リハスタ

   理学療法士による知っとくとためになる情報発信

長下肢装具の使用に関して知るべきメリットや値段・負担について

本日は長下肢装具についてまとめたいと思います。


先日、とある研修会(触診に関する)に参加した時の話ですが。少し雑談的な話のときに、講師の方が長下肢装具の必要性を真っ向から否定されていました。


経験年数は30年近い方だと思うんですが、今まで一度も使ったことがないし、使おうとも思わないと。急性期病院にお勤めの方です。


もちろん、セラピストによってアプローチの方法は違いますが、私としては少しびっくりしました。


長下肢装具に関するエビデンスは、RCTでこそまだ認められてはいませんが。ただ色々な方の研究によって、筋活動のデータやFIM、在宅復帰率との相関に関する研究発表がされています。


それを、研修の場であのように否定する、、、。やはり少し考えが古いと言わざるを得ないと思います。


私の病院(回復期)では、病院の備品としても長下肢装具を置いていますし、中には患者さまに購入してもらうケースもあります。


みなさんの病院では、長下肢装具積極的に使われているでしょうか?

脳卒中ガイドラインと長下肢装具


脳卒中ガイドラインでは、発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる(グレードA)。その内容には、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などが含まれる。


具体的な装具の名称は書かれてはいませんが、早期に立位・歩行をするためには長下肢装具が必要な患者様もいらっしゃいます。


起立─着席訓練や歩行訓練などの下肢訓練の量を多くすることは、歩行能力の改善のために強く勧められる(グレードA)。


これに関しても同じことがいえますね。


短下肢装具に関しては、エビデンスは十分に構築されています。長下肢装具に関しても今後エビデンスの構築が期待されますね。

長下肢装具のメリット


メリットはあげればきりがありません。早期からの立位・歩行練習による廃用予防や、良アライメントでの動作練習が可能です。


また、2動作前型歩行が可能となり、立脚後期の股関節伸展が得られます。半球間抑制の観点からも長下肢装具を使用することでフリーハンド歩行が可能となり、理論的に有効とされています。


高次脳の面でも、半側空間無視や身体失認、プッシャー症候群などに対しての有効性の研究も見られます。


他にも細かい点を上げればまだまだあるでしょう。




購入にあたっての費用


膝継手や足継手に何を選択するかで、値段も変わってはきますが、だいたい13万円前後といったところでしょうか??


装具屋さんに一括でお支払いしていただく必要があるので、高額なものではあります。


ただ、高額療養費制度に合算が可能であったりするので、後々返金が得られます。


最終的な自己負担額は、個人の所得にもよりますが、多くの方は数千円程度になります。


なので、最初の一括払いが可能であれば、最終的な患者家族の負担はそこまで大きなものではありません。


では、国民の医療費全体の視野で考えた時はどうなのか??13万もかけて作ったら、膨れ続けている医療費が余計悪化するじゃないか!?


私はこう考えています。回復期病棟の入院料が施設基準によって違いますが、入院料2だと仮定すると1日18.000円です。


そこに1日9単位リハビリをすると22.050円かかります。つまり、1日入院すると4万円かかります。ほかにもベッド、食事代等ありますが。


となると、長下肢装具を作製して、より早期に機能回復が得られ入院期間が4日短縮されれば、医療費の面ではとんとんです。


それだけの可能性は長下肢装具は十分秘めていると思います。


また、今後よりシビアに求められる回復期病棟でのFIM利得。早期退院、早期機能回復を達成するには、長下肢装具のメリットは大きいと考えています。


なかなかいきなり患者様に購入を進めるのは難しいでしょうし、病院の備品としても購入が難しい場合もあると思います。


そんな場合には、大手の装具業者が長下肢装具のレンタルをしているところもあります。


3ヶ月で15000円だったと思います、確か。ある程度のサイズ調整は可能なので、そーゆーサービスの利用からでもいいのではと思います。


私自身、以前は長下肢装具に関して否定的な考えを持っていました。費用の面や膝の学習がえられないなど。


しかし、偏見を捨ててしっかり勉強するとメリットが大きい点や、費用の面でも公的補助がうけれるなど、勉強不足を感じました。


当院でもレンタルサービスから始め、今では病院に備品としておいています。同様の流れの病院が多いように聞いています。中には患者様の寄贈品を使用していたりもするそうですね。


もしまだ長下肢装具が選択肢に全くない病院があれば、すこし文献検索をおすすめします。もしかしたら新たな発見があるかもしれませんよ。

本日も最後までお付き合いありがとうございました。


【要点まとめ】呼吸ケア指導士の資格取得や必要費用について。キャリアアップの参考に。

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本日は呼吸ケア指導士の資格について要点をまとめたいと思います。


呼吸関連の資格として、看護師やリハビリスタッフの方が取得していることが多いでしょうか?


資格取得の条件や、必要となる費用についてむとめていますので、資格取得によるキャリアアップを考えている方の参考になれば幸いです。


呼吸療法認定士と呼吸ケア指導士の比較に関してもまとめてみました。
physicalkun.hatenablog.com

呼吸ケア指導士とは??


