呼吸療法認定士の試験対策。過去、私が丸暗記していたこと。おすすめ勉強法。
本日は呼吸療法認定士の試験対策に私が丸暗記していた内容のデータが出てきたので紹介!それに加えて、私なりのおすすめの勉強方法も少しお伝えします。
先日たまたま自分のUSBの中身を整理していたら、「呼吸療法認定士試験対策」のワードファイルが見つかりました。中身を開くと、項目ごとに丸暗記できるようにまとめられた文章がありました。
私はこれを学生のとき使っていた英単語張のようにリングで止めて、昼休憩など少しでも時間があるときに内容を確認していました。
いや~、なつかしい!そして、いまではほとんど覚えていない!(笑)まぁ試験に受かることが最優先ですから、そこからは日々の研鑽です。
このページには理解というより、暗記するような内容をまとめています。暗記はひたすら覚えては確認することが重要と思っているので、よければブックマークしていただき、少しの空き時間でも確認する際に使ってもらえたらと思います。
別の記事に過去問のまとめも作ったので参考にしてみてください。
physicalkun.hatenablog.com
私のおすすめの勉強法
やはりなんといっても過去問を見ることです。学会からは正式な過去問は出されていませんが、本屋にいけば対策本もでていますし、ネットで調べれば個人個人で覚えている問題をアップしてくれている方もいます。
そして、早い段階で公式テキストを読み込むことですね。夏の講習会の数週間前に郵送されてきたとは思いますが、そこから読み込むでは少し遅い気がします。
知り合いにもし公式テキストを持っている方がいれば、貸しもらい、少しでもほかの人よりテキストを読み込める時間を確保しましょう。
試験問題は公式テキストの内容からしか出題されません。しっかり読み込んで夏の講習会に臨めば、そこで得られる理解度も断然違います。
いかに早く公式テキストでの勉強を始められるか、ここがカギだと思います。私も、先輩の友達(私自身は面識はない)からテキストを借りて試験の1年前以上から勉強をスタートしました。
途中だれることはありましたが、まずはテキストを流し読んで概要を理解したり、ネットで過去問を探して、その文章がテキストのどこに書かれているのか探しながら勉強したり、余裕をもって取り組めました。
解剖学のまとめ
解剖学は基本です。細かい数字も覚えなければいけませんが、一番確実に点数が取れる分野だと思います。頻繁に確認して暗記してしまいましょう。
気管
①太さ 成人16.5mm 乳幼児9.4~10.8mm 新生児5mm
②長さ 成人10~12cm 乳幼児4.5~5cm 新生児4cm
③門歯~気管分岐 成人26cm 女性23cm 乳幼児10cm
④角度 右25度 左45度
肺
①肺胞 3億個
②肺胞表面積 130㎡
③毛細血管面積 126±12㎡
④胸腔内圧 吸気-4~-8 呼気-2~-4cmH2O
⑤small airway disease 内径2mm以下の末梢気道病変
人工呼吸器系のまとめ
人工呼吸器に関する問題もたくさん出題されます。色々な基準がありますが、これも数を重ねるしかないです。
人工呼吸器の初期設定
①一回換気量 成人 8-10ml/kg 小児 12-15ml/kg
②換気数 成人 約15回
③IE比 1:2
④EIP 1呼吸サイクルの10%
⑤吸入酸素濃度 0.6-1.0
⑥トリガーレベル -1cmH2O
慢性呼吸不全の人工呼吸開始基準
①意識障害
②呼吸数 <6、40<
③pH≦7.20
④Pao2≦45mmHg
⑤シーソー様呼吸
⑥去痰不能
急性呼吸不全の開始
①肺胞換気量が減少
②PaCO2 60~70
③FiO2 60%でもPaO2が60mmHg未満
④PaCO2の値を優先
SBTの成功基準
①呼吸 呼吸数≦30~35/min 呼吸数変動<50%
②ガス交換能 SpO2≧85-90% PaO2≧50-60mmHg、pH≧7.32 PaCO2増加≦10mmHg
③循環動態 心拍数<120~140/分
心拍数変動<20%
90<収縮期BP<180-200
血圧変動≦20%
血管収縮薬不要
ウィーニングの中止基準
①努力呼吸の出現(奇異呼吸)
②呼吸数>40回/分
③PaO2<500mmHg
④PaCO2の上昇傾向
⑤BP上昇
⑥頻脈・不整脈多発
⑦不穏状態
⑧発汗
ウィーニングの開始基準
①呼吸10-30
②肺活量 12-15ml/kg<
③最大吸気圧 25cmH2O<
④分時換気量 <10
⑤PaO2 70mmHg<
⑥A-aDO2 <350mmHg
⑦PaCO2 35-45
⑧VD/VT 死腔率 <0.58
人工呼吸中の薬物
鎮痛薬:モルヒネ、フェンタニル
鎮静薬:ミタゾラム、プロポフォール
ハロペリドール、デクスメデトミジン
筋弛緩薬:ベクロニウム、パンクロニウム
NPPVのまとめ
人工呼吸器より少しとっかかりやすいでしょうか。人工呼吸器の基準と混同しないように注意して下さい。
NPPV適応
急性呼吸不全 pH7.35以下and Paco2 45以上 呼吸数25以上
肺結核・側彎症
COPD Paco2≧55 PaCO2≦55だが急性増悪入院を繰り返す
肥満低換気症候群
CSR AHI≧20、75%がCSR
NPPVより抜管
NPPV使用後1時間以内に呼吸数35回以上で入院より高い
pH7.3以下
O2使用にも関わらずPao245mmHg以下
