士協会が進めている認定理学療法士、専門理学療法士の認定制度がありますね。
私自身は、新人教育プログラムを修了し、専門分野に登録したところで止まっています(笑)
ただ、いざ認定理学療法士の資格を取ろうとしても、専門分野に登録して2年経たないと、認定試験が受けれません。また専門理学療法士に至っては5年たたないと取得できません。
いざ、行動しようとしたときのためにとりあえず登録しておいて損はないと思います。
ちなみに2016年4月時点での認定理学療法士の取得人数は1958人、専門理学療法士の取得人数は1792人と発表されています。
理学療法士の給料・キャリアアップ
理学療法士が取得可能で、キャリアアップにつながると思われる資格も今はたくさんありますね。
以前記事にまとめた呼吸療法認定士やNST専門療法士などは、認知度も高くキャリアアップにつながりやすいのではないでしょうか?
あと、私がぱっと思いつくものに、心臓リハビリテーション指導士や、糖尿病療養指導士、呼吸ケア指導士、セラピストマネージャー、ケアマネージャーなどなどありますね。
自分の病院の特性と自分の興味とが一致するようであれば、このような資格の取得もキャリアアップにつながるかもしれませんね。
また病院によっては、資格取得による資格手当の支給もあるそうです。病院全体でレベルアップを推進している職場であれば、資格手当も理解してくれるかもしれませんね。
また、転職する際にも、履歴書に書けるのでアピールポイントにはしやすいのではないでしょうか??
他の理学療法士との差別化を図るためにどうするか、しっかりマネジメントしていく必要がありますね。
これらの資格の取得方法や費用などは、また別の機会にまとめていきたいと思います。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
理学療法士協会に入会するメリット・デメリットとは??迷っている方のための参考資料。
本日は理学療法士協会に入会する必要性の有無についてまとめたいと思います。
毎年、新人職員が入職し理学療法士協会に入った方がいいのかとの話になります。
なので、加入するか迷われている方の参考に少しでもなれば幸いです。
理学療法士協会の年会費は??
理学療法士協会は加入には、初年度のみ入会費の5.000円が必要で、年会費は11.000円です。
また理学療法士協会に加入すると、都道府県ごとの理学療法士会(県士会と称されます)にも加入となります。なので都道府県別の県士会の年会費も同時に納める必要があります。
県士会の年会費は一律ではなく、都道府県によってばらつきがあり、4000〜12000円を払う必要があります。
なお、免許登録の初年度に入会すると、その年の年会費は5000円に割引されるそうです。
理学療法士協会に入るメリットは??
さて、年会費等は説明しました。では、実際に入会するメリットはなんでしょうか?メリットと、それに関する私の個人的な意見を述べます。
①理学療法士協会や県士会が主催する研修会、学術大会等の参加費が割引されます。
学術大会に積極的に参加される方にとっては、結構バカになりませんね。
県士会の研修も参加すればモチベーションも上がりますし、何よりおなじ地域のセラピストとのつながりが増えます。
②日本理学療法学術大会への演題登録料(1万円)が無料となります。
研究発表も頑張ってみたいとゆー方にはいいサービスですね。
③理学療法学というジャーナルと会報誌が年6回送られてきます。郵送先は勤務先か自宅か選べますよ。
もちろん、ジャーナルは読めば勉強になります。が、現在はjstageで無料で読めるようになっています。
会報誌は最近のトピックスや、診療報酬の改定、協会の今後の方向性などの内容が書かれています。
私は正直昼休憩に読む程度です、、、近くのスタッフとの雑談ネタにはなったりします。
④診療報酬・介護報酬が改定された際に情報を提供してくれます。
今やネットでいくらでも改定に関する情報は手に入れることが可能です。が、正確性・信憑性などの面では、協会の情報は間違いないですね。
⑤会員限定に公開される情報。理学療法に関するガイドラインなど。
⑥理学療法士賠償責任保険に加入(自己負担なし)。さらに任意で別料金をはらうことで、補償の範囲を広げた保険に入ることができます。
個人的にはこれが一番のメリットと思っています。あとで、これについては話します。
⑦福利厚生サービス「クラブオフ」なるものがあります。
一部のレストランや宿泊ホテル、レジャー施設が優待価格で使用できるそうです。私は使用したことがありませんが、興味はありますね。
また一部の書籍も5%の割引が受けれるサービスもあります。
⑧協会が進める認定理学療法士と専門理学療法士のキャリアアップが可能。
理学療法士としての専門性を形にするにはいいのかもしれません。ただ、これを持っていると加算がとれるなどの診療報酬への影響はありません。なので、おそらく給料アップにもつながりにくいと思われます。
今後の協会の活動に期待しています。
主なメリットはこのようなものでしょうか。どの程度魅力的に感じられたでしょうか??