以前紹介した呼吸療法認定士とはまた別の学会の日本呼吸ケア・リハビリテーション学会が認定制度を施行している資格です。

呼吸療法認定士に関する記事はこちらです。
physicalkun.hatenablog.com



歴史自体はこちらの方が浅く、2013年4月からスタートした資格です。まだ認知度は低いかもしれませんね。

資格取得の条件


①本学会に3年以上継続して入会していること。


②医師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、管理栄養士、薬剤師、歯科衛生士、臨床工学技士、臨床検査技師、介護福祉士の資格を持っていること。


呼吸療法認定士に比べると取得可能な職種がずいぶん多いですね。


個人的にはあまりに職種の幅を広くすると、呼吸ケア指導士自体のブランド力がなくなるような気もしますが。


③学会が認める講習会、学術集会へ参加して所定の単位を取得する。


以上の条件を押さえて、認定申請を行えば呼吸ケア指導士と認定されるそうです。認定試験にあたるものはないようですね。




資格取得・維持に必要な費用


まずは、取得のために3年以上学会に所属する必要があるので、年会費が1万円なので3万円必要です。


所定単位取得後に認定してもらうのに認定審査料を1万円払う必要があります。


維持のためには、学会の年会費を継続して払う必要と、5年に一度更新する必要があるので認定更新料1万円が必要ですね。あとは、更新の際にも所定の単位が必要なので、学会参加や講習会への参加のための経費がかかってきます。


うーむ、NST専門療法士のときもでしたが、継続して学会に所属する必要がある点がなかなかネックでしょうか、、、


以前別の病院のICUでばりばりに呼吸リハをしているベテランのPTの先生と呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士について話す機会がありました。


その先生は今後は呼吸ケア指導士の方がメインになってくるかもしれないと話されてました。


まだ資格制度がスタートしたばかりですので、今後の学会の活動や認知度・普及度を踏まえて、取得を検討してみてもいいかと思います。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。



呼吸リハの必要性と今後の展望

本日は呼吸リハに関するエビデンス等と必要性についてまとめていきます。

日本人死亡原因疾患


呼吸リハと聞いて皆さんは、対象疾患をどのようにイメージされるでしょうか??


一番浮かびやすいのはやはりCOPD(慢性閉塞性肺疾患)でしょうか?私も学生のときはそうだったと思います。ただ、最近は呼吸器疾患がない方でも、呼吸リハの視点の必要性を強く感じています。


少し話は変わりますが、日本人の疾患別の死亡順位に触れてみたいと思います。



1位は悪性新生物(がん)。以前に比べると早期発見が可能となったり、治療薬の進歩も見られているとは思いますが、。全体の30%を占めています。


2位は心疾患。心筋梗塞など心臓に関する病気も、15%ほどとなっています。


3位は、、、肺炎なんですね。平成22年までは脳血管疾患(脳梗塞など)が3位だったんですが、平成23年度以降はずっと肺炎が3位になっています。ご存じだったでしょうか??



脳血管疾患疾患に関しては、t-PAなどの血栓溶解剤や血管内治療の進歩などによる救命率の改善、血圧コントロールによる脳出血患者の減少などが関係して死亡順位が低下していると考えられます。


肺炎に関しては、脳血管疾患発症後30カ月以内に22%が肺炎を発症するなどの研究もあります。


今後も、脳血管疾患で一命をとりとめた方が、少なからず嚥下障害の残存や活動性の低下などにより、肺炎をきたす可能性が増えてくるのではと思っています。


肺炎や肺炎予防に対しての理学療法士の関わり方も、もっと積極的に行う必要性を感じています。

呼吸リハの重要性


私は呼吸療法認定士の資格を取得して7.8年経っているでしょうか。当時も今も、当院では呼吸器内科自体は存在しておらず、当然呼吸器リハでの算定は行っていません。


なので、なぜ私が呼吸療法認定士の資格を取得したのか、疑問に思っていたスタッフもいたと思います。


当時は、私もまだまだ若く尖っていた時期なので、そんなスタッフに理由を聞かれても、「実習中の尊敬していたバイザーが持っていて、僕も取ってみました」、、、なんて返答をしていました。まぁこれも事実は事実なんですが。


もちろん、呼吸内科がなくとも、その必要性を理解してくれていた先輩もいましたが。


脳血管疾患でも、喀痰量が多い方はたくさんいらっしゃいます。総じて咳嗽力も弱いため、十分な喀出が難しいです。


気切をされて来る方も中にはいらっしゃいます。カニューレの知識も要求されますし、痰の吸引もリハビリでも必要に応じて行わなければなりません。


胃瘻造設にあたっても、少なからず腹腔に侵襲が加わるので、呼吸機能にも影響を与えます。また内視鏡も使用するため唾液の誤嚥による肺炎も合併症のリスクとして挙げられています。