Neurogical scoreの1-2点低下
喀痰排出困難
以上の内2項目
診断基準のまとめ
SIRSの診断基準
①体温の変化(>38°or<36°)
②心拍数の増加(>90/Min)
③頻呼吸(RR>20/Min)or
過換気(Paco2<32mmHg)
④白血球数の変化(>12000/mm3or <4000)
幼若好中球の増加(>10%)
その他
その他に、丸暗記しておくことをおすすめする要点を並べておきます。
スワンガンツカテーテル 測定項目
①中心静脈圧 CVP
②肺動脈圧 PAP
③肺動脈楔入圧 PCWP
④心拍出量 CO
⑤混合静脈血ガス分析値
気体状態の表現
①BTPS(body temperature)
体温37℃。水蒸気飽和された状態。肺活量などの肺気量分画、多くの肺機能検査の値に適用。
②STPD(standard temperature)
標準温度0℃。1気圧で乾燥した状態。酸素摂取量、CO2排出量、拡散能など
③ATPS 測定時の室温、水蒸気で飽和。気量型のスパイロメータ、ライトのレスピロメータ、ベンチレータで設定した換気量。
消毒
①低水準
塩化ベンザルコニウム(両性界面活性剤)
塩化ベンゼトニウム
グルコン酸クロルヘキシジン
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン
②中水準 消毒用エタノール
次亜塩素酸ナトリウム
ポピヨンヨード
フェノール
クレゾール石けん
③高水準
グルタラール
RASS
4 好戦的、暴力的なスタッフに対する差し迫った危険。
3 チューブ類やカテーテル類などを自己抜去。攻撃的。
2 頻繁な非意図的な運動、人工呼吸ファイティング。
1 不安でそわそわしている。動きは攻撃的でも活発でもない。
0 意識清明な落ち着いている。
-1 呼びかけに10秒以上の開眼及びアイコンタクトで応答
ー2 呼びかけに10秒未満のアイコンタクトで応答
ー3 呼びかけに動きや開眼で応答するがアイコンクトなし。
ー4 呼びかけに無反応。身体刺激で動きまたは開眼。
ー5 呼びかけにも身体刺激にも無反応、昏睡。
感染症
一類感染症
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱
肺血栓症
低リスク 早期離床運動および積極的な運動
中リスク 弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法
高リスク 間欠的空気圧迫法あるいは低用量未分画へパリン
最高リスク 低用量未分画ヘパリンと間欠的空気圧迫法あるいはストッキング
ECMO
適応:OIが40以上が4時間以上
pHが7.15未満でPaO2が40mmHg未満
禁忌:頭蓋内出血
在胎週数35未満
出生体重2000g未満
人工換気10日以上
不可逆的肺損傷
予後不良の合併症や先天奇形
HOT
PaO2<55
PaO2 55~60でも、肺高血圧、肺性心、睡眠・運動でPaO2<55
肺高血圧、チアノーゼ型先天性心疾患
慢性心不全、CSR
緩衝塩基
HCO3:24∓2meq
BB:血液HCO3とHと結合していない蛋白(44-49meq)
BE:患者BB-正常BB(∓2meq)正は代謝性アルカローシス、負は代謝性アシド
AG:(Na+K)―(Cl+HCO)10-12meq 16meq以上で代謝性アシドーシス
代謝性アシド:DM、腎不全、副腎不全、肝硬変、急性膵炎、下痢
代謝性アルカロ:鉱質コルチコイド、嘔吐、電解質異常
身体障害者 指数FEV/予測肺活量×100
1級 指数20以下、PaO2 50以下
3級 20~30 PaO2 50~60
4級 30~40 PaO2 60~70
さて私がまとめていた内容をずらーっと載せます。参考にしてみてください。以上がまとめていた内容でした。改めて見るとよく覚えれていたなーという感想です。
これから受験をされる方、頑張ってください!!また役立てれるようなものが見つかればアップしたいと思います。
私が購入して良かったテキストや問題集についての記事です、参考に。
physicalkun.hatenablog.com
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
心臓リハビリテーション指導士の資格取得についての詳細。理学療法士の給料・キャリアアップの参考に。
本日は心臓リハビリテーション指導士の資格についてまとめたいと思います。
心リハ指導士の試験対策に関する記事も書いていますので、よければ参考に。
www.rihasuta.net
平成28年の診療報酬の改定によって、心リハの施設基準の緩和、及びリハビリテーション料の上乗せがされましたね。これによって心リハの導入を検討している、もしくは導入に踏み切った病院も増えたかもしれませんね。
そんな注目されている心リハに関して、理学療法士が取得可能な資格、それが心臓リハビリテーション指導士です。
心リハの算定要件に心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専従の常勤理学療法士との記載があります。
この経験について、疑義解釈の返答で、例として心臓リハビリテーション指導士の研修との一文が書かれています。
資格の取得自体は算定に必須ではないようですが、病院としても比較的評価しやすい資格ではないでしょうか?
