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【脳卒中】認定理学療法士の試験対策ノート。急性期分野まとめ。

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3月に予定されている認定理学療法士取得のための認定試験(脳卒中領域)の勉強をそろそろ開始しました。


とりあえず、認定必須研修会で聴講した4名の先生(阿部先生、卜部先生、網本先生、吉尾先生)の内容をまとめて行こうと思っています。


まずは阿部先生の「脳卒中急性期・早期の理学療法」を私なりにまとめてみました。

廃用予防

急性期では「十分なリスク管理のもとにできるだけ早く発症早期からの積極的なリハを行うことが強く勧められる(グレードA)」とされており、廃用予防の観点が重要となる。


廃用症候群には中枢神経、末梢の骨格筋・関節、循環器の3つの視点で考える。


中枢神経レベルの廃用は、学習性の不使用(learned non-use)、体部位支配運動野の委縮、認知機能低下が挙げられる。


末梢レベルでは、筋委縮や骨萎縮が生じる。数時間の不動で筋組織の変性が生じる。


結合組織脂肪組織の増加・筋線維短縮・弾性低下→筋紡錘の興奮性増大→深部腱反射亢進・痙縮の増悪につながる。


研究では、「廃用がない片麻痺患者の非麻痺側筋力は健常者と比較して60~90%」「発症1週間後には非麻痺側膝伸展筋力が30%低下する」「不動によって筋の粘弾性が低下して筋短縮を引き起こす。筋紡錘の興奮性の増大を引き起こし痙縮を引き起こす」、この3つが紹介されました。


循環器レベルでは、静脈還流量低下、心肺機能低下、起立性低血圧、末梢循環不全、深部静脈血栓症、肺塞栓症が起こり得る。




早期理学療法の意義

早期回復の要因として、脳浮腫改善、出血吸収、脳循環改善、脳血管攣縮改善、diaschisisからの回復などが挙げられ、最も大きな回復は早期にみられる。


早期介入群と遅延介入群では予後に違いが現れ、臨界期が存在すると考えられている。


早期介入群では入院期間が短く、歩行能力が高かった。遅延介入群と比べても再発・進行率に有意差はなかった。との報告も紹介されました。

早期理学療法の注意点

脳血流量は、脳血管の灌流圧が60~150mmHgの間で自己調節することにより一定に保たれる。


灌流圧が低下すると脳血管が拡張して、脳血管抵抗を減らし、脳血流量の低下を代償。逆に灌流圧が上昇すると血管は収縮して脳血流量を一定に保とうとする。この自動調節能が脳血管障害により破綻している。


灌流圧≒平均血圧ー頭蓋内圧で示される。※平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧ー拡張期血圧)/3


重力姿勢を取ると血液が下方移行し、心臓への灌流血液量は約30%減少。それに伴い血圧が低下するが本来調節反応により20mmHg以内に留まる。病態により調節反応が遅延・減少している場合は20mmHg以上低下し、起立性低血圧となる。


脳血管障害のタイプ・部位により自動調節の障害期間がおおまかに把握できる。

障害のタイプ 自動調節の障害期間
脳梗塞 主幹動脈領域 30~40日
分枝領域 2週間
ラクナ梗塞 4日間
TIA 半日
脳幹部梗塞 時に100日に及ぶ




脳血管障害に関する評価スケール

総合評価:FMA、JSS、SIAS、NIHSS。

意識障害評価:JCS、GCS。

運動機能評価:BRS、STEF、ARAT(Action Reseach Test)、MFT(Manual Function Test)、WMFT(Wolf Motor Function Test)。

筋緊張評価:MAS、MTS(modified Tardue Scale)。

ADL評価:FIM、BI。

運動失調評価:SARA、ICARS(International Cooperative Ataxia Rating Scale)。

Pusher現象評価:SCP、BLS(Burke Lateropulsion Scale)。

バランス評価:BBS。

半側空間無視評価:BIT、CBS。

注意・遂行機能障害:BAD、TMT、DEX(dysexecutive questionnaire)、FAB(Frontal Assessment Battery)

脳卒中後うつ評価:SDS、JSS-D。

個人的には聞きなれないものもかなりたくさんありました。略語の正式名称を書いているものは初耳のスケールです、お恥ずかしながら。


試験問題としては出しやすい部分かとも思うので、覚えておいた方がいいかもしれません。

リハビリとグレード

運動障害・ADLに関しては、①早期からの積極的なリハビリ、②訓練量や頻度を増やすことがグレードA。課題反復訓練がグレードB。


歩行障害に関しては、下肢訓練の量を多くすることがグレードA


短下肢装具、ボツリヌス療法・フェノール注射、バイオフィードバック、FES、トレッドミル、歩行補助ロボットがグレードB。


腱移行術はグレードC。



主だった内容はこんな感じかと思いますが、資料を見返す中で気になる点があれば随時追加していきます。


時間があるときに少しずつ覚えてきたいと思います。