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回復期リハビリ病院もいろいろ。転院先の病院の選び方と見るべきポイント。

最近は、病院ごとに役割が決まっています。

急性期病院で手術もしくは病態の安定を待ち、後遺症などで日常生活に支障があるようであれば、リハビリを積極的に行える回復期リハビリ病院に転院し、その後ご自宅に帰るというような流れになっています。

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急性期病院ではだいたい1カ月前後、早い病院では2~3週間程度で次の回復期リハビリ病院への退院を促されます。


近隣の回復期リハビリ病院のリストをもらっても、実際にどこの病院を選べばいいのか、どのように選べばいいのか、家から近い病院でいいのか、、、戸惑う方が多いと思います。


私は回復期病院で10年以上リハビリスタッフとして働いています。


本日は、実際に回復期リハビリ病院で働いているリハビリスタッフの目線で、病院選びのポイントを紹介したいと思います。迷われている方はぜひ参考にしてみてください。

1日のリハビリの時間を確認する

回復期リハビリ病院では、最大で一人の患者さまに3時間リハビリを行うことができます。


3時間と聞くと、「そんなにするのっ!?」と思うかもしれませんが、もちろん3時間連続でするわけではありません。午前中に1時間、お昼に1時間、夕方ごろに1時間といったイメージです。


ただ、どこのリハビリ病院も最大の3時間リハビリを提供しているかといえば現実は違います。


なぜなら3時間リハビリを提供する強制義務はないからです。病院によっては1日2時間、少ないところでは1日1時間程度の病院も存在します。


回復期リハビリ病院の役割は、積極的にリハビリをして体の機能回復を図ることなので、当然1日あたりのリハビリの時間は多いことに越したことはありません。


なので、1日にだいたいどれくらいの時間のリハビリが提供されるのか、この点はかなり重要なポイントとなります。病院のホームページや見学の際に確認されるといいかと思います。

休日のリハビリの有無を確認する

最近では、回復期リハビリ病院は365日体制を取っていることが多いです。つまり、土曜・日曜もリハビリスタッフが出勤し、リハビリを提供している病院が増えています。


以前までは、「明日は日曜なのでリハビリはお休みです。また月曜からリハビリ頑張りましょう。」などの会話が行われていました。


しかし、1日リハビリを休むことのデメリットが指摘され始め、365日リハビリをする方が効果的だとの研究結果が出始めたのです。


ただしこれも、日曜も休みなくリハビリを提供しなければならないという義務はありません。病院のリハビリスタッフに十分な余裕がなければ、なかなか365日体制でのリハビリの提供は難しいのです。


365日体制でのリハビリの方が一般的には効果が認められているので、休日のリハビリの有無は確認した方が良いかと思います。できれば、有るか無いかだけの確認だけでなく、休日のリハビリの時間も確認することをお勧めします。


どうしても、日曜などの休日は平日と比べ、リハビリスタッフの出勤人数が少なくなる病院が多いです。平日のリハビリの提供時間と休日のリハビリの提供時間とでかなり差が出ている病院もあります。


休日のリハビリがあるとしても、少しでも長い時間リハビリがあった方が良いわけです。休日のリハビリの有無、実際のリハビリ時間まで確認するとベストですね。




リハビリスタッフの平均年齢が分かれば確認する

リハビリの職種には厳密にいえば、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3つの職種があります。どの職種も国家資格ですが、医師・看護師などの国家資格に比べると比較的歴史がまだ浅いです。


ですので、まだ比較的若いスタッフが多いということになります。若くても優秀なスタッフはもちろんたくさんいますが、一般的には経験を積むにしたがって、知識・技術は向上していくものだと思うので、経験豊富なスタッフにリハビリを行ってもらう方が、安心は安心だと思います。