病院との交渉次第では資格手当を勝ち取れる可能性があるように思います。是非、今後の需要も視野に最後まで一読してみて下さい。
心臓リハビリテーション指導士とは??
日本心臓リハビリテーション学会が2000年からスタートさせた認定制度です。
運動療法のみを行っていれば事足りるものではなく、食事療法や禁煙指導を含めた包括的リハビリを目指すべきであり、他職種で連携してアプローチしていく必要がある。
そのために、心臓リハビリに関する共通認識と知識や用語の共有化などを図っていくために認定制度が始まったようですね。
認定試験を受けるための条件は??
①本委員会主催の講習会を当該年度に受講していること
②医師、看護師、理学療法士、臨床検査技師、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技士、臨床心理士、作業療法士、健康運動指導士のいずれかの資格取得を有していること
③申請時に本学会会員であること(申請時の直近2年以上継続して会員であること)
④心臓リハビリテーション指導の実地経験が1年以上あること、または心臓リハビリテーション研修制度により受験資格認定証の交付を受けていること
以上が条件になります。
また受験申請時に自験例報告書(10例)が必要です。
合格率はどのくらい??
試験は2部制の講習会後に試験が実地されます。
試験自体は50門の択一式で、合格率は60%後半です。
不合格者は翌年の試験についてのみ、症例報告の提出や講習会参加なしでも受験可能です。
資格取得者の割合
平成28年度の合格者が510人、うち理学療法士が306人と圧倒的に多いですね。次に医師が138人です。
やはり名前にリハビリテーションがついている分だけ、セラピストとしての付加価値にむすびやすいのかもしれませんね。
資格取得・維持に必要な費用は??
講習会の受講料が10.000円、審査料が15.000円。
また受験のためには2年継続して会員である必要があるので、年会費の8.000円を2年納める必要があります。
維持に関しては、5年毎に更新する必要があります。更新料が10.000円。また毎年年会費を納入していくことが必要です。
また更新に当たって、必要な50単位を取得する必要があること。5年間に最低1回は心リハ学界学術集会に参加する必要もあります。
以上が心臓リハビリテーション指導士にかんするまとめになります。
ちなみにホームページには、症例報告に関しては来年度から、さらに厳格になる可能性があるとの記述がありました。
心リハの施設基準緩和などもあり、受講希望が増えているのかもしれませんね。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
MCI(軽度認知障害)の詳細と進行予防・改善のために理学療法士に何ができるか??
本日はMCI(軽度認知障害)についてまとめてみたいと思います。
みなさん、MCIとゆー言葉にどの程度馴染みがあるでしょうか??
認知症やアルツハイマー病などの言葉に比べると、あまり一般的な認知度はまだまだ低いかもしれませんね。リハ職の中でも十分に浸透しているとは思いません。
患者様の中には、MCIにあたる人も大勢いらっしゃると思います。そのような方に、単にリハ対象疾患に対してアプローチするだけでなく、MCIの進行予防の観点からもエビデンスを持ってアプローチできたらなーと個人的に思っています。
MCI(mild cognitive impairment)と認知症
65際歳以上の認知症の人数は約462万人とゆわれています。さらに、MCI(軽度認知障害)と呼ばれる認知症予備軍の人数は400万人とゆわれており、合わせると800万人を上回ると推計されています。
MCIの多くは数年以内にアルツハイマー病を代表とする認知症へ移行することから、認知症の早期診断との関連で注目されています。
今後は、総人口の減少にも関わらず、認知症者数は今後もさらに増加すると考えられており、認知症対策は喫緊の課題とされています。
少しでも理学療法士が運動等を介して進行予防・改善に関われれば今後の職域拡大にもつながるかもしれませんね。
MCIの基準と詳細
MCIの診断基準として、
①主観的な物忘れの訴えがある
②年齢に比し記憶力が低下(記憶検査で平均値の1.5SD以下)
③日常生活動作は正常
④全般的な認知機能は正常
⑤認知症は認めない
が我が国で最も使用されている基準だそうです。
また、最近ではMCIを記憶とそのほかの認知機能(言語、遂行機能、視空間機能)障害の有無とパターンから4つのサブタイプに分類されています。
まず記憶障害があるかどうか。さらにそれぞれを単一領域の障害か複数領域の障害かに分類します。
それによって将来なる可能性の高い病気を判断することができます。
①健忘型MCI・短領域障害
記憶障害があり、その他の認知機能は保たれている。将来的にアルツハイマー型認知症の可能性が高い。
②健忘型MCI・多領域障害
記憶障害とその他の認知機能にも障害が見られる。将来的にアルツハイマー型認知症・脳血管性型認知症の可能性が高い。
③非健忘型MCI・短領域障害
記憶障害がなく、その他の認知機能1つに障害が見られる。将来的に前頭側頭型認知症の可能性が高い。
④非健忘型MCI・他領域障害
記憶障害がなく、その他の認知機能複数が障害されている。将来的にレビー小体型認知症・脳血管性型認知症の可能性が高い。
MCIのような早い段階であれば睡眠・食生活の見直しや運動での介入が進行予防や発症遅延に効果的であるとゆわれています
高齢者・認知症の人の睡眠の特徴
高齢になると深い眠り(ノンレム睡眠)が少なくなり、浅い眠り(レム睡眠)の時間が相対的に長くなります。