こうして考えると、呼吸器疾患だけに呼吸リハが必要ではないことが、分かっていただけると思います。


ちなみに呼吸療法認定士を取ったからといって、業務範囲が増えるわけではありません。あくまで、呼吸に関する知識があるという認定程度です。


独学で呼吸について勉強するより、しっかりとカリキュラムを組んで勉強できることと、資格取得という分かりやすいモチベーションのために呼吸療法認定士の資格を取りました。


あとは、資格を持っていることで、看護師に勉強会を行ったり、リハとしての意見も発信しやすさは感じられました。




肺炎に関するエビデンス


肺炎に関するリハビリのエビデンスを紹介します。


肺炎発症後、3日以内に理学療法がスタートしたグループと4日以降にスタートしたグループでは入院30日以内の院内死亡率に差が見られたそうです。


安易な安静は予後に影響するということですね。もちろん、病期をしっかりと見極める必要がありますが。


少なくとも、背臥位よりギャッジアップ座位の方が、気管支内の繊毛活動は促進され排痰には有効です。そして、重力の影響により背臥位で同じ姿勢では肺の背面に痰が貯留してしまいますね。


別の研究では、入院後2日以内に経口摂取スタートしたグループと3日以降にスタートしたグループでは、退院時3食経口摂取獲得群に14%の差が見られたそうです。この経口摂取は、ゼリーのような間食でも良いそうです。


とりあえず絶食にすることは経口摂取獲得の予後に影響します。しっかりと嚥下機能を評価しなければなりませんね。嚥下機能のサルコペニアとゆー考え方もあるそうです。少ない量でもいいので、経口摂取することが重要です。


肺炎患者にどのように関わるか。ベッド上でROM、キッキングで終わってしまっていいのか。少し考えるきっかけになれば幸いです。


安易な安静・絶食はリハビリだけでは変えれませんが、リハからも提言すれば変化はみられることだと思っています。

本日も最後までお付き合いありがとうございました。


低栄養状態の患者をリハビリする際の運動負荷量

本日は低栄養状態の患者のリハビリをする際の注意点をまとめたいと思います。


リハ栄養に特に興味のない方もいらっしゃるとは思いますが、少なくともこの記事で紹介することは抑えておいて欲しいです。


なぜなら、一生懸命患者を良くするためにリハビリを行なっても、逆に患者を悪くする可能性があるからです。

低栄養状態だとなぜ悪い??


低栄養の定義に関しては別の記事でまとめさせていただきました。興味のある方は一読お願いします。
physicalkun.hatenablog.com



では、低栄養状態だとなぜ悪いのでしょうか??


疲れやすそうだから?筋肉がつきにくそうだから?それだけではないんですよね。


低栄養状態の患者に間違った考えでリハビリを行なってしまうと、逆に悪くしてしまう可能性があります。


運動にはエネルギーが必要


当たり前のことなんですが、大事なことです。患者が低栄養状態にあるということは、食事等から得ているエネルギーより、日々の生活動作・リハビリと病気の創傷治癒などで消費しているエネルギーの方が多く消費されているということになります。


分かりやすくエネルギーを収入と、支出に例えて考えてみましょう。食事が収入、運動や創傷治癒のエネルギーが支出です。


健康な方であれば、収入と支出はほぼイコールの生活です。最近太ってきたなーという方は、支出より収入が増えている状態と理解できます。


低栄養状態の方は、収入より支出が多くなっている赤字の状態です。その状態で、積極的な筋力増強運動などを行うと、支出(運動によるエネルギー)が増えてさらに赤字が大きくなります。


その場合、私たちはどーするでしょうか。貯金を切り崩しますよね。ヒトの体内でのエネルギーの貯金にあたるものは、筋肉になるんです。貯金である筋肉を分解することで、なんとか支出のエネルギーを捻出しようとするんですね。


筋肉を増強するためのリハビリが、かえって筋肉を分解させてしまうことがあるということ。この点をしっかり理解しておかないと、専門職とはいえないのではないでしょうか??




この患者は積極的に行っていいのか??


ではどのように判断してリハビリの負荷を決めればいいのかという話になります。


BMI22以上 BMI18.5-22 BMI18.5未満
アルブミン3.6以上 機能改善 栄養・機能改善 栄養改善・機能維持
アルブミン3.0-3.5 栄養・機能改善 栄養・機能改善 栄養改善・機能維持
アルブミン2.9以下 栄養改善・機能維持 栄養改善・機能維持 栄養改善・機能維持


アルブミンとBMIの関係から運動負荷を判断できます。ここでゆー機能維持とは、関節可動域運動や筋力維持のための運動(最大筋力の20~30%負荷)、ADL訓練などのことを指します。


ただ、アルブミンはリアルタイムの栄養状態を反映せず、採血日の3週間前の栄養状態を反映する数値だということを知っておいてください。


なので、アルブミンの値も参考にはしますが、今現在、患者がどの程度の食事を摂取しているのか。食事箋の情報ではなく、本当に食べれている量の確認。それとリハビリの運動量との調節が必要となってきます。


栄養状態が回復してから積極的なリハビリを行うのではなく、今後、この患者が栄養状態が改善してくると判断される時点で筋力増強を行っていく必要があります。


そのためには、病棟看護師や栄養士と相談しながら栄養状態を把握していく必要がありますね。リハ栄養も他職種連携が重要です。


患者の栄養状態をしっかりと評価して、より効果的なリハビリが行えるよう、もっとリハ栄養が普及していくことを期待しています。



本日も最後までお付き合いありがとうございました。


新人理学療法士へ。勉強・業務・研修会などのアドバイス。

本日は、新人理学療法士の方へ、管理職の立場からのアドバイスをさせていただきたいと思います。


まだまだ私自身勉強中の立場ですが、少しでも参考にしていただければと思います。

まずはどんどん質問してみましょう!