管理職についている者としての意見
私個人としては、新人職員に加入の必要を問われたときは、強くは言いませんが加入を勧めています。
理由としては、先ほども述べましたが賠償責任保険に加入できることです。
みなさんも感じとっていると思いますが、医療業界に関わらず、訴訟とゆーものがより身近なものになっている世の中です。
病院自体も保険に加入していますが、その多くは訴訟相手が病院の案件に対応するものだと思います。個人相手に対する訴訟では、保険の対象外の職場もあるのではないでしょうか?
そのような点を踏まえると理学療法士個人を守ってくれる保険とゆーものは、入っておいた方がよろしいかと思っています。
また認定・専門理学療法士などのキャリアアップも、今後の理学療法士の増加の中で生き残っていくためには必要かもしれません。まだまだ、この制度はスタートしたばかりですので、今後に期待したいところですね。
ちなみに協会のHPの情報では8割近くのPTが協会に加入されているそうです。
以上、管理職についている者の個人的な意見でした。参考になれば幸いです。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
リハ栄養を踏まえたエネルギー消費量の計算。注意すべき運動負荷。
本日は回復期リハビリ病棟に入院されている患者様のエネルギー消費量の計算方法についてまとめたいと思います。
以前の記事でも触れましたが、回復期リハビリ病棟では1日に最大で3時間リハビリをすることが可能です。急性期病院に比べると、リハビリの運動強度も上がっていることも考えられます。
運動時間・運動強度が増えれば、当然消費エネルギーも増えるため、その点を踏まえた栄養管理が必要となってくるわけですね。
なので、急性期病院での投与カロリーをそのまま回復期リハビリ病棟患者に使用していれば、体重減少につながり、低栄養状態となる危険があります。
基礎エネルギー消費量(BEE)
まずは基礎エネルギー消費量(BEE:Basal Energy Expenditure )について説明していきます。
基礎エネルギー消費量(BEE)とは、ヒトがじっと寝ているだけでも消費するエネルギー量のことをいい、具体的には心臓・肺の活動など、必要最低限のエネルギーのことをいいます。基礎代謝量ともゆったりします。
では、どうやって求めるかですが、身長・体重・年齢を用いたハリスベネディクト式がよく用いられます。
男性=66.47+13.75w+5.0h-6.76a
女性=655.1+9.56w+1.85h-4.68a
(w:体重kg、h:身長cm、a:年齢)
で計算可能です。
全エネルギー消費量(TEE)
基礎エネルギー消費量に、あとは実際にリハビリ等の運動で消費したエネルギー量を合算したものが、全エネルギー消費量(TEE:Total Energy Expenditure)となるわけです。
実際の患者様の食事のカロリーがこの全エネルギー消費量と同量であれば現状の栄養状態の維持が可能です。
すでに低栄養状態にある患者に全エネルギー消費量と同じ投与カロリーでは栄養状態の改善は得られないので、毎日全エネルギー消費量に加えて+200~750kcal多めに摂取することを、1ヶ月間継続すると体重が1㎏増加するとゆわれています。
エネルギー消費量の計算方法
リハビリでのエネルギー消費量の計算にはいくつか方法があるので紹介していきます。
まずはメッツ(METs:Metabolic equivalents)を使用する方法があります。メッツとは運動の強さを示す単位です。安静臥位を1メッツと規定した際、目的の動作が何倍の運動量になるかを示します。