そのため、ちょっとした刺激(音、光、温度、尿意)で目がさめやすく、中途覚醒、早期覚醒が起こりやすくなります。
認知症の方は同年代に比較してもさらに睡眠が浅く、重度の認知症では1時間程度の短時間も連続睡眠が困難になります。
また夜間の不眠とともに昼寝が増え、昼夜逆転の不規則な睡眠・覚醒リズムに陥るようになります。
認知症の一部の方は、夕方からベッドに入るまでの時間帯に徘徊・焦燥・奇声などの異常行動が目立つ、日没症候群という現象がみられることもあります。
これも睡眠・覚醒リズムの異常が関係していると考えられています。
しかし、睡眠薬や鎮静薬を使いすぎると、強い眠気や誤嚥、転倒・骨折などのために生活の質が低下していまう恐れがあります。
睡眠障害への対策
日中の覚醒している時間をつくる、規則正しい日課で生活リズムを保つ、夜間の睡眠の妨げになる原因をなくすが重要となります。
具体的には
①終身環境を整える(室温、照明、音)
②午前中に日光に浴びる
③入床・覚醒時刻を規則正しく整える
④食事時刻を規則正しく整える
⑤昼寝を避ける
⑥決まった時刻に運動を行なう。
⑦夕方以降に過剰な水分を摂取しない
⑧痛みに十分対処する(気づいていないことも多い)
⑨認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害剤)の午後以降の服薬を避ける
などが重要となってきます。
リハビリと認知症の発症予防・遅延
年間、MCIの10-15%がアルツハイマー病に移行するとゆわれており、その発症予防・遅延にどう理学療法士がかかわることができるか。
二重課題下での運動や手指の巧緻性運動が脳活動の活性化につながることがゆわれています。
その他にも、有酸素運動が認知機能への効果を示した研究もたくさんあるそうです。
メカニズムとしては前帯状回における組織容量の増大、神経伝達効率の改善という結果が見られているそうです。
またアルツハイマー病の原因として有力視されているアミロイドβの増加を抑制することにもつながります。
個人的にもMCIの方に対して積極的に有酸素運動を行っています。さらに有酸素運動をしながらの二重課題等も行っています。
その他にも有用なアプローチ、エビデンスがあればまた紹介したいと思います。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
ポリファーマシー(多剤併用)の定義とは?転倒など理学療法士が知っておくリハビリへの影響
本日はポリファーマシーについてまとめたいと思います。
2016年に診療報酬にポリファーマシーに関しての加算が新たに新設されたことや、残薬の問題も社会的に注目されてきています。
理学療法士としても、知っておくべき内容が含まれていると思うので、その点について述べていきます。
ポリファーマシーとは?定義とは??
日本語でゆーと、多剤併用や多剤処方などとゆわれていますね。つまり、一人の患者がたくさんの種類の薬を服薬していることがあまり良くない結果をもたらしているんじゃないか??とゆー問題です。
ポリファーマシーの定義については実際はまだそこまで細かく決まっていません。何種類以上飲んでいれば、ポリファーマシーなのか。それとも薬による有害事象が出ている状態をポリファーマシーとするのか。
ただ、5種類以上服薬していると転倒のリスクが上がることが研究で分かっている点。
6種類以上服薬していると、有害事象が出現する割合が増えるとの研究。
これらから5~6種類以上服薬している場合をポリファーマシーと指すことが多いように思います。
ポリファーマシーが生まれる背景
高齢者の方は、複数疾患を罹患することが多いため、どうしても服薬種類が多くなります。ご家族の方も改めてチェックしてみてください。
報告によると、複数の医療機関から10種類以上の薬を処方してもらっている患者さんは、前期高齢者で11.7%、後期高齢者で27.3%となっています。
ときどき、食前の薬だけでお腹いっぱいになるわーーとゆわれる高齢者あるあるを聞くことがありますが、こうして数字で見ると笑い事ではありませんね。
10種類も処方され、適切に服薬管理できているのかも怪しい気がします。これが残薬にもつながっているのでしょうが。
そして、有害事象が出てくるため、その症状を抑えるためまた新たな薬が処方される、、、負の連鎖ですね。
転倒などリハビリに与える影響
先ほど5種類以上の服薬が転倒のリスクを上げることはお伝えしました。
その他にも報告によると有害事象による意識障害や低血糖が700名のうち9.8%に存在し、低血圧が4.8%に及んでいました。
また、リハ栄養の観点からの有害事象として、便秘・下痢・腹痛が3.8%。食欲不振・吐き気も3.8%の割合で存在したとの報告があります。
食事摂取量の伸びが悪かったり、摂取してもしっかりと栄養が吸収されなければ、意味がありません。
薬剤に関しては医師や薬剤師が主ではありますが、リハ職としても患者様の状態を踏まえて減薬を進言してもいいかもしれませんね。
実際当院の患者様で、多病院からの転院でしたが9種類服薬している頸部骨折の術後の方がいらっしゃいました。
たしかBMIも15未満のやせ細った患者様でしたが、意識ももうろうとしており、食事の入りも全くだめでした。
服薬を必要最低限の3種類だったかなー、かなりばっさり減薬したら意識状態も改善し、食事摂取量も徐々に伸びていきました。
あのような症例を見ると薬のおそろしさを改めて感じますね。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
最近目にするBCAA(分岐鎖アミノ酸)ってどんな効果があるのか?リハ栄養の面からも有効?
