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【激震】放課後デイに再編の動き。経営者・理学療法士への影響は?

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2021年12月6日に放課後等デイサービスに激震のニュースがありました。


厚生労働省は、放課後等デイサービスの事業所を大きく二つのタイプに再編し、塾や習い事のようなケースは公費の支給対象から外す方針を固めた、というニュースです。


これまで放課後デイの事業所は年々増えていましたが、この再編によっては今後は潰れる事業所も出てきそうです。


このニュースによって経営、理学療法士にどのように影響するかまとめました。

放課後等デイサービスとは?

自分の地域でも見かけるけど、実際にはどんなことをやっているのかは分からない、って方も結構たくさんいるんじゃないかと思います。


自分の子どもが利用している、もしくは放課後デイ等で働いているスタッフでない限り、あまり知る機会もないように思います。


「放課後デイ」ができてからまだ間もないですからね、2012年に制度がスタートしたので10年ほどです。


放課後等デイサービスとは児童福祉法に基づくサービスで、障害児通所支援というものに分類されます。


障害福祉サービスの一環なので、利用料の一部は公費で負担されます。介護保険サービスと同じような仕組みですね。


基本的には利用料金の1割を自己負担、残りの9割が公費負担となります。


また月額上限額も設定されており、世帯所得によって下の表のように決まっています。
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なので、基本的に利用料金の1割を自己負担しますが、利用料金ががどんなに増えても自己負担額は最大でも月額上限額を超えることはありません。




放課後等デイサービスの対象

原則として、6歳から18歳までの就学児童が対象となっています。


また障害手帳、療育手帳、精神障害書保健福祉手帳などの手帳を所持する児童。


もしくは主治医意見書(発達障害等と診断され、療育の必要性が記載されたもの)がある児童が条件となっています。


これらを満たしている児童が放課後デイを利用可能です。


放課後デイは保護者の負担軽減も目的の1つになっているので、保護者の就労自体は利用条件には入っていません。

放課後等デイサービスの再編

ここからが今回の重要な内容です。


障害福祉サービスで行われている放課後デイですが、今後は①総合支援型、②特定プログラム特化型の2つの種類に再編されることになりました。


どのような要件で再編されるかは今後の議論を待つ必要がありますが、学習塾・ピアノ教室のような事業所は、障害特性を踏まえた支援になっていないと判断された場合は、給付の対象除外となる可能性があります。


今回の再編に至った経緯には、いくつか要因があると考えられます。


1つに、放課後デイの運営事業者の不正請求が相次いでいたこと。


人員基準を満たすために、職員の数を水増しして請求を行っていたり、実際には在籍していないにもかかわらず利用者そのものを水増し請求していたり、、、。


結構やりたい放題していたんですね、もちろん一部の事業者ですが。


また不正請求だけでなく、実際に子どもたちに提供しているサービス内容に関しても以前から議論されています。


ただ、テレビを見せているだけ、宿題をさせているだけの事業者もいることが問題視されています。


これを受けて、放課後等デイサービスガイドラインが作成されましたが、まだまだ本来放課後デイに担うサービスが十分に提供できていない事業所も多く、今回の再編はそれらの事業者をあぶり出すためだと思われます。




理学療法士への影響

今回のニュースの影響もそうですが、今後、放課後デイに関しては締め付けが強くなると思われます。まぁ今までがゆるゆるだったこともあるのかもしれませんが。


放課後デイサービスの利用料を定める障害福祉サービスに関しても、医療・介護保険と同様に定期的に報酬改定が行われます。


3年おきに行われるので、次回は2024年に改定されます。そこではかなり踏み込んだ改定になることが予測されますね。


さて、この流れが理学療法士にどんな影響があるのか?


実は放課後デイで勤務している理学療法士って一定数いるんですよ。理学療法士を配置することで得られる加算(専門的支援加算)もあるぐらいです。


そして、今回のニュースの再編のうち特定プログラム特化型には、おそらく理学療法士等の専門職の存在が大きく関わってくると思います。


障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書(素案)の中身にも以下のような記載があります。


特定領域のプログラムに特化した支援のみを行う事業所の場合であっても、専門性の高い有効な発達支援(理学療法、作業療法、言語療法等)については、「特定プログラム特化型」(仮称)の放課後等デイサービスとして位置付ける方向で検討すべきである。


となると、現在、理学療法士等の専門職を配置していない事業所の中には、今後理学療法士の獲得に走り、特定プログラム特化型の事業所を目指すところも出てくると思います。


ちなみに放課後デイの理学療法士の求人を確認すると、だいたい25万円前後が多い印象です。中には30万などの条件もありました。


地域差もあるとは思いますが、これよりも低い条件の回復期病院も結構あるんじゃないでしょうか?


また小児分野で働く理学療法士の数はそれほど多くないため、売り手市場となり今後徐々に待遇が引き上げられることもあるかもしれません。小児分野に興味のあるスタッフには転職の追い風になるかもしれませんね。


ただ気を付けたいのは、今回の再編を機に、放課後デイの事業所の見直しやそれを踏まえた報酬改定が進むと思われ、今後は乱立していた事業所は徐々に淘汰されることが予想されます。


しかし、少子化が進むとはいえ、一定数の利用ニーズは必ずあり、生き残った事業所にはよりニーズが集中することも考えられます(生存者ボーナス)。


今後、この再編が具体的にどのように進んで行くか注目していきましょう。