以下に簡単な身体活動とそれに応じたメッツを紹介します。文献によって多少差が見られますが。
メッツ 身体活動
1.0 横になって静かにテレビを見る
1.3 座って静かにする、立位で静かにする
1.5 座位で会話する、食事する
1.8 トイレ
2.0 整容動作、家の中を歩く、シャワーを浴びる
3.0 歩行(4.0km/時間、平らで固い地面)
3.5 レジスタンス運動(8~15回繰り返えし)、階段を降りる
どうでしょうか、イメージがつかめたようなつかめないような、、、。ちなみに階段をおりるは3.5ですが、上がるになると8メッツになります。
もっと詳細に動作を分類したものも紹介されていますので、気になる方は調べてみて下さい。
一般的にベッドサイドでのリハビリは1~3メッツ程度、機能訓練室でのリハは1.5~6メッツとゆわれています。
エネルギー消費量(kcal)=1.05×体重(kg)×メッツ×時間(hr)で消費量の計算が可能です。
なので体重50kgの患者様が、一日3時間リハビリをしたとして、その運動強度の平均が3メッツと考えた時は、473kcalをリハビリで消費したということになります。
よって全エネルギー消費量=BEE+473と考えられます。
活動係数とストレス係数
次に活動係数やストレス係数を用いた計算方法を紹介します。当院ではこちらの方法を採用しており、他の病院の取り組みを見てもこちらを使用されている事が多いみたいです。
計算式は
TEE=BEE×活動係数×ストレス係数
活動係数の例
寝たきり状態(意識障害):1.0
寝たきり状態(覚醒状態):1.1
ベッド上安静 :1.2
ベッドサイドリハ :1.2~1.4
ベッド外活動 :1.3
機能訓練室でのリハ :1.3~2.0
機能訓練室にて2~3メッツ程度のリハを20分で1.3、1時間以上で1.3~1.7、2時間以上で1.5~2.0の活動係数に換算します。
ストレス係数の例
飢餓状態 :0.6~1.0
術後3日間 :1.1~1.8(侵襲度による)
骨折 :1.1~1.3
褥瘡 :1.1~1.6
感染症 :1.1~1.5
当院は回復期なのでほとんどストレス係数については考慮していません。
活動係数についても文献によって微妙に数字が前後していることや、あくまでセラピストの主観で決めるので客観性に欠ける点が問題かなと考えています。
以前、リハ栄養で著名な若林先生のお話を聞く機会がありましたが、定期的に栄養状態のモニタリングをして投与カロリーと全エネルギー消費量とのバランスを見ていく必要があると話されていました。
今後、活動係数の統一や、新たに客観的なエネルギー消費量の計算方法の開発が期待されますね。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
【要約】呼吸療法認定士の資格取得の流れや必要費用などについて。経験者からのアドバイス。
本日は呼吸療法認定士についてまとめてみたいと思います。
私自身はもう7.8年ぐらい前に取得したでしょうか。5年毎に更新なのですでに一度更新しています。職場で初めて呼吸療法認定士の資格を取得したので、それは私の中で自慢です。
また、自分のキャリアアップのために初めて動き出した時期ですね。なのでいろいろと思い入れのある資格です。
実際に資格取得するにあたって、知らないと失敗しかねない点があるので、その注意点も踏まえてまとめてみます。
呼吸療法認定士とは??