本日はBCAAについてまとめたいと思います。たんぱく質の重要性についても説明します。
たんぱく質とアミノ酸
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸が結合してできている高分子化合物です。このうち、9種類のアミノ酸は体内で作れないので食べ物から摂取する必要があります。
この9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます。必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンをBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼びます。
リハ栄養で推奨されている1日のたんぱく質の摂取量は体重1kgあたり1.2~1.5gとされています。体重が50kgの患者では60~75gのたんぱく質摂取が望ましいです。
BCAAがなぜ注目されているか??
バリンは筋肉の損傷緩和、疲労回復の効果があるとゆわれています。
ロイシンは筋肉合成に最も重要なスイッチの役割をするとゆわれています。筋肉成長を促進する効果があるとゆわれています。
BCAAの摂取方法
一回のタイミングで2000mg以上摂取することが望ましいとされており、2000mg以上の摂取で2時間後の血中BCAA濃度も高い値を維持することができます。
それ以下の量では、1時間後には血中BCAA濃度の維持は難しいそうです。
まぐろ、牛乳、牛肉、卵等にに多く含まれています。高齢な患者様で、なかなか食事摂取量が増加できない場合は、栄養補助食品等でBCAAを積極的に摂取していただいてます。
ロイシンが筋肉合成に一番強力なアミノ酸ではありますが、ロイシンのみの摂取では筋肉合成は促進されないとの研究もあり、他のバリン・イソロイシンも含めた血中濃度が高い状態で筋肉合成が促進されるそうです。
BCAAを摂取するタイミングは??
運動前・運動中・運動後、どのタイミングで摂取するかの見解は分かれていますが、一番支持されているのは運動後だと思います。
当院でも、リハ後30分以内に栄養補助食品(ドリンクタイプ)を摂取してもらうようにお願いしています。
また一回のタイミングで2000mg以上摂取することが望ましいとされており、使用する栄養補助食品のBCAAの配合量にも考慮が必要ですね。
栄養補助食品も今はたくさん種類が出ているので、それらも近々まとめたいと思います。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
サルコペニアの概要・診断基準とリハビリについて
学生時代からサルコペニアの単語は時々聞くことがありましたが、今ではかなり浸透したワードになってきていますね。
本日はサルコペニアについてまとめたいと思います。
サルコペニアってどんなもの??
理学療法士の方であればほとんどの方が聞いたことがあると思います。ただ、私が学生の時のサルコペニアと最近のサルコペニアでは若干意味合いが違ってきています。
サルコペニアとは、骨格筋減少症、筋肉減少症ともいわれます。要は、筋肉量が低下している状態のことを指します。
ヒトの筋肉量のピークは20台後半から30歳ごろといわれており、その後は徐々に減少していく傾向にあります。50歳までに10%程度低下し、さらに80歳までに30~40%低下すると報告されています。
また速筋と遅筋の筋線維数も減少が見られ、速筋に関しては筋断面積も著しく低下しているとの研究があります。
具体的な診断基準は??
①筋肉量の低下
これを正確に測定するには、特殊な機械が必要なため、容易にできる検査ではありません。
なので、筋肉量の評価には、下腿周径30㎝未満、BMI18.5未満のどちらかがあてはまっていれば、①は陽性と判断します。
②筋力の低下
男性は握力が25kg未満、女性は20kg未満で陽性です。
③身体機能の低下
歩行速度が1.0m/秒未満で陽性となります。
サルコペニアの診断には、①が絶対条件で、さらに②か③のどちらかも当てはまる場合にサルコペニアと判断されます。
サルコペニアの原因は??