最初のうちは、先輩スタッフについてまわり、リハビリを見学する流れが大半だと思います。見学しても特に質問して来ない新人さんも時々います。先輩療法士として、やはり質問が何もないと淋しいものです。


質問があることで、この新人さんがどこをどのように理解してるのか、どこに興味がありそうなのか、、色々感じとれることもあります。


せっかく同じ職場なのですから、コミュニケーションをとりながら、お互い楽しく働きたいと思います。


経験を積んでいく度に、先輩に質問することが難しくなります。下手に質問すると、自分の勉強不足がバレてしまうからです(笑)


今のうちにしっかり質問して、少しでも知識を吸収しましょう。


また、どうしてもセラピストにも経験年数だけではないレベルとゆーものがあります。経験年数が多いほど優れた知識・技術を持っているかといえば、必ずしもそうではありません。


日々の臨床にどれだけ真摯に向き合っているかで、同じ10年を過ごしても大きな差が現れます。


今後の自分の目標となるよーなセラピストを見つけるには、質問をして、しっかり教えてくれたり、納得のできる返答ができるセラピストを見つけましょう。

学会参加のすすめ


早い段階から学会に参加することで、日々の疑問を抽出することができるのではと思っています。


もちろん、教科書で調べて解決する疑問はすぐ解決すべきです。ただ、それだけでは解決しない疑問や、疑問としても気付かず通り過ぎてしまうような疑問。それらにもアンテナを張り、しっかり抽出できる感性。


その疑問を研究発表するかどうかは、また別の能力が必要ですが。ただ、しっかり気付けるかどうかで、視野の広がりが格段に違うと思います。


ぜひ、学会参加を検討してみて下さい!




研修会の選び方


職場やネットで色々な研修会の案内などを見る機会があると思います。どれこれも、魅力的に見えるのではないでしょうか??私もそうでした。


私として、1年目は特殊手技のような研修会への参加はあまりおすすめしません。ボバース、認知神経リハ(認知運動療法)、SJF、、などなど。


どれも本当に理解すれば素晴らしいアプローチだと思います。


ただ、どうしても特殊手技の研修会は、認定コース(ベーシック、アドバンスなど)のような形が多いような気がします。


そして、他の治療アプローチの批判を少なからず聞くことがあります。認定コースの履修を図るためにも、求心力を高めることは必要だとは思います。


ただ、私としては、他を批判することで自分たちへの求心力を高めるのはあまり好きではありません。


新人さんはそれを鵜呑みにしてしまう方もいるので、そういった意味で特殊手技への参加はおすすめしていません。病院によっては、病院のルールで3年目までは参加を禁止しているところもあるそうですね。


治療を学ぶ権利は個々にあるべきなので、そこまですることもどうかとは思いますが、少し気持ちは分かります。ただ、若い時は広い視野で考えて欲しんですよね。


もちろん、私の病院で1年目から特殊手技を学んでも、それを軸としつつもそれでもしっかり広い視野で成長しているスタッフもいます。


ですが、早い時期から特殊手技ばかりになってしまうと、視野が狭くなりやすく、それがもったいないと思います。


解剖・運動・生理学に基づいての治療をしっかり行うことで、基礎が身につき、その後に発展すると思っています。


基礎が出来上がって、自分に合う治療手技を探してもいいのではないでしょうか?

文献・書籍を読もう!


今の時代、スマホで調べればすぐに色々な情報が手に入ります。


私もネットで調べたりもします。が、やはりネットには誤った情報もあると思います。私もブログで情報を発信している一人ですが(笑)


最初のうちに、しっかり文献・書籍から学ぶ姿勢を身につけましょう。


そして、その日の疑問をその日のうちに解決することですね。私は臨床実習の学生には、ひたすらこのことを念押しします。


簡単なことのようで難しいことです。この継続が、理学療法士としてのチカラとなっていくと思います。

ホウレンソウがやっぱり大事


臨床実習のときからゆわれていると思いますが、報告・連絡・相談。やはりこれが不十分な職員が多いです。自分の判断で行い、あとでこじれたころに相談に来られることや、他部署からの指摘で問題が発覚することもあります。


トラブルの解決も、管理職の仕事なので私の腕の見せどころではあるんですが。


もちろん、そのスタッフの判断の甘さでトラブルになることもありますが、良かれと思ってやったことが、うまくいかずトラブルになることもあるんですよね。


少し相談してもらえば、アドバイスでき、すんなり行くことも、多々あるように感じます。


先輩や管理職のスタッフは、相談されて嫌がるようなことはありません。後でトラブルになるぐらいなら、しつこいぐらい相談してもいいと思います。


以上が、新人理学療法士の方への私なりのアドバイスです。


お互い理学療法士として切磋琢磨していきましょう!

