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骨粗鬆症マネージャー、リエゾンサービスについてまとめてみました。

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以前、骨粗鬆症を中心にまとめましたので、本日は関連して「骨粗鬆症マネージャー」「骨粗鬆症リエゾンサービス」についてまとめます。


まわりのスタッフの認知度を確認しても、ほとんど言葉自体聞いたことがないスタッフが大多数。


かろうじで聞いたことがあっても、内容まで知っているスタッフもいませんでした。


やはりなかなか骨粗鬆症の病態自体に関心があるスタッフは少ないようです。


幅広く知識を深めていくと、必ずどこかで役に立ちます。勉強していきましょう。

骨粗鬆症マネージャー

日本骨粗鬆症学会が認定している資格制度です。


あとで説明する骨粗鬆症リエゾンサービスの中で、骨粗鬆症の知識を有し活躍できるメディカルスタッフの育成を目的とした資格制度になります。


2014年から開始されたもので、2020年4月時点で認定者数は3600名となっています。2019年に確認した際は3000名ほどだったので、1年で500~600名ほどが取得しているようです。


職種の割合としては看護師が50%、理学療法士が20%、薬剤師が15%、あとは診療放射線技師・管理栄養士などが並びます。


認定申請には、
①日本骨粗鬆症学会会員であること
②医療・介護施設などに所属し、医療・保健・教育活動に従事し、国家資格を有するもの。
③過去3年以内に学会が実施する骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースを1回以上受講しているもの
④過去3年以内に骨粗鬆症学会学術集会に1回以上参加していること


以上の4つを満たすとまず認定申請が受けられます。無事受理されれば今度は認定試験という流れです。


個人的にネックに思うのが、①の学会員であることですかね。年会費が6000円なのです。


びっくりするほど高くはないですが、安くはない。資格を取ったあともずーっと払い続けなければいけませんしね。


あとは、資格によっては申請時に症例報告をもとめるものがありますが、この資格はそれはないのでその点では取得しやすいかと思います。


認定試験については、例年11月ごろに東京で試験が行われているみたいです。マークシート形式で55問、時間は90分。


更新は5年ごと。会費を納めていることや、学術大会に参加していること。その他関連学会で一定の単位数を取得していることなどが条件です。


あとは骨粗鬆症としての活動記録の提出となっています。資格を取っただけで終わらず、しっかり形に残せるものに取り組まなくちゃいけないようですね。


個人的には年会費がなければ、なかなか魅力的な資格かとは思います。


病院全体で骨粗鬆症に対する取り組みができれば、その中の中心メンバーとして存在価値を発揮できる可能性は感じます。




骨粗鬆症リエゾンサービス

世界的に骨粗鬆症による高齢者の骨折数の増加が問題となっています。


そんな中、1990年代にイギリスで開始されたのが骨折リエゾンサービス。「リエゾン」とは「連絡係」「連絡窓口」の意味を持つフランス語です。


脆弱性骨折を発症した骨粗鬆症患者に対する、二次骨折予防が主な取り組みです。コーディネーターが骨折患者を見つけ出し、骨折リスクを評価、骨折予防を実施することで、効率的な骨粗鬆症治療が可能になりました。


このリエゾンサービスの導入により、イギリスでは年齢補正した骨折患者の発生率が低下傾向にあり、一定の効果を上げています。


そこで、日本でも同様のサービス、骨粗鬆症リエゾンサービス(Osteoporosis Liaison Service:OLS)が策定されました。


医師・看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士など、他職種での専門チームを作り関わることで、骨粗鬆症に対する治療成績を向上させることが目的です。


骨粗鬆症の治療で問題となっているのが、治療率と治療継続率の低さが指摘されています。


脆弱性骨折をきたしている患者でも、骨粗鬆症治療を開始していたのは約20%。


治療を開始したとしても、5年間で約半数以上が治療から脱落してしまうことが報告されています。


骨密度は、血圧や血糖値のように頻繁に測るものではないので、なかなか治療による改善を感じにくいことなども影響しているように思います。


患者に対して、各専門職が専門性を持って関わることで、特に治療継続率に関しては改善が得られそうな印象はありますね。


興味がある方は、骨粗鬆症学会のHPなども確認してみてください。


www.rihasuta.net