私が学生の時に聞いた記憶では、サルコペニアは加齢のよる筋肉量の減少だけを指していたと思うんですが、現在は加齢によるもの以外の原因で筋肉量が低下した場合もひっくるめてサルコペニアというそうです。
原因には、加齢によるもの以外に、廃用性によるもの。低栄養によるもの。侵襲や悪液質など疾患によるものが挙げられています。
サルコペニアに対するリハビリ
リハを行っている高齢者の40~46%にサルコペニアを認めたとの報告もあります。
サルコペニアの原因は、1つではなく複数認める場合が多いため、包括的に評価・対応する必要があります。
特にリハビリでは栄養状態に注意しながら進めていく必要があります。より良質なたんぱく質の補給が重要となるので、BCAAを積極的に摂取できるとよいです。
栄養状態の評価と予後予測。それに伴った、適切な運動負荷量の設定を行っていくことが、効果的なリハビリの提供になると思います。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
認定・専門理学療法士にインセンティブ!?理学療法士が知っておくべき最近のトピックス
本日は理学療法士が知っておくべき、最近のトピックスについてまとめてみたいと思います。
認定・専門理学療法士のインセンティブ
キャリアアップ・生涯学習の一環として、理学療法士協会が行なっている認定・専門理学療法士の制度があります。
以前、理学療法士の専門性についてまとめた記事の中でも少し、その制度に触れていますので、興味のある方は参考にしてください。
さて、2016年4月時点での認定理学療法士の取得人数は1958人、専門理学療法士の取得人数は1792人と発表されています。
んー、やはりなかなか取得することのメリットを感じられないからでしょうか??協会全体の人数から考えると、あまり取得人数の伸びが良いとは思えませんね、、、
しかし!今後、取得にメリットを見出せるかもしれない情報を最近見ることがありました!
それは、認定機構設立を目的に協会と日本リハビリテーション医学会との正式な話し合いを開始するとありました。
第三者機関による認定であれば診療報酬に反映できる可能性があるそうです!
どの程度現実味のある話かはまだまだ分かりませんし、そう簡単な話ではないことは分かってはいます。それでも、今まで漠然としていたキャリアアップの制度が、少し形となってセラピストのメリットにつながりそうな可能性!
今後の理学療法士協会の動きに本当に期待しています。
診療報酬の加算に繋がることがあれば、給料アップへの可能性も十分に考えられます。
追記:平成33年4月から生涯学習制度に大きな変更が予定されています。その中には認定理学療法士制度にも大きな変更がされる予定です。
認定理学療法士制度に興味・関心がある方は下の記事も読んでみてください。
physicalkun.hatenablog.com
理学療法士のカリキュラム変更
こちらも、知っておくべき内容でしょうか。養成校の指定規則の改定に関して、この4月から厚生労働省が本格的な議論に入るそうです。
理学療法教育は現在93単位で実施されています。
理学療法士協会としては、社会保障制度の変化や医療ニーズの変化に適応できる人材育成の観点から103単位以上を目指しているそうです。
臨床実習の単位数の不足が議論されることもあったので、もしかしたら、臨床実習の期間が現在より長くなるかもしれませんね。
臨床実習に関しても、ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、国会で議論された時期もありますね、、、
私もスーパーバイザーとして、実習生に関わる機会もありますし、理学療法科の科長としても、バイザー会議にはなるべく参加しています。
バイザー会議で必ず1つの話題になるのが、クリニカルクラークシップではないでしょうか??個人的にも、今後はクリニカルクラークシップが主流になるのかなーと思っており、当院も真剣に考えていかねばとは思っています。
今後、カリキュラム変更に伴い臨床実習にどのような動きがあるのか、気にかけておく必要がありますね。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
長下肢装具の使用に関して知るべきメリットや値段・負担について
本日は長下肢装具についてまとめたいと思います。
先日、とある研修会(触診に関する)に参加した時の話ですが。少し雑談的な話のときに、講師の方が長下肢装具の必要性を真っ向から否定されていました。
経験年数は30年近い方だと思うんですが、今まで一度も使ったことがないし、使おうとも思わないと。急性期病院にお勤めの方です。
もちろん、セラピストによってアプローチの方法は違いますが、私としては少しびっくりしました。
長下肢装具に関するエビデンスは、RCTでこそまだ認められてはいませんが。ただ色々な方の研究によって、筋活動のデータやFIM、在宅復帰率との相関に関する研究発表がされています。
それを、研修の場であのように否定する、、、。やはり少し考えが古いと言わざるを得ないと思います。
私の病院(回復期)では、病院の備品としても長下肢装具を置いていますし、中には患者さまに購入してもらうケースもあります。
みなさんの病院では、長下肢装具積極的に使われているでしょうか?