呼吸療法認定士でも、おそらく十分に通用するとは思いますが、正式には3学会合同呼吸療法認定士が正しい名称ですね。
この3学会とは、日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会になります。
資格取得の条件
①臨床工学士、看護師、理学療法士、作業療法士の資格を保有し、常勤として2年以上実務経験をしていること。准看護師の場合は3年以上の実務経験が必要です。
②認定講習会への参加。毎年8月ごろに東京で開催される2日間の認定講習会への参加。
※この講習会に参加するためには、直近5年間で学会が認める呼吸に関係した学会、研修会に参加していなければなりません。
※私からのアドバイスです!
この認定講習会の申し込みは、郵便局で特定記録郵便というシステムで申し込みを行います。
特定記録郵便とは、郵便局に受講申し込みの封筒を出した時間を記録することができ、要は早いもの順で受講者を決めていくというやり方です。
なので、申し込み開始の日にちの8時から郵便局での封筒の取り扱いが可能となりますが、だいたい開始15分程度で受講人数いっぱいになるそうです。
受講を希望される方は、その点も理解した上でしっかりとした準備が必要です。
私も申し込んだときは、地方の郵便局ですが数人同じような封筒を持った方が受付に列を作って並んでいました。
③最後に認定試験を受験し、合格すると晴れて呼吸療法認定士の資格がもらえます。
おそらく、認定講習会の受講の争いが一番のハードルではないでしょうか(笑)
合格率はどのくらい??
気になる合格率は、、、学会の公式のHPによると60%前後ですね。職種別の合格率も提示されており、理学療法士の合格率は全職種の平均より、高めになっていますねー。
みなさん、それだけ意識高く勉強に取り組まれているんでしょう。なんだか嬉しいですね。
資格取得者の割合は??
どの職種が多く取得されているんでしょうか?少し気になったのでまとめておきます。
資格取得者は43463人。内訳は看護師が54.8%、理学療法士が29.7%、臨床工学士が12.6%、作業療法士が1.9%、准看護師が1.1%でした。
直近の4年間の合格者でゆーと理学療法士の合格者数が1番多いですねー。今後も取得される方は増えていきそうです。
取得・維持に必要な費用
私が資格を紹介する際は必ずまとめている項目です。やはりどのくらいの金額が必要なのか気になるところですね。特に、維持に必要な費用まではあまり考えられていない方もいますが、重要な要素だと思います。
まず、取得自体に必要な費用から。認定講習会の参加費用が2万円です。会場は東京で2日間の講習なので、そこらへんの交通費・宿泊費も必要ですね。
認定試験の費用が1万円、同じく会場は東京です。
次に資格維持のための費用ですが、5年ごとの更新が必要となります。更新に際して学会が認める学術大会や研修会に参加して一定の単位を取得する必要があります。
さらに更新料として3500円必要となります。
以前紹介したNST専門療法士に比べると、維持にかかる費用はこちらの方がかなり安く済みますね。ありがたいことです。
以上が呼吸療法認定士のまとめになります。もし検討されている方がいらっしゃれば少しでも参考にしてください。
呼吸ケア指導士なる資格も最近できたみたいです。
http://physicalkun.hatenablog.com/entry/2017/06/28/170835physicalkun.hatenablog.com
最後までお付き合いありがとうございました。
理学療法士の給料と役職について。管理職について思ったこと。
本日は理学療法士のお給料と役職について、個人的な感想をつらつらと述べます
私は理学療法士になって、12年ほど経ちました。幸いにも、最初に就職した病院で現在も働いております。病院の機能として、回復期を中心とした130床ちょっとの病院です。
セラピストの人数は全部で60人程度でしょうか、うちPTが約40人ほどです。PTの年齢層としては、上は40代、下は新卒。平均でゆーと、30歳手前ぐらいが一番多いでしょうか。
そんな病院の管理職の感想です。
役職について
うちの病院のセラピストの役職は、リハビリテーション部の部長が一人、その下に理学療法科、作業療法科、言語聴覚療法科に科長が一人ずつ役職とゆー形で配置されています。
部長はPTの先輩が務められており、幸いにも私は理学療法の科長とゆー役職をいただいております。
役職手当として25.000円いただいております。
役職についた感想
さて、私は役職を与えられて3年ほど経っていますが、、、その感想を。
かなり体力的、精神的にもつらいものがあります。まさに中間管理職的なつらさですね。
もちろん、他のスタッフより余計にお給料をいただいていますし、役職につきたくてもつけないスタッフもいるので、「割に合わない」なんて言葉は仲の良い先輩、後輩にもゆえません!