本日も最後までお付き合いありがとうございました。


将来のために、理学療法士として知っておきたい2025年問題

本日は医療業界にとって大変重要な2025年問題についてなるべく分かりやすくまとめてみたいと思います。


2025年問題??
知らない理学療法士の方には是非読んでいただき、知っている方にも再確認していただけると幸いです。


少し堅苦しい内容や数字等も出していきますが、大事な問題です。知らないでは恥ずかしい、2025年はもうすぐそこまで来ています!!
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今後来る2025年問題の概要


ざっくりゆーと、2025年に団塊世代の方(1947~1949年生まれ)が後期高齢者に突入します。このことが日本にどのように影響するのかが、この2025年問題です。


団塊世代の人数が800万人とゆわれており、2025年には後期高齢者の割合が18.2%に達するとゆわれています。また要介護(支援)認定者数の増加も予想され、755万人まで増加することが予想されています。

高齢者世帯の見通し


世帯主が65歳以上である高齢者の世帯数は、2025年には1840万世帯にも増加すると見込まれています。そのうち、高齢者の夫婦のみが30%、単身世帯が30%と予想されています。


まさに老老介護。さらに今後、要介護レベルであっても独居ができることを目標に地域包括システム等の新たなシステムが推進されています。

医療・介護サービスの需要は??


ここまで読むと、後期高齢者が増える→医療・介護ニーズが増える→リハビリ職種は安泰と考える方もいるかもしれません。


もちろん、医療・介護ニーズは間違いなく増えます。大都市では医療需要のピークは2040年とゆわれています。


ただ地域差があるので、過疎地ではすでに2010年に医療需要のピークを迎えた地域もあり、地域格差がすでに結果として表れています。


ただ、医療ニーズの増え方に問題があり、その点が大きな問題となっています。




病床数(ベッド数)と看取りの場所


2015年の65歳以上の方の年間死亡数は120万人です。2025年の65歳以上の年間死亡数は140万に達すると見込まれています。


これだけの人数を病院で受け入れることは困難とされており、病院だけでなく在宅での看取りを支援できるようなサービスが望まれます。


リハビリに関しても、リハ対象疾患の増加が予想されます。病床の割合が以下のようになることを目指していくようです。

2013年        2025年
高度急性期      高度急性期
19.1万床       13.0万床
急性期        急性期
58.1万床   ⇒   40.1万床
回復期        回復期
11.0万床       37.5万床


回復期が3倍程度まで増えていますが、その分急性期病棟の割合が減っていますね。より早期に回復期への転院が必要と思われます。


また軽症なケースであれば、回復期を通さず急性期から在宅へ。そこから介護サービス等での機能回復も必要となってくるそうです。


当院は回復期病院ですが、すでに急性期病院の在院日数は平均2週間ほどとなっています。


私が就職したころは、発症から1カ月経過したころに当院に転院されていたイメージでしたが、ずいぶん短縮されてきてますね。

回復期病院の今後


また急性期での在院日数の短縮だけでなく、回復期病院での在院日数の短縮も必要となってくる可能性はありますね。


すでに、FIM利得による回復期病棟のレベルの差別化が診療報酬に反映されています。今後もより高いレベルでFIM利得を打ち出さなければ、診療報酬の減算となってしまうでしょう。


FIM利得の計算式が(退棟時FIM運動項目-入棟時FIM運動項目)/(入棟から退棟までの日数÷算定上限日数)です。

分母の入棟から退棟までの日数(在院日数)の短縮がやはりカギとなってくるような気がします。


今現在はFIM利得が27未満の回復期病棟は減算となってしまいますが、ほとんどの回復期病棟が27以上を確保できているので、次回の診療報酬の改定ではこの27の数字を少しいじってくるかもしれませんね。


以上で2025年問題を終わります。本当はまだまだこまかな情報も載せようかと思ったのですが、あまり小難しくするのもどうかと思いこのようにまとめました。


新人理学療法士さんにはざっくりとした概要だけでもつかんでもらい、理学療法士として大局を見れるような視野を持っていってほしいです。

本日も最後までお付き合いありがとうございました。


アンダーソンの基準はもう古い?リハビリ中の新しいリスク管理について

本日はリスク管理についてまとめたいと思います。


リスク管理、セラピストとして最低限抑えておかないといけない点ですね。
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さて、リハビリで有名なリスク管理といえば、、、アンダーソン・土肥の基準がやはり浮かんできます。私が国家試験を受けたときも、高頻度で出題されており、確実に抑えておきたいとこでした。