脳卒中ガイドラインと長下肢装具
脳卒中ガイドラインでは、発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる(グレードA)。その内容には、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などが含まれる。
具体的な装具の名称は書かれてはいませんが、早期に立位・歩行をするためには長下肢装具が必要な患者様もいらっしゃいます。
起立─着席訓練や歩行訓練などの下肢訓練の量を多くすることは、歩行能力の改善のために強く勧められる(グレードA)。
これに関しても同じことがいえますね。
短下肢装具に関しては、エビデンスは十分に構築されています。長下肢装具に関しても今後エビデンスの構築が期待されますね。
長下肢装具のメリット
メリットはあげればきりがありません。早期からの立位・歩行練習による廃用予防や、良アライメントでの動作練習が可能です。
また、2動作前型歩行が可能となり、立脚後期の股関節伸展が得られます。半球間抑制の観点からも長下肢装具を使用することでフリーハンド歩行が可能となり、理論的に有効とされています。
高次脳の面でも、半側空間無視や身体失認、プッシャー症候群などに対しての有効性の研究も見られます。
他にも細かい点を上げればまだまだあるでしょう。
購入にあたっての費用
膝継手や足継手に何を選択するかで、値段も変わってはきますが、だいたい13万円前後といったところでしょうか??
装具屋さんに一括でお支払いしていただく必要があるので、高額なものではあります。
ただ、高額療養費制度に合算が可能であったりするので、後々返金が得られます。
最終的な自己負担額は、個人の所得にもよりますが、多くの方は数千円程度になります。
なので、最初の一括払いが可能であれば、最終的な患者家族の負担はそこまで大きなものではありません。
では、国民の医療費全体の視野で考えた時はどうなのか??13万もかけて作ったら、膨れ続けている医療費が余計悪化するじゃないか!?
私はこう考えています。回復期病棟の入院料が施設基準によって違いますが、入院料2だと仮定すると1日18.000円です。
そこに1日9単位リハビリをすると22.050円かかります。つまり、1日入院すると4万円かかります。ほかにもベッド、食事代等ありますが。
となると、長下肢装具を作製して、より早期に機能回復が得られ入院期間が4日短縮されれば、医療費の面ではとんとんです。
それだけの可能性は長下肢装具は十分秘めていると思います。
また、今後よりシビアに求められる回復期病棟でのFIM利得。早期退院、早期機能回復を達成するには、長下肢装具のメリットは大きいと考えています。
なかなかいきなり患者様に購入を進めるのは難しいでしょうし、病院の備品としても購入が難しい場合もあると思います。
そんな場合には、大手の装具業者が長下肢装具のレンタルをしているところもあります。
3ヶ月で15000円だったと思います、確か。ある程度のサイズ調整は可能なので、そーゆーサービスの利用からでもいいのではと思います。
私自身、以前は長下肢装具に関して否定的な考えを持っていました。費用の面や膝の学習がえられないなど。
しかし、偏見を捨ててしっかり勉強するとメリットが大きい点や、費用の面でも公的補助がうけれるなど、勉強不足を感じました。
当院でもレンタルサービスから始め、今では病院に備品としておいています。同様の流れの病院が多いように聞いています。中には患者様の寄贈品を使用していたりもするそうですね。
もしまだ長下肢装具が選択肢に全くない病院があれば、すこし文献検索をおすすめします。もしかしたら新たな発見があるかもしれませんよ。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
【要点まとめ】呼吸ケア指導士の資格取得や必要費用について。キャリアアップの参考に。
本日は呼吸ケア指導士の資格について要点をまとめたいと思います。
呼吸関連の資格として、看護師やリハビリスタッフの方が取得していることが多いでしょうか?
資格取得の条件や、必要となる費用についてむとめていますので、資格取得によるキャリアアップを考えている方の参考になれば幸いです。
呼吸療法認定士と呼吸ケア指導士の比較に関してもまとめてみました。
physicalkun.hatenablog.com
呼吸ケア指導士とは??
以前紹介した呼吸療法認定士とはまた別の学会の日本呼吸ケア・リハビリテーション学会が認定制度を施行している資格です。
呼吸療法認定士に関する記事はこちらです。
physicalkun.hatenablog.com
歴史自体はこちらの方が浅く、2013年4月からスタートした資格です。まだ認知度は低いかもしれませんね。
資格取得の条件
①本学会に3年以上継続して入会していること。
②医師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、管理栄養士、薬剤師、歯科衛生士、臨床工学技士、臨床検査技師、介護福祉士の資格を持っていること。
呼吸療法認定士に比べると取得可能な職種がずいぶん多いですね。
個人的にはあまりに職種の幅を広くすると、呼吸ケア指導士自体のブランド力がなくなるような気もしますが。
③学会が認める講習会、学術集会へ参加して所定の単位を取得する。
以上の条件を押さえて、認定申請を行えば呼吸ケア指導士と認定されるそうです。認定試験にあたるものはないようですね。
資格取得・維持に必要な費用
まずは、取得のために3年以上学会に所属する必要があるので、年会費が1万円なので3万円必要です。
所定単位取得後に認定してもらうのに認定審査料を1万円払う必要があります。
維持のためには、学会の年会費を継続して払う必要と、5年に一度更新する必要があるので認定更新料1万円が必要ですね。あとは、更新の際にも所定の単位が必要なので、学会参加や講習会への参加のための経費がかかってきます。
うーむ、NST専門療法士のときもでしたが、継続して学会に所属する必要がある点がなかなかネックでしょうか、、、
以前別の病院のICUでばりばりに呼吸リハをしているベテランのPTの先生と呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士について話す機会がありました。
その先生は今後は呼吸ケア指導士の方がメインになってくるかもしれないと話されてました。
まだ資格制度がスタートしたばかりですので、今後の学会の活動や認知度・普及度を踏まえて、取得を検討してみてもいいかと思います。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。
呼吸リハの必要性と今後の展望
本日は呼吸リハに関するエビデンス等と必要性についてまとめていきます。
日本人死亡原因疾患
呼吸リハと聞いて皆さんは、対象疾患をどのようにイメージされるでしょうか??