が、つらいものはつらいですねー。もう少しキャリアをつめば、落ち着いてきそうな感じは掴めてきていますが。
私としては、科長の下に副科長なり、主任などの役職をつけて、その手当は私の手当から捻出してでも新しい役職を作って欲しいと思っています。
役職の仕事とは??
役職について、増えた仕事内容を述べていきます。
単位数は基本的に他のスタッフ同様に取得しています。担当患者数が他のスタッフと同じときに、新患が入ってくると、他のスタッフが気を使ってとってくれる程度の配慮は受けています。ありがたいです。
増えた業務といえば、単位数等の管理や、まとめての報告。そして、理学療法科としての新しい取り組みや、研究発表は主に私が中心となって取り組んでいます。
もちろん、科がよりレベルアップするための努力は惜しみませんが、やはり他部署、病院への根回しなど、なかなか容易ではないことが多く、精神的にいっぱいいっぱいになることも多々あります。
また研究発表に関しても、直接のノルマを伝えられたことはありませんが、暗黙的に一年に一題を意識して行っています。
私の病院では、基本的に業務に直接関わることでの残業しか手当がつきません。研究発表のために残業をしても残業手当はつきません。
理学療法士が給料を上げるには?
給料を上げるには、もちろん役職につくことが確実です。
が、病院とゆー環境では他の一般企業に比べて役職のポスト自体少ないため、なかなか容易ではありません。
他の資格、例えばNST専門療法士、呼吸療法認定士など、ある一定以上の認知度の高い資格を取ることで、病院が評価し資格手当を支給してくれる病院もあります。
病院の就業規則等を改めて確認してみてはいかがでしょうか?
役職につくためには??
セラピストとしての実力でつける方もいるとは思いますが、なかなかレアなケースではないかと思います。いかに実力があっても、所詮1単位の料金は変わりませんからね。
あとは、巡り合わせとゆーか、やはり運やタイミングになってしまうと思います。
その中でも、少しでも役職につける可能性を増やすために私が行っていたことを紹介します。
他の療法士より目立つために、私は呼吸療法認定士の資格をとりました。それによって、ドクターとの信頼関係が増し、呼吸リハが必要な処方は私を指名して回ってくることもあります。
また院内・院外での研究発表を積極的に行いました。年に1題まではできませんでしたが、2年に1題程度は発表していたと思います。
あとは地域の支部活動にも参加していました。支部活動の一環での依頼を、病院に公文書で依頼してもらうことで、病院幹部に積極的に活動していることのアピールにもつながります。
どの取り組みが功を奏したかは分かりませんが、何も行っていなければ役職にはつけなかったと思います。
キャリアアップ、給料アップのためには、報われないかもしれない努力も必要だと思います。いつかは自分に返ってくると思って頑張りましょう!
理学療法士が取れるキャリアアップにつながりそうな資格についてもまたまとめてみたいと思います!
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
栄養サポートチーム(NST)専門療法士の資格取得について。受験資格や合格率など。
本日はNST専門療法士についてまとめたいと思います。
初めにゆっておきますが、私はNST専門療法士の資格は持っていません!(笑)が、以前から非常に興味・魅力を感じている資格ですよ。
栄養に関して他職種と意見・検討する際に、この資格の後ろ盾があれば、もう少し発信力があるのかなーと思ったりもするんですよね。
この資格は維持するにもそれなりの費用が必要なので、今は様子を見ている段階です。病院によっては、資格手当を出している病院もあると思うので、栄養に興味のあるコメディカルは是非検討してみてはどうでしょうか。
NST専門療法士とは??