病院によっては、ホームページなどに平均年齢や全体写真などを載せているところもあるので、そのあたりも参考にしてみてはどうでしょうか。

リハビリの実績を確認する

今まで、リハビリの時間について説明しましたが、最近はリハビリの量(時間)だけでなく質(効果)も求められてきています。


日常生活の動作を患者自身がどの程度行えるかという客観的な点数(専門的にはFIMといいます)を用いて、入院時の点数と退院時の点数とを比較したものをリハビリの実績とみなすことができます。


この実績も、病院のホームページ、もしくは病院のパンフレットなどに記載しているところが多いかと思いますので、その数字も参考にしてみてください。


実績を外部に出していないということは、あまり実績が芳しくないことも考えられます。あくまで可能性としてですが。

実際にリハビリ室を見学する

ある程度、転院先の病院が絞れてきたら、実際に病院を見学することをお勧めします。病院に電話すれば、おそらく快く受け入れてくれ、職員が案内してくれるところが多いと思います。


そこで、実際にリハビリ室やスタッフの雰囲気を感じる取ることも大事だと思います。病院によって、かなり雰囲気は変わってきます。雰囲気の明るい病院、クールで淡々と行っている病院、どちらが良いかは考え方にもよりますが、実際に見ておいて損はないです。


自分のご家族がそこでリハビリをしていることを想像しながら見学してみてください。




回復期リハビリ病院の退院後のことも考える

当然、回復期リハビリ病院にもずっと入院できるわけではありません。病気の種類によって、入院できる日数の上限が定められています。


例えば、大腿骨頸部骨折だと3カ月、脳梗塞だと5カ月(重度の場合は6カ月)などのように。これは病院独自に決めているのではなく、厚生労働省が決めている日数なので、どこの病院に入院したとしても同じ期限があります。


いずれ回復期リハビリ病院を退院することを考えると、退院先はご自宅なのか、自宅で看るのが難しければ施設に入るのか。なかなか現時点でそこまで先のことは考えられないという方がほとんどだと思います。


なので、優先度は低いですが少しでも余裕があれば退院後の生活も踏まえた上で、見るべき病院のポイントを紹介します。


まず回復期リハビリ病院が外来リハビリを行っているかどうか。


退院後もリハビリを行うことが必要になるケースも多々あります。退院後のリハビリの方法に関しては、外来リハビリや介護保険によるリハビリ(デイサービス・訪問リハビリ)などいろいろな選択肢があります。どの選択肢が適しているかは患者自身やご家族の状況などもあるので一概には言えません。


なのであくまで、選択肢の1つの可能性として外来リハビリを受けることが望ましい場合。回復期リハビリ病院が外来リハビリに対応していなければ、他の病院で外来リハビリを受ける必要があります。


もちろん、その場合でも特別な問題はないかもしれませんが、やはり入院していた回復期リハビリ病院で外来リハを受けた方が、今までの経過を直接見ている分、より適したリハビリを提供できるかと思いますし、患者さんとスタッフの信頼関係も築けているケースが多いかと思います。


外来リハビリを受けず、デイサービス・デイケアなどの介護保険の通所サービスを利用される方もたくさんいらっしゃいます。さきほどの外来リハビリの場合と同じですが、病院内にデイサービス等も行っている病院であれば、今までの経過を詳細に伝達されたスタッフが退院後も関わってくれるので、ご家族としては安心かと思われます。


スタッフ側としても、退院後の経過が気になるので自身のデイサービスに来ていただけると、その後の些細な相談・フォローも行いやすいメリットがあります。


また、ご自宅への退院が難しい場合は、施設に入所する必要があります。病院によっては、施設も併設している場合もあり、施設の紹介などの面では安心できるかもしれません。



以上が、実際に回復期リハビリ病院で働いている私自身の考えです。今までリハビリとは無縁だった方々が、急に回復期病院を探してご自分で判断するのは大変だと思います。少しでも、私の情報がお役に立ち、ご本人・ご家族のお役に立てれば幸いです。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。