一番浮かびやすいのはやはりCOPD(慢性閉塞性肺疾患)でしょうか?私も学生のときはそうだったと思います。ただ、最近は呼吸器疾患がない方でも、呼吸リハの視点の必要性を強く感じています。
少し話は変わりますが、日本人の疾患別の死亡順位に触れてみたいと思います。
1位は悪性新生物(がん)。以前に比べると早期発見が可能となったり、治療薬の進歩も見られているとは思いますが、。全体の30%を占めています。
2位は心疾患。心筋梗塞など心臓に関する病気も、15%ほどとなっています。
3位は、、、肺炎なんですね。平成22年までは脳血管疾患(脳梗塞など)が3位だったんですが、平成23年度以降はずっと肺炎が3位になっています。ご存じだったでしょうか??
脳血管疾患疾患に関しては、t-PAなどの血栓溶解剤や血管内治療の進歩などによる救命率の改善、血圧コントロールによる脳出血患者の減少などが関係して死亡順位が低下していると考えられます。
肺炎に関しては、脳血管疾患発症後30カ月以内に22%が肺炎を発症するなどの研究もあります。
今後も、脳血管疾患で一命をとりとめた方が、少なからず嚥下障害の残存や活動性の低下などにより、肺炎をきたす可能性が増えてくるのではと思っています。
肺炎や肺炎予防に対しての理学療法士の関わり方も、もっと積極的に行う必要性を感じています。
呼吸リハの重要性
私は呼吸療法認定士の資格を取得して7.8年経っているでしょうか。当時も今も、当院では呼吸器内科自体は存在しておらず、当然呼吸器リハでの算定は行っていません。
なので、なぜ私が呼吸療法認定士の資格を取得したのか、疑問に思っていたスタッフもいたと思います。
当時は、私もまだまだ若く尖っていた時期なので、そんなスタッフに理由を聞かれても、「実習中の尊敬していたバイザーが持っていて、僕も取ってみました」、、、なんて返答をしていました。まぁこれも事実は事実なんですが。
もちろん、呼吸内科がなくとも、その必要性を理解してくれていた先輩もいましたが。
脳血管疾患でも、喀痰量が多い方はたくさんいらっしゃいます。総じて咳嗽力も弱いため、十分な喀出が難しいです。
気切をされて来る方も中にはいらっしゃいます。カニューレの知識も要求されますし、痰の吸引もリハビリでも必要に応じて行わなければなりません。
胃瘻造設にあたっても、少なからず腹腔に侵襲が加わるので、呼吸機能にも影響を与えます。また内視鏡も使用するため唾液の誤嚥による肺炎も合併症のリスクとして挙げられています。
こうして考えると、呼吸器疾患だけに呼吸リハが必要ではないことが、分かっていただけると思います。
ちなみに呼吸療法認定士を取ったからといって、業務範囲が増えるわけではありません。あくまで、呼吸に関する知識があるという認定程度です。
独学で呼吸について勉強するより、しっかりとカリキュラムを組んで勉強できることと、資格取得という分かりやすいモチベーションのために呼吸療法認定士の資格を取りました。
あとは、資格を持っていることで、看護師に勉強会を行ったり、リハとしての意見も発信しやすさは感じられました。
肺炎に関するエビデンス
肺炎に関するリハビリのエビデンスを紹介します。
肺炎発症後、3日以内に理学療法がスタートしたグループと4日以降にスタートしたグループでは入院30日以内の院内死亡率に差が見られたそうです。
安易な安静は予後に影響するということですね。もちろん、病期をしっかりと見極める必要がありますが。
少なくとも、背臥位よりギャッジアップ座位の方が、気管支内の繊毛活動は促進され排痰には有効です。そして、重力の影響により背臥位で同じ姿勢では肺の背面に痰が貯留してしまいますね。
別の研究では、入院後2日以内に経口摂取スタートしたグループと3日以降にスタートしたグループでは、退院時3食経口摂取獲得群に14%の差が見られたそうです。この経口摂取は、ゼリーのような間食でも良いそうです。
とりあえず絶食にすることは経口摂取獲得の予後に影響します。しっかりと嚥下機能を評価しなければなりませんね。嚥下機能のサルコペニアとゆー考え方もあるそうです。少ない量でもいいので、経口摂取することが重要です。
肺炎患者にどのように関わるか。ベッド上でROM、キッキングで終わってしまっていいのか。少し考えるきっかけになれば幸いです。
安易な安静・絶食はリハビリだけでは変えれませんが、リハからも提言すれば変化はみられることだと思っています。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。