最近では、アンダーソンではなく他の基準が主流になりつつあるようで、その基準を紹介します。


リハビリに関する訴訟ケースをまとめた記事です。リスク管理を含めてしっかりと自分を守ることが重要ですね。
www.rihasuta.net

アンダーソン・土肥の基準

一応、復習も兼ねて張り出しておきます。

Ⅰ.運動を行わないほうがよい場合
1)安静時脈拍数 120/分以上
2)拡張期血圧 120以上
3)収縮期血圧 200以上
4)労作性狭心症を現在有するもの
5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの
7)心房細動以外の著しい不整脈
8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの

Ⅱ.途中で運動を中止する場合
1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合
3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合
4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

Ⅲ.次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する
1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合.ただし,2分間の安静で10%以下に戻らぬ場合は、以後の運動は中止するかまたは極めて軽労作のものにきりかえる
2)脈拍数が120/分を越えた場合
3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
4)軽い動悸、息切れを訴えた場合


あまりにこれに準じているとリハビリにならない患者様も多くいらっしゃるので、その場合は逐一主治医に確認を取っておこなっています。
主治医に相談しても、大丈夫大丈夫で終わることも多いですが。




日本リハビリテーション学会診療ガイドライン


最近、実習に来ている学生とリスク管理について話す機会がありました。


今でもアンダーソン・土肥の基準を学校でも教えられるそうですが、もう一つ別の基準をメインに教えられるそうです。


家に帰って慌てて調べたのですが、アンダーソン・土肥の基準に似てはいますが、もう少し具体性を持たせた基準が、日本リハビリテーション医学会が示しているようですね。


一応アンダーソン・土肥の基準から追加されているものを太字にしています。


1.積極的なリハビリテーションを実施しない場合

① 安静時脈拍40/分以下または120/分以上
② 安静時収縮期血圧70mmHg以下または200mmHg以上
③ 安静時拡張期血圧120mmHg以上
④ 労作性狭心症の方
⑤ 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
⑥ 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
⑦ 著しい不整脈がある場合
⑧ 安静時胸痛がある場合
⑨ リハビリテーション実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
⑩ 座位でめまい、冷や汗、嘔気等がある場合
⑪ 安静時体温が38度以上
⑫ 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下


2.途中でリハビリテーションを中止する場合

① 中等度以上の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛、頭痛、強い疲労感等が出現した場合
② 脈拍が140/分を超えた場合
③ 運動時収縮期血圧が40mmHg以上、または拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合
④ 頻呼吸(30回/分以上)、息切れが出現した場合
⑤ 運動により不整脈が増加した場合


3.いったんリハビリテーションを中止し、回復を待って再開

① 脈拍数が運動前の30%を超えた場合、ただし2分間の安静で10%以下に戻らない時は以降のリハビリテーションを中止するか、または極めて軽労作のものに切り替える
② 脈拍が120/分を超えた場合
③ 1分間10回以上の期外収縮が出現
④ 軽い動悸、息切れが出現


4.その他の注意が必要な場合

① 血尿の出現  ② 喀痰量が増加している場合  ③ 体重が増加している場合
④ 倦怠感がある場合 ⑤ 食欲不振時・空腹時  ⑥ 下肢の浮腫が増加している場合


どんな基礎的なことも、定期的にアップデートする必要がありますね。学生くんに感謝です。

若手セラピストにおすすめ書籍に関する記事です。
www.rihasuta.net



理学療法士の専門性と給料・キャリアアップについて

本日は理学療法士の給料アップ、キャリアアップのための資格についてまとめたいと思います。


今や潰れる病院自体も珍しくない状況の中で、なかなか給料アップも厳しい病院が多いと思います。自分の将来をどのようにイメージするか難しい中で、少しでも参考になればと思います。

理学療法士の中での専門性


一年間に、国家試験を合格して新たにどのくらいの人数が理学療法士になっているかご存知でしょうか?


平成24年が9850人、平成25年に初めて1万人の王台を超えました。それ以降は1万人の王台こそ超えてはいませんが、常に9千人代を推移しています。


受験者数自体は平成25年移行も増えている傾向にあるので、合格率で調整されているような印象を受けます。



累計の合格者数は平成28年度までで139214人となっています。


その中で、医療・介護報酬の削減が図られている医療業界で、いかに個人としての理学療法士の立場を守っていくか、考えていく必要があると思います。

理学療法士の専門性


1番分かりやすいものに、理学療法士協会が進めている認定理学療法士、専門理学療法士の認定制度がありますね。


私自身は、新人教育プログラムを修了し、専門分野に登録したところで止まっています(笑)


ただ、いざ認定理学療法士の資格を取ろうとしても、専門分野に登録して2年経たないと、認定試験が受けれません。また専門理学療法士に至っては5年たたないと取得できません。


いざ、行動しようとしたときのためにとりあえず登録しておいて損はないと思います。


ちなみに2016年4月時点での認定理学療法士の取得人数は1958人、専門理学療法士の取得人数は1792人と発表されています。




理学療法士の給料・キャリアアップ


理学療法士が取得可能で、キャリアアップにつながると思われる資格も今はたくさんありますね。


以前記事にまとめた呼吸療法認定士やNST専門療法士などは、認知度も高くキャリアアップにつながりやすいのではないでしょうか?


