2022年の診療報酬改定。リハビリ関連の今のところの話題。
2022年に診療報酬改定が行われますね。コロナ禍のバタバタのせいで、いまいち診療報酬改定に気が向きにくい雰囲気を感じています。
ここ最近の改定では、回復期リハビリ病棟における実績指数の変更や、生活期リハビリ患者の介護保険サービスへの移行など、現場では少しばたばたするような改定もあり、改定前から情報収集に奔走していました。
が、今年に関して今のところ現場レベルで右往左往するような大きな変更は予定されていませんが、いくつか議論されている内容を紹介したいと思います。
回復期リハ病棟の対象に心リハ患者を追加
心大血管疾患の患者数、心大血管疾患リハの実施数は年々増加しています。
心大血管疾患患者の平均在院日数は約2週間程度ですが、高齢患者ではこの期間での歩行退院が困難なケースが増えてきているみたいです。
そのため、急性期病院の在院日数が延長し、医療資源の浪費や稼働率の低下を招くという状態になっています。
もはや、「急性期の一般病棟を基本とする従来型心リハ処方は限界を迎えている」と、心リハガイドラインにも記載されています。
そこで、急性期後に継続してリハビリが必要な患者を、回復期リハビリ病棟で受け入れてはどうか?という点が検討されているんです。
現在、回復期リハビリ病棟に入棟できる疾患は、脳卒中や脊髄損傷などの脳血管疾患、大腿骨・脊椎骨折などの運動器疾患、外科手術後または肺炎後などの廃用症候群、股・膝関節の神経・靭帯損傷、股・膝関節の置換術後が対象とされています。
「外科手術後の廃用症候群」で回復期リハができないわけではないですが、正式に心大血管疾患を対象疾患として含めることを検討しているということですね。
心リハを行うには、リハビリの実施時間帯に専任の医師が常勤しているなどの条件が必要になりますが、回復期リハビリに新たな選択肢が増えること自体は良いことだと思いますね。
FIMの評価
2016年に回復期リハ病棟のアウトカム評価に実績指数を導入して以降、回復期入棟時FIMが年々低下している問題ですね。
実績指数の面では入棟時と退棟時のFIMの差が影響するので、入棟時のFIMが低いほど改善の幅が大きくなります。
厚生労働省的には、作為的に入棟時FIMを低く評価してるんじゃなかろうか、といった感じです。
さらに、今厚生労働省が着目している点は、病院機能評価で認定を受けている病院と受けていない病院とのFIMの違いです。
認定を受けている病院に比べて、認定を受けていない病院の方が入棟時FIMが低い傾向にある、という結果が出ているみたいです。
つまり、認定を受けていない病院はガバナンスが効いておらず、FIMを低めに採点しているんじゃない?ってことですね。
もしかしたら、今後は第三者機関である病院機能評価の認定が、なんらかの形で絡んでくるかもしれませんね。
ただ、まだまだ現状として病院機能評価の認定を受けている病院は圧倒的に少ないので、すぐのすぐにどうこうということはないとは思われますが。
このFIMの話題に関して個人的には、急性期の在院日数が短くなり、よりADLが低下したまま回復期に転院になっていることが結構影響していると感じてます。
当院の回復期病棟には、脳卒中でも発症から14日前後、早ければ10日で回復期に転院してきます。5~6年前は20~30日経過して転院されていたので、そりゃ今の方がFIMが低いでしょ、って感じです。
どのような着地点に落ち着くのか、続報が気になります。
リハビリテーション実施計画書
おそらくどこの現場でも苦労しているであろうリハビリ実施計画書。
特にこのコロナ禍で面会制限もあり、家族の来院がめっきり減るなどして、なかなかリハビリ実施計画書の説明の機会の確保がむずかしいですよね。
今回の議論の中に、この計画書への署名のあり方に関しても話題に挙がっています。まだ具体的な案は出てはいませんが、少しでも医療スタッフ・患者家族の負担軽減に繋がるような改善策が出てくるといいですね。
以上が、今のところの議論のまとめです。進展があればまた紹介します。