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【脳卒中】認定理学療法士の試験対策ノート。病態・治療分野まとめ。

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前回、脳卒中の認定理学療法士の試験に向けた急性期分野のまとめを行いましたので、本日は、卜部先生の「脳卒中の病態と治療」の内容をまとめていきたいと思います。


正直、個人的には一番この内容が臨床から少し離れた内容なので、その分しっかり勉強しないといけないと思っています。


少し細かい内容もありますが、最後まで読んでみてください。

脳卒中に関するデータ

介護が必要なった主な疾患では、男女ともに1位が脳卒中となっている。脳卒中患者数のピークは2025年で330万人と予想。


脳梗塞は、高血圧・喫煙・糖尿病・脂質異常症などによる動脈硬化が最大の要因。


脳塞栓は、心房細動・心筋症・心臓弁膜症・洞不全症候群などの不整脈・心疾患が最大の要因。


脳出血は、高血圧が最大の要因。他の原因には脳動静脈奇形・もやもや病がある。


クモ膜下出血は、高血圧・飲酒・喫煙などによる脳動脈瘤が最大の要因。


脳卒中患者のうち3/4が脳梗塞


朝の血圧が高いと脳卒中の危険性が高い。降圧療法により脳卒中は約4割減少することができる。


糖尿病・糖尿病予備軍で脳卒中を含む心血管イベントによる死亡率が増加。空腹時の血糖値より、食後の耐糖能の方が重要との研究が増えてきている。




急性期の血栓溶解療法

血栓溶解療法として、発症から4.5時間以内にt-PAの静脈内投与が強く勧められる(グレードA)。発症から4.5時間以内に治療を開始しなければならないので、発症から3時間以内に病院に到着することが必要


血管内血栓除去術は、発症から8時間以内の脳梗塞患者で、t-PAの適応外やt-PAが無効であった患者が対象となる。

急性期の抗凝固療法

適応となる病型は心原性脳塞栓症、Cresendo TIA(繰り返すTIA)、進行性脳梗塞。


発症48時間以内で病変が1.5cm以上の脳梗塞には、選択的トロンビン阻害薬のアルガトロバンが勧められる(グレードB)


発症48時間以内の脳梗塞ではヘパリンを使用することを考慮しても良い(グレードC)。

急性期の抗血小板療法

適応となる病型はラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞。


症48時間の脳梗塞に、アスピリン160~300mg/日の投与は強く勧められる(グレードA)


抗血小板薬2剤併用は、発症早期の心原性脳塞栓症を除く脳梗塞もしくはTIA患者の亜急性期までの治療法として勧められる(グレードB)


オグザレルナトリウムの点滴投与は、急性期の脳血栓症の治療法として勧められる(グレードB)。

急性期の脳保護療法

適応となる病型は心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞。


脳保護作用が期待されるエダラボンは脳梗塞の治療法として勧められる(グレードB)。




慢性期の抗凝固療法

ワーファリン療法は、INRを2.0~3.0に維持するように強く勧められる(グレードA)。


拡張型心筋症などの器質的心疾患を有する症例にはワーファリンが第一選択薬で、INR2.0~3.0に維持するように強く勧められる(グレードA)。


非弁膜症型心房細動のある脳梗塞またはTIAの再発予防には、ダビガトラン、リバーロキサバン、アビキサバン、エドキサバンないしワーファリンによる抗凝固療法が勧められる(グレードB)。


心房細動患者の脳塞栓症リスクはCHADS₂スコアで評価し、2点以上でワーファリンを使用する。

Congenstive heart failure:心不全 1点  Hypertension:高血圧 1点
Age:年齢75歳以上 1点  Diabetes Mellitus:糖尿病 1点
Stroke/TIA:脳卒中/TIAの既往 2点


ワーファリンの問題点として、定期的なPT-INRの測定が必要で、治療域も狭いので用量の細かい調整が必要。また個人ごとに投与量が大幅に異なる。


また薬剤効果が得られるまでと、中止後薬剤効果がなくなるまでにも時間がかかる。食事や他の薬剤の影響も受けやすいなどのデメリットもある。


頭蓋内の止血には第Ⅶ因子が重要。血管破綻部で血管外に存在するそTF(組織因子)に第Ⅶ因子が結合することで、外因系凝固反応が開始され止血に至る。


直接トロンビン阻害薬、第Xa因子阻害薬は第Ⅶ因子を抑制しない。ビタミンK拮抗薬は抑制する。

慢性期の抗血小板療法

非心原性脳梗塞の再発予防には、抗凝固薬よりも抗血小板薬の投与を行うように強く勧められる(グレードA)。


シロスタゾール、クロピドグレル、アスピリンはグレードA、チクロピジンはグレードB。


アスピリンとジピリダモールの併用は行わないよう勧められる(グレードD)。


CMBs(Cerebral microbleeds:脳微小出血)は、健常者に5%、脳梗塞患者に34%、脳出血患者に60%にみられる。


ワーファリンと抗血小板薬(アスピリン、チクロピジン)の併用は脳出血リスクが高くなる。

一過性脳虚血発作

TIAと診断すれば、可及的速やかに発症機序を評価し、脳梗塞発症予防のための治療を直ちに開始するように強く勧められる(グレードA)


TIAの発症後、多くは48時間以内に脳梗塞を発症。


発作持続時間だけでは脳梗塞とTIAは区別できない。


AHA/ASAの定義では、TIAは「局所脳、脊髄、網膜の虚血によって惹起される急性梗塞に至らない一過性の神経障害」と定義され、持続時間に関する記載が削除された。



以上がまとめになります。


ふぅ、薬剤が絡んでくると途端に難易度が上がる感じがありますよね。とりあえず、自分の担当患者の薬剤を確認して、少しずつ聞き覚えのある薬剤と治療方針が理解できてくるといいですかね。