あと、私がぱっと思いつくものに、心臓リハビリテーション指導士や、糖尿病療養指導士、呼吸ケア指導士、セラピストマネージャー、ケアマネージャーなどなどありますね。


自分の病院の特性と自分の興味とが一致するようであれば、このような資格の取得もキャリアアップにつながるかもしれませんね。


また病院によっては、資格取得による資格手当の支給もあるそうです。病院全体でレベルアップを推進している職場であれば、資格手当も理解してくれるかもしれませんね。


また、転職する際にも、履歴書に書けるのでアピールポイントにはしやすいのではないでしょうか??


他の理学療法士との差別化を図るためにどうするか、しっかりマネジメントしていく必要がありますね。


これらの資格の取得方法や費用などは、また別の機会にまとめていきたいと思います。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。


理学療法士協会に入会するメリット・デメリットとは??迷っている方のための参考資料。

本日は理学療法士協会に入会する必要性の有無についてまとめたいと思います。


毎年、新人職員が入職し理学療法士協会に入った方がいいのかとの話になります。


なので、加入するか迷われている方の参考に少しでもなれば幸いです。

理学療法士協会の年会費は??


理学療法士協会は加入には、初年度のみ入会費の5.000円が必要で、年会費は11.000円です。


また理学療法士協会に加入すると、都道府県ごとの理学療法士会(県士会と称されます)にも加入となります。なので都道府県別の県士会の年会費も同時に納める必要があります。


県士会の年会費は一律ではなく、都道府県によってばらつきがあり、4000〜12000円を払う必要があります。


なお、免許登録の初年度に入会すると、その年の年会費は5000円に割引されるそうです。




理学療法士協会に入るメリットは??


さて、年会費等は説明しました。では、実際に入会するメリットはなんでしょうか?メリットと、それに関する私の個人的な意見を述べます。


①理学療法士協会や県士会が主催する研修会、学術大会等の参加費が割引されます。

学術大会に積極的に参加される方にとっては、結構バカになりませんね。
県士会の研修も参加すればモチベーションも上がりますし、何よりおなじ地域のセラピストとのつながりが増えます。


②日本理学療法学術大会への演題登録料(1万円)が無料となります。

研究発表も頑張ってみたいとゆー方にはいいサービスですね。


③理学療法学というジャーナルと会報誌が年6回送られてきます。郵送先は勤務先か自宅か選べますよ。


もちろん、ジャーナルは読めば勉強になります。が、現在はjstageで無料で読めるようになっています。


会報誌は最近のトピックスや、診療報酬の改定、協会の今後の方向性などの内容が書かれています。
私は正直昼休憩に読む程度です、、、近くのスタッフとの雑談ネタにはなったりします。


④診療報酬・介護報酬が改定された際に情報を提供してくれます。

今やネットでいくらでも改定に関する情報は手に入れることが可能です。が、正確性・信憑性などの面では、協会の情報は間違いないですね。


⑤会員限定に公開される情報。理学療法に関するガイドラインなど。


⑥理学療法士賠償責任保険に加入(自己負担なし)。さらに任意で別料金をはらうことで、補償の範囲を広げた保険に入ることができます。


個人的にはこれが一番のメリットと思っています。あとで、これについては話します。


⑦福利厚生サービス「クラブオフ」なるものがあります。

一部のレストランや宿泊ホテル、レジャー施設が優待価格で使用できるそうです。私は使用したことがありませんが、興味はありますね。

また一部の書籍も5%の割引が受けれるサービスもあります。


⑧協会が進める認定理学療法士と専門理学療法士のキャリアアップが可能。


理学療法士としての専門性を形にするにはいいのかもしれません。ただ、これを持っていると加算がとれるなどの診療報酬への影響はありません。なので、おそらく給料アップにもつながりにくいと思われます。
今後の協会の活動に期待しています。


主なメリットはこのようなものでしょうか。どの程度魅力的に感じられたでしょうか??

管理職についている者としての意見


私個人としては、新人職員に加入の必要を問われたときは、強くは言いませんが加入を勧めています。


理由としては、先ほども述べましたが賠償責任保険に加入できることです。


みなさんも感じとっていると思いますが、医療業界に関わらず、訴訟とゆーものがより身近なものになっている世の中です。


病院自体も保険に加入していますが、その多くは訴訟相手が病院の案件に対応するものだと思います。個人相手に対する訴訟では、保険の対象外の職場もあるのではないでしょうか?


