リハスタ

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気になる診療報酬改定2018。回復期リハビリにまつわる議論のまとめ。

診療報酬・介護報酬の同時改定が目前に迫っており、どのような改定になるのか、、、色々と情報収集されている方も多いと思います。


私は回復期リハ病棟をメインにしている病院に勤めているので、今回は回復期リハ病棟周辺の今のところの議論をまとめたいと思います。

アウトカム評価の見直し

回復期リハに勤めている方の一番の関心はやはり、アウトカム評価ではないでしょうか??2016年に導入されてから、今まで以上にリハビリには数値で成果が求められるようになりましたよね。


個人的には、目標値があった方が組織としても同じ方向を向いて頑張れるので導入は良かったと思います。セラピストの意識の向上にも繋がると思いますしね。


さて現状、回復期のアウトカム評価にはFIMが使用されています。計算式は省きますが、実績指数として27が設定されています。


この実績指数の27について、今見直すべきか議論されています。27という数値のハードルが適切なのか、低いのではないか?という意見が出ています。


今の現状、回復期入院料別では入院料1の病棟では約8割、入院料2では約4割、入院料3では約2割の病棟で実績指数27以上を達成しているとのデータが公表されています。


これだけ見ると、「27の数値はまずまずのハードルになってるんじゃないの?」って思いますよね。


ただ、データの詳細を見ると、27に達していないほとんどの施設が、提供実績が相当数に達してない病棟となっています。提供実績が相当数に達していない病棟というのは、患者一人当たりの1日平均単位が6単位未満ということです。


実績指数27が求められるのは、1日平均単位が6単位以上提供している場合なので、それ未満の病棟では27に達していなくても減算にはならないということなので問題ないわけです。


では1日平均6単位以上提供していても実績指数27に達していない病棟の割合はどのくらいかというと、、、入院料1の病棟で0.4%、入院料2・3の病棟では0%となっています。


つまり実際のところ、実績指数27が求められるほどリハビリを提供(1日6単位以上)している病院の99.6%が27という数字をパスしているわけなんですよね。


となると、この数字はまだまだ見直す余地があるとの意見も出てくるわけです。また、現在は一律27ですが入院料ごとにそれぞれに実績指数を設定する案も出ています。まだまだ中医協で議論の途中ですが、個人的にはおそらくもう少し引き上げられるのではと思っています。


回復期リハ病棟と地域包括ケア病棟に関する新しい情報のまとめの記事を書いたので参考にしてください。
www.rihasuta.net

算定上限日数の対象外

回復リハ病棟退院後の3カ月は算定上限日数上限の除外対象にする案も議論されています。つまり月13単位以内の制限がなくなるということですね。


この背景としては、退院患者のうち退院後にリハビリが必要と思われる患者が65%占めていたが、退院後に実際にリハビリを行っていた患者が約3割ほどしかいなかった点。


退院後に通所リハに移行した患者のうち、18%は通所リハ開始までに14日以上経過していた点。などなどが挙げられています。


他にももろもろの事情はありますが、基本的には上限を一時的に除外することは賛成ですね。今後、より回復期と在宅がシームレスになり、早期退院を図る必要があると思われるので、退院後もしっかりとリハビリを提供できる体制は重要かと思います。


ただ、回復期リハ病棟だけでなく地域包括ケア病棟も、より在宅に近い病棟と位置付けるのであれば同様に上限の除外を検討してもいいのではないかと思います。




常勤要件と専従要件の見直し

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の女性の割合は、それぞれ4割・6割・8割となっており、女性の割合が高い。また平均年齢からみても子育て世代が多く、短時間勤務の者も多くいることが現状となっています。


一方で、リハビリに関する施設基準では常勤者の人数が設定されていることもあり、週一定時間の勤務をしている複数の非常勤従事者の組み合わせにより、常勤配置とみなしてはどうかとの案が出ています。


医療資源の少ない地域などではこれは助かるかもしれませんね。また女性側にとってもメリットとなる変更案だと思います。


また常勤だけでなく、専従の要件についても見直す話が出ていますが、まだ具体的な方向性は出ていません。この話も今後の動きがきになるところですね。


現在は回復期専従者は、回復期病棟の患者しかリハビリできないことになっていますが、外来リハや訪問リハなどができる可能性も少し話されています。


これは先ほど述べた、退院後のリハビリの開始の遅れなどにも関わってくるところですね。もう少し専従者にも自由度が設定されると、業務もスムーズですし、患者のメリットにもつながりますよね。

栄養に関すること

回復期リハ病棟において、実績指数の高い入院料に関して、栄養状態の評価や栄養管理に係る取組を要件とするとともに、入院栄養食事指導料の算定を可能とする。との案も出ているようです。


詳細は分かりませんが、リハ栄養に興味のある自分としては患者の栄養状態に関する評価や取り組みが積極的に行われることは、良い流れかなと思います。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。