さてNST専門療法士ですが、JSPEN(日本静脈経腸栄養学会)という学会が認定資格制度を施行しています。
認定の目的は、、、
主に静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有しているとみなしNST専門療法士として認定するものである。
と書かれています。
資格を取得するための条件は??
資格取得可能な条件は、
①管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師のいずれかの国家資格を保有していることになります。
②5年以上の臨床経験と栄養サポートに関する業務に従事した経験が必要とされています。
③学会が認定している学術大会や主催している臨床栄養セミナーに参加して、単位を取得する必要があります。
④学会が認めている認定教育施設で合計40時間の実地修練を終了。施設において携わった静脈経腸栄養管理中の患者に関する1,600字以内の症例報告が必要。
①~④の条件をすべてパスすれば、NST専門療法士の認定試験を受験することができ、合格することで資格取得に至るそうですね。
私は呼吸療法認定士の資格は持っており、なんとなくの流れは似てはいますが、④のような実地修練にあたるものはなかったので、その点は新鮮に感じました。
認定教育施設は平成29年6月9日の時点で401施設登録されていました。学会のホームページには、都道府県ごとに認定施設がリストアップされています。
少ない県(佐賀県)では県内に2ヶ所しかなかったり、多い県では10ヶ所以上認定されていたり、都道府県によってかなりばらつきがみられますね。
資格取得を少しでも考えている方は、確認されてみてはいかがでしょうか。
合格率は??
さて気になる合格率ですが、、、私が見たかぎり、学会のホームページには受験者数と合格者数両方を載せている資料は見当たりませんでした。
他を検索したところ、H24年に関しては、受験者数1638人、合格者数1155人で合格率67.18%との資料を拝見しました。ほかも探してみましたが、だいたい70%前後と記載さている内容が多かったです。
が、年度によっては難易度が高く合格率もかなり低い年もあったとのことです。
リハビリ職種の取得率は??
平成29年度の合格者の名前(755人)と保有資格の一覧がアップされていましたが、やはり看護師、管理栄養士、薬剤師が圧倒的に多いですね。
ちなみにH29年は理学療法士は32人、作業療法士11人、言語聴覚士22人でした。H24年は理学療法士12人、作業療法士6人、言語聴覚士28人だったそうで、全体的に見るとリハビリ職種の人数は増えてきているようですね。
今後も、リハ栄養の関係でリハ職の活躍に期待したいところですね。
取得・維持に必要な費用は??
あと気になる点は、資格取得・維持のための費用ですねー。私個人としてはここがネックなために取得に踏み切れずにいます。
まず受験料が10.000円、合格後認定してもらうために20.000円が必要となります。また学会に入会している必要もあるため、学会の年会費10.000円を今後払い続ける必要があります。
うーむ、初期費用はともかく、資格維持のため学会の年会費を払い続けるのがなかなか、、、。
また5年間毎に更新するため、更新のために学会参加して単位を定期的に取得しておく必要がありますね。
私としては、栄養サポートチーム加算によって、病院の収益が増えれば、資格手当等で補助してもらえるかもしれないと考えています。
でも現状の栄養サポート加算の算定要件に理学療法士は入っていないんですよね。
必要なのは、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士が所定の研修を修了することが条件とされています。さらにゆーと、あくまで研修を修了とのことなので、実地修練まで終えればよく、認定試験の合格は必須条件ではないそうです。
まずは、算定要件に理学療法士等が入ってくるのを期待している今日この頃です、、、
NST加算についてのまとめも書いてみたので気になる方は読んでみてください。
physicalkun.hatenablog.com
最後までお付き合いありがとうございました。