そのような点を踏まえると理学療法士個人を守ってくれる保険とゆーものは、入っておいた方がよろしいかと思っています。


また認定・専門理学療法士などのキャリアアップも、今後の理学療法士の増加の中で生き残っていくためには必要かもしれません。まだまだ、この制度はスタートしたばかりですので、今後に期待したいところですね。


ちなみに協会のHPの情報では8割近くのPTが協会に加入されているそうです。


以上、管理職についている者の個人的な意見でした。参考になれば幸いです。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。


リハ栄養を踏まえたエネルギー消費量の計算。注意すべき運動負荷。

本日は回復期リハビリ病棟に入院されている患者様のエネルギー消費量の計算方法についてまとめたいと思います。

以前の記事でも触れましたが、回復期リハビリ病棟では1日に最大で3時間リハビリをすることが可能です。急性期病院に比べると、リハビリの運動強度も上がっていることも考えられます。


運動時間・運動強度が増えれば、当然消費エネルギーも増えるため、その点を踏まえた栄養管理が必要となってくるわけですね。
なので、急性期病院での投与カロリーをそのまま回復期リハビリ病棟患者に使用していれば、体重減少につながり、低栄養状態となる危険があります。

基礎エネルギー消費量(BEE)

まずは基礎エネルギー消費量(BEE:Basal Energy Expenditure )について説明していきます。


基礎エネルギー消費量(BEE)とは、ヒトがじっと寝ているだけでも消費するエネルギー量のことをいい、具体的には心臓・肺の活動など、必要最低限のエネルギーのことをいいます。基礎代謝量ともゆったりします。

では、どうやって求めるかですが、身長・体重・年齢を用いたハリスベネディクト式がよく用いられます。
男性=66.47+13.75w+5.0h-6.76a
女性=655.1+9.56w+1.85h-4.68a
(w:体重kg、h:身長cm、a:年齢)
で計算可能です。

全エネルギー消費量(TEE)

基礎エネルギー消費量に、あとは実際にリハビリ等の運動で消費したエネルギー量を合算したものが、全エネルギー消費量(TEE:Total Energy Expenditure)となるわけです。
実際の患者様の食事のカロリーがこの全エネルギー消費量と同量であれば現状の栄養状態の維持が可能です。

すでに低栄養状態にある患者に全エネルギー消費量と同じ投与カロリーでは栄養状態の改善は得られないので、毎日全エネルギー消費量に加えて+200~750kcal多めに摂取することを、1ヶ月間継続すると体重が1㎏増加するとゆわれています。




エネルギー消費量の計算方法


リハビリでのエネルギー消費量の計算にはいくつか方法があるので紹介していきます。

まずはメッツ(METs:Metabolic equivalents)を使用する方法があります。メッツとは運動の強さを示す単位です。安静臥位を1メッツと規定した際、目的の動作が何倍の運動量になるかを示します。

以下に簡単な身体活動とそれに応じたメッツを紹介します。文献によって多少差が見られますが。

メッツ 身体活動
1.0 横になって静かにテレビを見る
1.3 座って静かにする、立位で静かにする
1.5 座位で会話する、食事する
1.8 トイレ
2.0 整容動作、家の中を歩く、シャワーを浴びる
3.0 歩行(4.0km/時間、平らで固い地面)
3.5 レジスタンス運動(8~15回繰り返えし)、階段を降りる

どうでしょうか、イメージがつかめたようなつかめないような、、、。ちなみに階段をおりるは3.5ですが、上がるになると8メッツになります。
もっと詳細に動作を分類したものも紹介されていますので、気になる方は調べてみて下さい。

一般的にベッドサイドでのリハビリは1~3メッツ程度、機能訓練室でのリハは1.5~6メッツとゆわれています。

エネルギー消費量(kcal)=1.05×体重(kg)×メッツ×時間(hr)で消費量の計算が可能です。
なので体重50kgの患者様が、一日3時間リハビリをしたとして、その運動強度の平均が3メッツと考えた時は、473kcalをリハビリで消費したということになります。
よって全エネルギー消費量=BEE+473と考えられます。

活動係数とストレス係数


次に活動係数やストレス係数を用いた計算方法を紹介します。当院ではこちらの方法を採用しており、他の病院の取り組みを見てもこちらを使用されている事が多いみたいです。

計算式は
TEE=BEE×活動係数×ストレス係数

活動係数の例
寝たきり状態(意識障害):1.0
寝たきり状態(覚醒状態):1.1
ベッド上安静      :1.2
ベッドサイドリハ    :1.2~1.4
ベッド外活動      :1.3
機能訓練室でのリハ   :1.3~2.0

機能訓練室にて2~3メッツ程度のリハを20分で1.3、1時間以上で1.3~1.7、2時間以上で1.5~2.0の活動係数に換算します。

ストレス係数の例
飢餓状態  :0.6~1.0
術後3日間  :1.1~1.8(侵襲度による)
骨折    :1.1~1.3
褥瘡    :1.1~1.6
感染症   :1.1~1.5

当院は回復期なのでほとんどストレス係数については考慮していません。

活動係数についても文献によって微妙に数字が前後していることや、あくまでセラピストの主観で決めるので客観性に欠ける点が問題かなと考えています。

以前、リハ栄養で著名な若林先生のお話を聞く機会がありましたが、定期的に栄養状態のモニタリングをして投与カロリーと全エネルギー消費量とのバランスを見ていく必要があると話されていました。


今後、活動係数の統一や、新たに客観的なエネルギー消費量の計算方法の開発が期待されますね。

本日も最後までお付き合いありがとうございました。